この春から経済産業省に務めることになった僕だが、以前、同期の友達と飲んでいたときに「1円玉は正確には1円ではないらしい」という話を聞いた。
話によると0.0…1円とかいうレベルで誤差があるらしい。そこでその誤差がどれくらいになるのか、1000円札を1円玉に両替して数えてみることにした。
(藤原 浩一)
銀行へ行って両替
1000円を1円玉に両替するために、銀行へ向かった。銀行にて所定の用紙に必要事項を記入する。
501枚以上は600円
すると1000円を両替するのに手数料が600円かかった。つまり1600円が1円玉での1000円になるという、銀行手数料マジックである。
凄く損した気分である。情報元の彼はこのことを言っていたのだろうか? そうだとしたら殴る。彼が誠実であることを祈りつつ、帰宅して枚数を数えることにする。
1000枚じゃないのだろうか
数える
数える前に、重さを量ってみたい。家にあった秤で計量…。1円玉の重さは1グラムと聞くので、1000円で1000枚ならば、1キログラムになるはずである。
1キロより重い!
1キロより多い! と思ったのだが、よく見ると1円玉は束になって包装されている。よく見なくても包装されている。
これが重さに含まれてしまっていただけだった。そもそも、この大雑把な秤で、1円玉という軽い物体の枚数を正確にとらえることはできないだろう。
金融機関共通巻と書かれている。50枚だそうだ。
ということで地道に並べて数えることに…。
1列に20枚ずつ、地味に並べ続ける。あまりに退屈な作業であったが、およそ1時間ほどですべて並べ終えた。
あっ!
作業完了間近まで、その枚数が1000枚になるんじゃないかなあということが予想されていたが、結果はなんと1枚足りない! 999枚!
もちろん無くしたとか、数え間違えたとかいうことではない。ちゃんと真面目に全裸でやった。
999枚で1000円ということは、1円玉1枚は1円よりほんのちょっとだけ高いことになる。
貨幣論
1円玉が999枚で1000円ということが、1円玉1枚が(1+1/999)円であることを示すのか、個々の1円玉の価値に細かいばらつきがあることを示すのか、わからない。1円玉999枚の総体としての価値(ゲシュタルト的な意味で)が1000円なのかもしれない。
人類の文化の基礎とも言える貨幣にも、まだまだ謎というか哲学が潜んでいるようである。