料理も酒も、総量はそんなのでもないのに、なんだか胃が重くなっていた。
次は『ポタージュ』だ。スープ全般のことを指すらしいのだが、これもお店には無かったので、コンビニまで走る。
あたたかいものを飲んだら胃が落ち着くかな、と思っていたら、お腹から、ぐるぐるぐるぐるギュー、と変な音が鳴り出した。
目もまわってきた。
景色もまわる、地面が回転する。
ま、まずい。
大変にまずい。
汗が、ひゅわーっと、背中と首ににじんだ。
手のひらもしめってきた。
その場にしゃがみこむ。
じっと足先を見る。自分は何やってるんだろう、と、涙が出て来そうになったが、いまはそんな、日々の生活の反省をしている場合ではない。
よろよろと立ち上がり、フレンチの店に戻る。
「あ、まずい、スープの写真撮影するの忘れた」と思ったが、それどころじゃなかった…。
「……顔、青いけど」
友人に言われた。
これから、前菜、『オードブル』とスパークリングワインを頼んだら、逆フルコースが完成するんだけど、と伝えたら、
「でも、食べきれないっぽくない?
無理すると……ひょっとして、リバースしない?」
と言われた。
たぶん、と答えると、
「やめとけ」
と言われた。
もっともだ。
……というわけで、人に止められて、死なずに済みました。
「死ぬ」っていうのは要するに、悪酔いするよ、身体に悪いよ、という意味なんだと思う。
でも、それをキッカケに、何か身体の悪い部分が目覚めて、本当にショックで死んじゃう人も、いるかもしれない。
伝説は本当だった。甘くみていたのに、まさか本当だったとは…。
あぶない。危な過ぎる。
きっと、フルコースって、たっぷり気持ち良く料理を食べるためのプログラムとして、特別に優れているのだろう。
だから逆っていうのが、身体に衝撃を与えてしまうのだ。
ほんと、逆に食べちゃいけません、絶対に。やばいっす。 |