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はっけんの水曜日
 
滋賀で紅茶を摘んで飲んだ

すっかりしおれました。これを揉み込むわけですが。

工程2 揉み込み

 摘んでから一昼夜経った茶葉はすっかりしおれていた。少し乾燥もしたようで、葉のハリが無くなりカサも減ったようだ。これを揉み込む。

 揉み込む目的は、葉の細胞を壊し、酵素を働かせる事にある。なので、手で揉む必要はなく、石などを使っても良い。僕はボールに葉を入れ、すりこぎでゴリゴリ揉むことにした。

 これが、思っていたよりもしんどい。力がいるし、どうもちゃんと揉めているのか判らない。ネットで調べた情報でそのままやっているだけなのだ。正しさがわからない。Hot-Dog PRESSで得た性知識を元に初体験に臨む、みたいな不安感がある。

 まぁ、それでもやってみるしかない。だって、周りに紅茶を作ったことがある人なんていないし。誰にも聞けないし。そんなこんなで、なんとか揉み込めたような気がするので、次の「発酵」へ移るとする。

すりこぎでゴリゴリ。いっそすり鉢を使っても良かったかも。
30分ほどで大分潰れたみたいです。

 

すでに色が濃くなってきて、紅茶っぽい匂いもあります。

工程3 発酵

 3番目の工程は発酵。葉の細胞から出た酵素で発酵をさせる。発酵には湿度と温度が大事で、葉を温かくて湿気た状態に置く。湿度は100%だ。

 ボールの中に、しめらせたティッシュペーパーをラップに包んで入れた。その上をラップで覆い、庭のテーブルセットの上に置いておいた。

 温度は20℃〜25℃でいいらしいので、夏などは外には出さずに室内で発酵させればいいのだと思う。時間は2時間〜3時間ほど。ではまたお祭りでも見てきましょうか。

ラップをして湿度を上げます。
このまま放置して2時間。その間にお祭りに行きましょう。

 

日野祭の立派な曳山がすごい


どの曳山もすごく立派です。流石日野商人の土地。

 

上から下まで細かく彫刻された曳山。細工がいちいち豪華。

日野は日野商人発祥の町

 日野は日野商人発祥の土地で、現在でこそ日野商人達が家族もろとも全国に散ってしまったために静かになったのだが、かつては大いに栄えたのだという。

 日野商人は薬と漆器を全国で販売して財を成した。日野の商人たちは宿屋など、「人が集まる場所」に薬を置いてもらい、それを宿屋の人に売らせたのだという。労せず支店を増やせる方法で、レバレッジが効く見事なやり方だ。

 また、組合を作ることも許されていた。日野では鉄砲も作っており、それを幕府に納めることで幕府からの保護を得ていたのだという。よって関所は顔パス、組合も作れた。

 組合に所属する商人達は、物流や通信で協力し合い、他の地域の商人よりも効率的に商売をする事が出来たのだという。シナジーでコラボレーションでラブ&ピースだ。この様に先進的で洗練されたシステムによって莫大な富を得たのらしい。

 その為か、曳山はとても豪華だった。曳山に飾られた見送幕の西陣織が数千万円とか(数億と聞いた気もする)聞いた時は関西特有の冗談なのかと思ったが、マジだった。彫刻も見事で、物語が込められていたりもする。

 

曳山は全部で16基あり、それぞれ違う装飾が施されている。
曲がり角ではみんなで曳山を方向転換させる。見どころの一つ。

おごそかに行われる神事。いい雰囲気ですよ。

日野祭とは?

 そうだ。日野祭の説明を忘れていた。日野祭は滋賀県日野町の祭。800年を越える歴史を持ち、馬見岡綿向神社(うまみおかわたむきじんじゃ 近所の人は綿向神社と呼んでいる)の春の大祭だ。毎年5/2の夜が宵宮、3日が本祭になる。

 この取材をしたのは5/2〜5/3なので、ちょうど宵宮と本祭が行われていた。5/3は朝から棉向神社で「なんとかの儀」が行われ、なんとも雅な雰囲気が漂っていた。

 今回は日野祭がメインテーマじゃないので詳しくは紹介しないけど、滋賀では湖東地方最大の祭だそうで、多くの人が漏れなくすごいカメラを構えて写真を撮っていた。

次はそんな人たちをちょっと紹介させて下さい。だって、すごかったから。

雅楽の生演奏付き。雅楽はいいのう。
このお子様達をどうにかするお祭りです。

 

みんな大体一眼デジタルを持っている。日野のおばあちゃん、すごい。

一眼レフおばあちゃん

 東京でもデジタル一眼を使っているお年寄りは多いが、どうも日野の場合は東京よりも多いように感じた。なにせ、おばあちゃんカートの上に無造作にEOS Kiss DigitaX2を載せてお祭りを見ているのだ。

 おばあちゃんのカメラにはタムロンのズームレンズ(18mm-200mmかな)が付けられていて、それなりに重さがありそうだがしっかり両手で構えて撮影していた。

 膝を落としてズーム操作を行い、被写体をしっかり狙うその姿には驚いた。すげー、ちゃんと撮ってる。被写体は大体子供。可愛い子供がいると、ものすごく楽しそうに顔をほころばせてシャッターを押すのだ。

 それはおばあちゃんもおじいちゃんも同じで、人んちの孫をガンガン撮影していた。やべー、おばあちゃんとおじいちゃん、可愛い。

このお三方はみんなキヤノンのデジカメ。ぼ、僕もです!
桟敷窓の説明してくれたおじいちゃんの孫が登場し、色めき立つシルバーカメラマン達。合計、1分で1GBくらい撮影されたね。

キヤノン派のおじさんとペンタックス派のおじさんも二人で楽しそう。カメラ仲間っていいね。

ソルジャーのような恰好。格好良い、惚れるね。

みんな本気だぞ

 カメラを見れば本気度が判る。大体の人は広角ズームと望遠ズームを付けたカメラ2台体制で撮影に臨んでいた。カメラってのはレンズが重いわけで、しかもカメラもレンズも高い方が重いのだ。重いカメラ=高いカメラだ。

 多くの人は高いカメラに高いレンズを付けて、しかも2台体制だ。かなりの重量なはずで、しかも三脚とかその他アクセサリーまで担いでいる。中高年カメラマン、体力あるぞ。

 一方僕は三脚なんて持ってこないし、カメラも一台だし交換レンズもピンホールレンズしか持ってこなかった。ヘタレである。

ミノルタのカメラと大きな望遠ズームレンズ。写真撮影は重さとの戦いだ。
帽子が格好良いおじさんもすごいレンズ。三脚もしっかりしてるやつは重くて高いですよね。

 

乾燥工程に進みましょう

 お祭りもシルバーカメラマンもすごかった。日野ってすごい。じゃあそろそろ3時間経ったかな。帰ってお茶を乾燥させよう。


もう一息で完成。いやー、紅茶って作れるもんだなぁ。

工程4 乾燥

 揉み込みの後はまだ緑色を残していた茶葉が、発酵してすっかり良い色になった。大分紅茶っぽい香りも強くなった。おお、紅茶だ!

 この乾燥工程では、茶葉を加熱して水分を飛ばして酵素の働きを止める。これで紅茶の茶葉加工は完了となる。

ナオミ母にIHの使い方を教えて貰う。IHって便利なのねー。

 茶葉をフライパンにあけ、IHの一番弱火で煎るようにして乾燥させた。焦げないようにフライパンをゆすり、手で混ぜながら乾燥させる。

 今気付いたのだが、ドライヤーで乾かした方が楽だったんじゃないだろうか。焦げる心配も無さそうだし。

 コツなどは全然無く、茶葉が乾いて固くなるまでひたすら炒るだけ。真夏にやったら暑そうだ。そうして出来た自家製紅茶、シガヒノティーを飲んでみよう。


見るからに、香るからに紅茶。出来るもんですね−。

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