幸い、2つある個室の両方とも先客はなかった。
よし、今がチャンスだ。
まずは音太郎無しで、個室の中でブーブークッションを鳴らしてみた。
こんなに音が漏れているなんて、ああ、恥ずかしい。
やはり音太郎がないと気兼ねなく排便出来ない。
助けてくれー! 音太郎!
「お願いします」の合図と共に音太郎の演奏が始まった。
しかし、ブーブークッションの音が消えていない。ブーっという音が「聖者の行進」の伴奏みたくなっている。
なぜだ?
その答えは簡単だ。
途中から、音太郎が笑ってしまいトロンボーンの音がかすれてしまったからである。
これでは逆効果だ。個室で排便していることを大々的に宣伝しているみたいになっている。なぜ笑った音太郎?
「いや、ブーブークッションの音が面白くて」
と無邪気に答える音太郎。
子供か? |