聞けばこのケーブルカー、以前はこの一帯に広がっていた自然公園の散策用に使われていたものだったとか。80年前に敷かれた線路は今でもそのまま使っているのだが、車両は安全面を考えて何度も作り直されて今に至る。あのかわいらしい車体も実は何代目かのケーブルカーなのだ。
80年間の歴史と一緒に走ってきたケーブルカーが引退するということに従業員の皆さんは寂しさを感じていないのだろうか。
もう毎日乗っていますからね。やはり愛着はありますが、今は新しい車両への期待の方が大きいですかね。
車両は当初、近未来的なデザインも考案されていたというが、結局は周りの景観との兼ね合いを考え、レトロな丸形のものになるのだという。
レトロな形の「渓谷電車」という車両になるんですよ。今のケーブルカーで8人乗りだったところが渓谷電車では20人乗りになります。そのためこれまでのように随時走らせる分けにはいかなくなりますが、今度は時刻表に沿って運転することになりますね。
当初はガラス張りのエレベーターに電動自動車、という案も出ていたらしいのだが、確かにこの風流な景色にぴかぴかした新しい物は似合わないような気もする。
ここからは旅館の中を案内してもらいながらお話を伺った(僕が見せてくれと言ったから)。 |