●危機に瀕するオッサン性・上野動物園
続いては同じく東京にある上野動物園。ロケーションが都会ということもあってか、展示スペースはそう広くはなく、カンガルーは柵の向こうの、細かい格子の檻の中にいる。どれどれ、ここでもオッサンっぽさを出しているだろうか。
上野のカンガルーも、まずはやはりかわいい。草を食べたり、両手でもぞもぞやっていたりと、カンガルーの基本的なかわいさがよく見て取れる。
それはわかってる。私が見たいのは、オッサンチームの方なのだ。
おかしい。オッサンチームのカンガルーがいないのだ。
どの個体もかわいいばかりで、ちっともオッサンくささを放ってはいない。実際、瞳もつぶらで、他の動物園のカンガルーたちと比べてかわいさレベルが高いように思える。
それはそれでいい。ただ、オッサンっぽさの方も見たいのだが…。
檻に張ってある掲示に、カンガルーの生態について解説されていた。カンガルーは夜行性で、昼間は横になって休んでいることが多いらしい。うーん、今回も昼間に訪れているのだが…。
掲示の写真では例のリラックスポーズを見せているので、上野のカンガルーにもオッサンっぽさはあるのだと思うが、今回はたまたまタイミングが悪かったのかもしれない。上野にオッサン性を求めて行くのは要注意だ。
●南国バージョン・沖縄こどもの国
続いて紹介するのは、沖縄県の沖縄こどもの国にある動物園。ここでもカンガルーが飼育されていて、頭数もかなり多い。
モリモリと草を食べていて、カンガルーのかわいさを炸裂させる個体が多い中、飼育スペースのはじの方におっさんチームを発見できた。
わかるわかる、はじっことか壁ぎわって、なんか落ち着くよね。オッサンチームのカンガルーたちは、かわいいチームに追いやられてはじっこにいるというよりも、自分たちから好んでそこにいるように見えた。
ただ、沖縄のカンガルーはどうも注目されるのが苦手なのか、じっと見てカメラを構えているのが気になるようだった。
あー、ごめんごめん、リラックスタイムを邪魔してしまったか。はっきりとこちらを見て、体を上げてしまった。
ああ、失われていくオッサン性。もっともっさりしていてくれていいんだよ。確かに熱い視線は気になったかもしれないが、そういうことに揺るがずオッサンでいて欲しかったのだ。
●アクティブ派カンガルー・ズーラシア
最後に紹介するのは、神奈川県横浜市にある動物園、ズーラシア。ジャングルの中を探検していくような構成になっていて、歩いているだけでも面白い動物園だ。
カンガルーの展示ゾーンも趣向が凝らされていて、スペースも広い。その分カンガルーとの距離が遠くなりがちなのは残念だが、より野生に近い様子を見られるという。
まず目に入ったのは、葉っぱを食べるカンガルーたち。食べる仕草としてこれまで紹介してきたようなかわいさよりも、モリモリと食欲旺盛に食べているという感じ。オッサン性よりも若者らしいエネルギーが感じられる。
そしてこのズーラシアで特徴的だったのは、カンガルーが元気よく動き回る様子が見られるということだった。
自由に動けるスペースが広いことからか、結構な勢いでピョンピョンと飛び跳ねる様子を見ることができた。今回見てきた他の動物園にはないことだったので、そうした姿を見るにはよい動物園なのかもしれない。
反面、例のリラックスポーズをとる個体はなし。訪れたのがやや遅い時間だったので、そういうことも関係しているかもしれない。
それでもしばらく見ていると、腹を掻く様子を見ることができた。ボリボリといい感じにオッサンっぽい。そしてそのまま、おなかのにおい嗅ぐコンボに移行。きっといい感じにくさいんだろう。そしてそれがやめられないんだろう。わかる気がする。
なんとかオッサン性を見ることができてよかった。もっと日の高い時間に来ればまた違った様子を見ることができたのかもしれない。
動物の脱かわいさを求めて見て回ったカンガルーたち。期待に違わないオッサン度を放っているものが多く、個人的には満足できた。
動物たちは同じ地球の仲間たち。オッサンくさい彼らを見て、そういう思いが深まった。
写真は多摩動物公園にて。後ろに空いてる穴からだとうまく袋に入れたのだが、前から入ると無理があった様子です。