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はっけんの水曜日
 
鳥を愛でながらお茶をのむ、ベトナムの朝

鳴き声を真似させている?

よく見ると、鳥かごを二つくっつけている人たちがいる。後できいた話だが、鳴き方のうまい鳥に他の鳥を近づけると、鳴き声を真似てくれるそうだ。
日本の車掌さんがみんな同じしゃべり方になるのと同じしくみだろうか。


小鳥に萌えるベトナム人に萌えー!

「鳴き方を学ばせる。」これが皆ここに鳥かごを持って集結する理由のひとつなのだろう。
「○○さんの鳥は鳴き声がいい。ちょっとくっつけさせてよ」「俺の鳥の鳴き声はどうだ」「○○さん、今朝は来てないのか、くっつけようと思ったのに」
…そんな会話が飛び交っているのかと想像するととても面白い。

上手いほうが下手なほうを真似てしまう心配はないのだろうか
「よく覚えて帰るんだぞ。」子供を見る目になっている

覚えてくれたのかな。とてもうれしそう

鳥かごを持つ男性は、みんな少年の目をしている。ふと懐かしさを感じた。そうだ、これはカブトムシやクワガタを見せ合うクラスの男子だ。

 

急展開

楽園のような朝にも容赦なくスコールはやってくる。空が暗くなってきた。これは一雨降りそうだ。


不穏な雲行き!

危険を察知し、スピーディーに鳥かごを回収する飼い主
鳥かごを持って全力疾走する集団ってレアだ

あっという間に大雨の水しぶきに包まれる公園

皆クモの子を散らすようにどこかへ消え、一部の人たちは公園のあずまやに逃げ込んだ。鳥を驚かせないようにカバーをかぶせ、濡らさないように抱えながら駆け込んでくる人たち。あずまやはすでに超満員。
よくある事なのか、ツイてないと愚痴を言っているような感じの人はいない。みんな笑っている。

私もどうにか避難しました
あずまやの天井には鳥かごを吊す輪が備えつけてあった

木の下で足止めを喰らってしまった女の子

雨の勢いは衰えることなく、激しくなるばかりだった。
ちいさな屋根の下でぎゅうぎゅう詰めになりながらも、みんな楽しそうに話をしている。

雨宿りひとつとってもたのしそう

そして鳥を愛ではじめる

20分くらい待ったが、雨は止む気配を見せなかった。その間も鳥フリークたちはずっと鳥を囲みながらあれこれ話に花を咲かせていた。

しばらくして雨が弱くなった隙を見計らい、私はダッシュでホテルへ戻った。みんなあれからどうしたのだろう。

鳥もかわいかったけれど、ベトナム人のお気楽さにきゅんときた朝だった。

ベトナムのイメージが変わった

正直、ベトナム人はいい加減だし、街全体がお笑い気質だし、ちょっとガサツなイメージがあった。それなのに、鳥の鳴き声を楽しむなんて意外だ。こんな風流な朝の景色があるとは思いもよらなかった。
ベトナム人の繊細な一面を発見できてつくづくよかったと思う。
(・・・と思ったが、やっぱりヘンな国だ)
鳥、めっちゃびびってました


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