日本地図の中に、以前から気になっていた部分がある。右の写真のペンで示している部分だ。
茨城・群馬・埼玉・栃木の北関東四県の県境が集まっているのだ。日本全図を見てみると、三県の県境が集まっているところはたくさんあるのだが、四県となると珍しい。 お互いにライバル視しているとも聞かれるこれら四県。県境周辺はどんな様子なのか。やはり県をまたぐことで、それぞれのローカル性は感じられるのか。これは気になる。実際に見に行ってみました。
(小野法師丸)
ピリピリムードはあったりするのか
大きな地図で見ると、四県が一点に集まっているようにも見えるこの地点。じっと見ていると、茨城・埼玉・栃木が集まっているところに、群馬が細い手を伸ばして「オレもオレも!」と言っているようにも見えてきた。
どんな風になっているのだろうか。もう少し詳しい地図で見てみよう。(地図ページはこちら)
少し太めのグレーの線が県境だ。残念なことに茨城と群馬は直接接しておらず、約3kmほどの距離がある。ただ、必ずしも道路や河川で区切られているわけではない県境は、くねくねとしていて複雑。実際に行ってみる価値はありそうだ。
そういうわけでやってきた、北関東県境複雑地帯。とは言っても、県境は地面に線が引いてあるわけでもなく、川があったり緑がもさもさしていたりと、特に何もない風景に見える。
ごく近い距離にある四県だが、それぞれの県の特色や独自性を県境の周囲で見つけてみたい。しかし、その県の代表的な街や観光スポットならともかく、何気ない街の中にそうした要素を見つけることはできるだろうか。
どうしたものかと考え、どこにでもあって回れるものとして今回はコンビニに立ち寄ることにしてみた。遠出した先の街でたまたま入ったコンビニでも 、地域色を感じ取れることはしばしばあるだろう。
まずは県境地帯近くにあった群馬県のコンビニ、セーブオン。群馬県に本社があるセーブオン。普段目にすることがなく、その土地で強いコンビニに行くのはちょっとした旅の味わいだと思う。特徴的なものがあるだろうか。
店内には地サイダーを扱うコーナーがあった。ここに群馬ならではの飲み物があるはず、と思って商品を手に取ったのだが、どうもおかしい。例えば「九十九里サイダー」 。名前が元気なのはいいのだが、九十九里は千葉だろう。
地サイダーとは言っても、別に群馬の地サイダーを扱うのではなく、各地の地サイダーを特集しているコーナーではないか。求めているのはこういうことではない。
おにぎりコーナーでは、群馬県を本拠地とするサッカーチームの選手が監修したという商品の宣伝がされていた。これには地元ならでは感が漂うではないか。
このおにぎりがかなり気になるネーミング。食べてみたいのだが、売り切れ。他の選手が考案したものも表示はあったのだが、ことごとく物がない。
他のセーブオンにも立ち寄ってみたのだが、見つけることができず。まぼろしのおにぎりとなってしまった。
がんばれ埼玉のアイデンティティ
続いては埼玉県に移動。県境複雑地帯なので、県をまたぐと言ってもすぐに着くことができる。
県境近くのローソンを訪れてみた。いろいろと物色してみたのだが、これと言って埼玉っぽさを感じさせるものがない。筆者は埼玉県民なのだが、確かに埼玉っぽさとはなんだろうと考えてみても思い浮かぶ物がない。
強いて言えば、地図コーナーが埼玉押しだったことだろうか。埼玉であることをこれでもかと主張。
これだけではさみしい。コンビニ以外にも見るべきものはないだろうかと思って調べたところ、県境近くに道の駅があることを発見。埼玉県北川辺町にある、「道の駅きたかわべ」だ。
道の駅でのレストランコーナーでは地元の食材を使った料理を提供していることが多い。さてどうかな…。
「うまい」ではなく「んまい」になっているのに妙な訴求力があるモツ煮そばにも惹かれるが、ここは食材的に特徴がある、なまずの天ぷらを食べてみることにした。どうやらこのあたりでいちおしの食材らしい。
淡泊ながらも、プリッとした食感がおいしい。近くの道路の柵にもナマズの絵が描かれていて、地域の特産品であることがわかる。
おなかも一杯になったところで、おみやげ品コーナーにも行ってみよう。埼玉ならではのものがあるだろう。
まあ埼玉に関したものもあるのだが、どちらかと元気に並べられていたのは、群馬や栃木の特徴が強いもの。埼玉県にある道の駅ではあるが、県境をまたいで人気のあるものを取りそろえているみたいだ。
埼玉県民としては、しっかりしろ埼玉とも思うが、強く押し出せるものもないよな、というのも正直なところ。埼玉を出て、と言ってもすぐだけど、移動してみよう。