石垣は溶岩だ
さて、もっと古い建物に使われる石はどうなんでしょうか。たとえば、これ。
どーん。さくらだもーん。
江戸城の石垣。正面から見ると、こんな。
石のひとつひとつがでかい
拡大すると、こう。
なんか模様がついてる
「こりゃあ難しいね。でも伊豆石だね。」と森さん。
伊豆石っていうのは、伊豆のあたりで取れる石で、江戸城に限らず、石垣にはよく使われるらしい。
でも、わざわざ伊豆から東京まであんな石を運ぶのはいかにも大変だ。もっと手近な、たとえばせめて鎌倉あたりの山の石じゃだめだったんでしょうか?
「そこらへんは堆積岩だからね、もろいのよ。」
「もろいのよ」
ひとつだけ色が違う
―たまに色が違うのがあるんですけど、これは違う種類の石なんですか?
「いやあ、それは補修したんだね。」
つまり、もともとあった石が壊れてきたので、別の石を同じ形に切って、パズルみたいにパカッとはめたのだ。石垣も当たり前だけど日々メンテナンスされてるんですね。
ポイント8. 石垣は溶岩だ ポイント9. 石垣も日々補修してる
古い建物はみかげ石
もうちょっと近代の建物はどうでしょう。いかにも明治時代という外観の、日銀本店に行ってきた。
近代の香り。日銀本店。
その門柱の・・
ここ!
さらにどん!
「これは花こう岩(みかげ石)ですね。花こう岩なんだけど・・」と森さん。
最初にも触れたとおり、白いみかげ石は種類が多すぎて写真だけで見分けるのは難しいんだという。
「割合白いところが多いですね。真壁(みかげ)じゃなさそう・・。」
―稲田みかげではないでしょうか?
「真壁よりは近いけど、違いそうですね・・。」
真壁とか稲田っていうのはどちらも茨城県の地名で、みかげ石の産地。ごまと塩の割合や大きさが微妙に違う。
国産なのは間違いないだろうけど、産地を見分けるのはちょっと難しいですねとのことだった。
ポイント10. 近代の建物は、国産の白みかげだ ポイント11. でも産地を見分けるのはちょっと無理
石が見えてなかった
こういうふうにして見てみると、身の回りって石ばっかりだなー!と思う。壁や床だけじゃなくて、こう、ふつうにコンクリートとかもつきつめると石だし。なんだったら土だって石が形を変えたものだよなあと思う。もうあらゆるものが石に見える。
なのに、そこに石があるってことが見えてなかったなと思う。見分ける以前の問題だ。
森さんはとても優しい方でした。ぼくが「ペルリーノロザートを探してるんです」と言ったら、それなら平塚駅ビルの階段にあるよといって見取り図を書いてくれたりした。
赤い点のところにきれいな化石がある
この見取り図に沿って探して見つけたのが、1ページめのアンモナイトというわけなんです。森先生、いろいろとありがとうございました。
取材協力:平塚市博物館 森慎一主任学芸員