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ちしきの金曜日
 
中古車屋の派手さを鑑賞する

こういうお店


  中古車屋さんのデザインって、ひじょうに面白いと思いませんか。

 とにかく派手。しかもその派手を演出するアイテムたちがまたふるっている。そうだよ、中古車屋さんって面白いよ。どうしていままで見逃していたんだろう、ぼくは。

 そういうわけで、今回は中古車屋めぐりをしてみました。免許も持ってないのに。

 

大山 顕



そういえば、中古車屋さんを毎日のように見てた

 最初のうちは、自分でもなんでとつぜん中古車屋を見てみたくなったのか分からなかったが、とちゅうでふと思い出した。そういえば、家の近所に中古車屋さんがあった。いまはマンションが建っているが、そこにはぼくが小学生のころまでは中古車屋さんだった。

 それは幼稚園や駅、よく遊んでいた公園などに向かう途中にあって、毎日のようにその風景を目にしていたのだ。そうだったそうだった。思い出したぞ。なつかしい。

 ぼくも両親も免許を持っていないので中古車屋になんて縁はなかったけど、そういうわけでなんかなつかしいと思ったのかもしれない。


のぼりが多すぎないか。むしろ「のぼり屋」さんか。

 

低体温な派手

上は今回の中古車屋めぐりで見つけた、お気に入りの中古車屋。なにがいいって、この「のぼりの海」がいい。大漁旗だ。

こういう種類の派手さにぐっとくる。なんでしょう、単なる派手とは一線を画す独特の派手さがここにはある。派手なんだけど、なんとなく低体温な感じ。


「低体温な派手さ」は、中古車屋さんが多く立地しているのが、郊外のロードサイドだからかもしれない。まわりは道路とファーストフード、ファミレス、消費者金融、そしてそれらの背後に広がるのは畑。

そういうそっけない風景のなかに、のぼりがこれでもかと林立する場所がある。そういうまわりの環境とのコンビネーションが浮かれたお祭り騒ぎの派手さとは異なる雰囲気を醸し出すのだと思う。

まあ、とにかく見てみてください。ちょうすてきだから。

免許がないので、自転車でまわりました。

なぜかクルマの脇にめいめい一本ずつのぼりが立つのが中古車屋セオリー。このお店はパステル調でまとめられており、統一感がある。


これもかなりぐっときた中古車屋作品。後述する「箱庭スタイル」の極北であり、その他のアイテム使いの見事さもあり、中古車屋デザインのマスターピースといえよう。迷いのない大胆な色づかいにため息が漏れる。

テーマカラーと思しき黄色と青でまとめつつ、要所要所にコントロール不能な感じで赤系カラーリングが挿入される、た中古車屋さんらしい色彩の洪水。すてきだ。

黄色と青の組み合わせは、中古車屋業界での流行なのか。これも「箱庭スタイル」である。

のぼりのほかには、奥壁面のビビッドな黄色だけで勝負に出ただだっぴろいタイプ。もはやこれが地味に見えてくる。

小規模ながらいかにも中古車屋さんらしい低体温な派手さを実現した好例。ポイントは床面塗装にあると見た。これも中古車屋さんの特徴のひとつである。

これももはやなんだかおとなしめに見えてくる。見どころは、右の方に見える「擬擬木」である(後述)。

のぼり+箱庭のオーソドックスなタイプ。オレンジと青という刺激的な色づかいと、背後の郊外らしい竹藪とのコントラストが見事である。

敷地を一段高く盛土したために発生した道路脇の低い壁面。そこに鮮やかなイエローをほどこす。隙あらば派手に、という中古車屋さんの基本コンセプトがいかんなく発揮されている。

 

低体温派手アイテムに迫る

 いかがだろうか。「いかがだろうか」って便利な言葉だよね。中古車屋の写真並べられて「いかがだろうか」って言われてもねえ。

 いやいや、なんとも言えない中古車屋さんの「低体温派手」を理解していただけたのではないか。ないか。ないかー。

 次のページではこの低体温派手を実現する中古車屋さんの基本アイテムをご紹介しよう。


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