かんきつ類の皮は生でもママレードだった

ママレードとしてジャムになるほか、みかんの皮は干して入浴剤にしたり、脱臭剤にしたり、そういえば漢方薬にもなると聞く。そういえばこのあいだテレビで魚焼きグリルの掃除にも使えるというのを観た。捨てる部分じゃないのだ。

なので、そもそもそのまま食べてみようと思う。

かんきつ類の皮って、名まで食べるとすごく苦いのだった！　ママレードの10倍は苦い。顔が「にー」となる感じ。

そして、食べているときの何か間違っている感がすごい。だって、むしゃむしゃ皮を食べているのだ。例えば、「心ここにあらずの状態でティーカップにお茶をあふれさせてる人」みたいに、漫画的に正しく間違えてる。

間違えているばかりじゃつまらないので、超手抜きではあるがママレードを作ってみた。

ゆでこぼして苦味を軽く抜き、その水につけて一晩。あとは皮と同量の砂糖を加えて煮る。普通は薄皮を取った実を入れたりもっともっと手間のかかる工程があるわけだが、こんなもんでどうだろう。

レモンなんかも顕著にそうだが、柑橘類の皮は煮るとオレンジピールとかレモンピールとか名前が横文字になってちょっと豪華なものになる。手間は偉大だ。

本「バナナは皮を食う」

そうして果物の皮を楽しんでいるころ、頼んでいた本「バナナは皮を食う」が届いた。

バナナは、皮を食う。

どういう事態だろう。読んでしまってから皮を食べるのではちょっとつまらない気もし、まずは一丁、バナナの皮を食べてみることにした

バナナの皮は食えない

大通りで突き進んでくる車を大の字で制止するような格好で、言う。バナナの皮は食べちゃだめだ！

これはすごかった。私が今まで食べたもののなかで一番食べられないものかもしれない。紙や土のほうが多分よっぽどおいしい。本当は生食の他、天ぷらなんかにしてみようかなどとも思っていたのだが、これはだめだ。食べちゃだめなやつだ。

調べたところ、私が食べちゃったバナナの皮には微量ながら毒性があるらしいこともネットに書かれていたのだった。がーん。

こうなると余計気になるのが「バナナは皮を食う」というエッセイの内容である。読んでみてこれがまた「えっ」というものだった。

きちんと購入して読みたいと思う方もいらっしゃるかと思うので詳しくは書かないが、いわゆるバナナの実の部分は植物学的には果皮、つまり皮であるのだよ、ということであった。

同様に、イチゴの実だとして食べている部分は本当は茎なのだよ、とも。なるほど、エッセイの作者である牧野富太郎さんは理学博士で日本の植物学の父と呼ばれる人だそうだ。

うおー。そういうことだったのかあ！！

そうしてまた思い出す子どもの頃のこと

エッセイを読んで、また思い出したのは子どもの頃小学校で巻き起こった「スイカ論争」であった。

ほら、みなさんのクラスにもいたんじゃないだろうか「スイカ（もしくはメロン）って野菜なんだぜ」っていうやつが。

けんけんがくがくした結果、先生とか大人っぽい立ち居地の子に「まあ甘いんだから果物でいいんじゃないのか」といさめられた、あの日の教室。

今回の私はクラスで「バナナって、皮を食べるものなんだぜ」といわれて、へーと思ってばか正直に皮を食べてみて泣いた子という感じかもしれない。いや、でもいい経験をさせていただきました。すごい味だった……。

そういえば、バナナの強烈さで忘れていたが、ほかにこの果物の皮も食べたのだった。最後にどうぞ。