人は死ぬと、天国と地獄の分かれ道で、えんま様に一生の行いを審判されるという。
一生分の行いが鏡に映し出されて、それを一緒に見るというようなバリエーションもあるらしい。話の趣旨は、だから悪いことはしちゃいけませんということになるのだと思う。
しかし子供心に思ったのはこうだった。それってえんま様すげー早送りを見ることになるんじゃないの?だったら悪いことしてもばれないんじゃないの?と。
実際どうなのか、一日分で試してみました。
(text by 三土たつお)
自分の行いを映す鏡をつくる
そもそもえんま様はいったいどれくらいの早送り映像を見ることになるんだろうか。
えんま様だってそりゃ忙しい。一人の審判にかけられる時間はせいぜい5分くらいだろう。一生が80年として、それを5分で振り返るとなると、映像は840万倍速になる。
DVDだと32倍速とかで見られるけど、そんなのとは比べものにならない。
早送り映像
えんま様が見る映像はどんな感じになるのか、実際に作って見てみよう。たとえばぼくの一日分の行いを撮っておいて、それを圧縮した映像をつくってみるのだ。
ぼくの1日 for えんま様
いくつかの善行や悪行を行いながら一日を過ごしてみた。えんま様になったつもりで次の映像を見てみてください。果たして分かるもんなんでしょうか。
速すぎて分からない
どうでしょう。何が起きているのかすら分からないんじゃないかと思う。生前の行いを審判する余裕なんかいっさいない。
すると、結論としてはこうなるんだと思う。
結論: 悪いことをしても特にばれない
よしよし、明日からはいっぱい悪いことをしよう。
でも待てよ、相手はえんま様だ。一般人の能力で判断しちゃいけないのかもしれない。これまでのすべての人間の一生を見るなかで、その動態視力も激しく強まっているのかもしれないのだ。
次ページでは、えんま様にはどう見えていたのかを検証したい。一日を振り返ると、いいことや悪いことを少しづつしているものなんだろうか。