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ちしきの金曜日
 
チューボーと行徳富士

子どもの頃から登ってみたかった

もうひとつの人が作った地形「行徳富士」。ぼくは子どもの頃からこれをよく見ていた。場所は国道357号線、首都高湾岸線、京葉線が走っている横、つまり工業地域ど真ん中なのだが、なぜか父親が自転車でこういうインダストリアルな場所にこどものぼくを連れて行ったからだ。何を考えていたのだろう。とんだ情操教育だ。


ものすごく奇妙な風景。それにしてもちょっと高いものがあると「富士」と名付ける感性ってすごい。日本人に対する富士の呪縛力。(写真をクリックすると無駄に大きくご覧いただけます)



より大きな地図で DPZ「チューボーと行徳富士」 を表示

場所はここ。ちょいと南下するとディズニーランドだが、ぼくにとっては行徳富士の方が夢と魔法の国。


上の写真はどうだ。まったいらな住宅街のなかに突如現れる山。自然の山でもないし、古墳でもない。これもチューボー同様、人間が作った地形。なんと標高37メートル!新宿東口あたりがそれぐらいか。つまり、上の写真のてっぺんにスタジオアルタがあってもおかしくないわけだ。

ぼくは小学生の頃、よく友達と工事現場にもぐり込んで遊んでいた。なかでも一番エキサイティングなのは、砂利の山に登ること。なぜかわからないが、ぼくは人工の山によじ登るのが好きだ。登山とか全く興味ないのだが。なぜだ。なにか隠されたリビドーとかあるのか。

もちろん大人になってからはそんなことはしていないが、いまでもこの行徳富士を見ると「登りたい!」って思う。京葉線乗ってるといつも思う。


江戸川の対岸から見た様子。右の方の住宅街と比べるとその尋常じゃない高さがよく分かる。すげー。(これも写真をクリックすると無駄に大きくご覧いただけます)


チューボーと同様、すごいすごいとはしゃぐとちょっと不謹慎かもしれない。というのはこの残土の山、いわゆる不法投棄なのだそうだ。昔から付近住民の方々の間で問題になってきたいわくつきの山なのだ。

ぼくが子どもの頃からあるのでずいぶん長い間この状態だ。木とか生えちゃってるし。事情を知らない人が見たらふつうの山だと思うだろう。

と、いろいろ難しいことがあるが、ぼくはこの風景がかなり気に入っている。あえて「行徳名物」と呼びたい。


登りたいのをぐっとこらえました。


今回は東京湾岸で特徴的な場所を訪れてみたが、今後全国の「人の手による地形」を巡ってみたい。ご存じの方いたら、ぼくに教えてください。けっこうあるんだろうなー、残土の山。

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