人それぞれの「宝」を集めて
ここまで五つ集まった、宝としての食材。さて、ここで私の宝も発表させてもらおう。
小野(ライター)…「肉だんご」
「自分にとって 『宝』と位置づけられる食べ物。料理ならばハンバーグですが、食材となるとそれと関連して肉だんごになります。肉だんごは小さなハンバーグだからです。」
私からは肉だんごをエントリーさせたい。おいしさとエネルギーの凝縮物、それが肉だんご。見た目はやや地味だが、それでも丸っこさは宝と呼ぶにふさわしい。
これで6個そろったお宝食材。あと2つ、意見を聞いてみた。
古賀さん(編集部)…「 栗」
「 まずもって、自分が大好きな食べ物だからです。見た目も金塊っぽく、栗ご飯や栗まんじゅうなどで「宝」として扱われることが多いのでそう発想しました。実際、友人の結婚式で私にカットされたケーキだけ大きな栗がまるまるひとつ入っており、それが実は仕込まれた当たりで、プレゼント(浴室用ラジオ)をもらったことがあります。」
確かに栗もそうだ。ただの「まんじゅう」と「栗まんじゅう」とを比べると、宝っぽさがずいぶん違う。結婚式でのエピソードはまさに宝。いろんな野菜が年中出回る中、生のものは秋にしか食べられないというのも宝っぽい。
これで7つ。ドラゴンボールならもう全てそろったことになるが、八宝菜の場合はあと1つだ。
乙幡さん(ライター)…「 ポルチーニ茸」
「 普通のスーパーではお目にかかれない。料理にもありがたそうに入っている。ああ食いてえ!」
最後はキノコ界からポルチーニ茸。クリーム系のスパゲティに入っていることもある、香りの強いキノコだ。「イタリアの松茸」と呼ばれることがあるらしいのも、宝という言葉がふさわしい。
これで八つそろった、お宝食材。確かにどれも宝として十分な素質をもっていると思う。ではこれらを使ってリアル八宝菜を作ってみよう。
つくり方は一般的な八宝菜と同様、具材を炒めて最後にとろみをつける。今回は、乾燥ポルチーニ茸の戻し汁に片栗粉を入れて仕上げることにした。
というわけで、オールお宝八宝菜、できました。
こうして見てみると、丸っこい食材がそれぞれの宝らしさを主張している八宝菜となったと思う。いくらとかずのこの魚卵たちは、一緒に炒めるのは違うかと思い、あとからトッピングする形式で参入だ。
さて、全てが宝であることは確かな八宝菜。トータルとしてのバランスはやや心配なところもあるのだが、実際に食べてみよう。
うん、どれもおいしい。全部がおいしい。それはいいのだが、全部がそれぞれおいしいのであって、全体としておいしい、というのとはちょっと違う。トータルでまずいわけではないけれども、個人技でうまい、という感じなのだ。
いなくて初めてわかる、白菜やタケノコといった地味目の八宝菜メンバーの役割。君たちそれ自体が宝ではないとしても、果たしている役割が宝なのだ。
自分は決して宝ではないけれど、みんなを輝かせることができるハクサイやタケノコ。それは、普段目立たなかった柏倉さんが、文化祭のポスターをすごく上手に描いたのとよく似ている。
その働きは、2年八宝菜組の大切な仲間という意味で宝だと言えるだろう。改めてすでに完成されている料理のバランスというものを感じました。