ぼくは気づいた。ああ、これはあのとき飲んでしまったウメボシの種が胃の中で発芽して、その芽が成長して耳から出てきたのだと。
……いや待ってくれ。納得できない。よしんば発芽したとして、なぜに耳なのだ。道理が合わないではないか。
だが現実としてぼくの耳からはウメの芽が生えてきているのである。これには道理も引っ込まざるを得ない。
●悲劇(ましてや喜劇)の収束
たしかに2月から3月にかけて、体重がずいぶんと減った。食欲が旺盛になり、それまでの倍近くの量を食べているような気がしていたのだが。体重は増えるどころかどんどん減っていったのだ。
要はお腹の中の種が、発芽し成長するための養分を、ぼくの身体から摂取していたということだろう。
そして今、この芽がどうなったかというと、 |