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はっけんの水曜日
 
ブック・オフ無限地獄


私はそんなに音楽に詳しくない。いや、好きではあるのだが、本当のマニアを見ていると、全くかなわないと思う。大リーガーと草野球チームくらい違うと思う。
でも草野球レベルでも、憧れることがある。それが「遠征」だ。
マニアが珍しい中古品を求めて、地方に出かけることをそう呼ぶ。音楽ファンじゃなくて古本ファンも、これをやる。
半端な音楽好きの私でも、憧れる。旅でCD探し、なんかもう素敵な響きだ。
でもマニアじゃないので、参加資格する機会がない。じゃあ自分で行ってしまうか…?
そこで私は、もの好きな友人に付き合ってもらい、とりあえず東京から北上した。目指すは群馬だ!

(text by 大塚 幸代

昼12時に出発。
「街道ぞい、ある古本屋はみんな寄っていこう!」
そう思っていたら…。
まずあったのは、ブックオフ。

パフィーの名曲カヴァー集(250円)とサルビア東京案内(105円)という本を購入。
棚をランダムにチェックしているだけで、いつのまにか30分以上かかってしまうので、自分が見るジャンルを絞ることにした。CDと旅本だ。
あとずっと探している『シャンプー/トラブル』の日本語カヴァーシングル。絶対にナイと思うけど、米女優、グロリア・スワンソン自伝とタレーランの本も。

次に見つけたのもブックオフ。とりあえず見る。桜塚やっくんが岡村靖幸に書き下ろしてもらった曲「あせるんだ女子は いつも 目立たない君を見てる」(DVD付)を105円で購入。
グロリア・スワンソン自伝はなかったけど、マドンナの暴露本があったので購入、105円。

次にあったのもブックオフ…。
だんだんブックオフを見るのに慣れてきて、CD250円均一棚→500円均一棚→シングルCD105円棚→古書棚の興味がある所をピンポイント攻撃、というふうに自分ルールを作るようになった。
Mad'houseというユニットのマドンナカヴァー集と、「京都、オトナの修学旅行」という本を購入。
買ったCDは、すぐに移動車内できいてみた。「あ、ハズレ」とか「アタリ」とか思いながら走る。

まったもやブックオフ。
マイルールに追加事項を付けた、「よっぽどのことがない限り、1品に500円以上は出さないこと、本当に欲しいものしか買わないこと」。
しかしこう、さすがにブックオフ、どこに行っても雰囲気同じ。というか店内の風景が同じ。時々、不安になった。ココハドコ? 私はだれ? 
まるでマトリックスだ。
ブックオフ・マトリックス!
そんなマトリックスの中、ものすごく意外なCDを見つけると嬉しくて我にかえる。ダンディ坂野の「OH! NICE GET'S!!」は、ダンディが最高潮の時にリリースした、マニアの間ではちょっと話題になっている、軽快なステキ曲。まさか私が見つけることが出来るとは…。ちょっと感激しながら購入。

ハード・オフにも寄った。ハードオフは、ソフトじゃなくてパソコンや家電などを売っているお店だ。その中にも「ジャンク品」として、ざらーっとプラスチック箱の中に、CDが突っ込まれていた。105円均一。見るのがやたら大変であった。
安室ちゃんの「愛してマスカット」とか入ってる初期アルバムと、キルビルのサントラ、暗いアニメ『スーキャット』DVDを購入。ブックオフより安いので嬉しい。

すっかり日が暮れて…というか、夜も深くなっきた。夕ご飯を食べ、さらに車移動する。
夜でもなんでも、10〜15分走れば、またブックオフが見つかる。
この日はひどく寒く、車から降りるのも難儀だった。どんどんブックオフの光が恐くなってきていた。でも途中から、だんだん意地になってきていた。かかってこいブックオフ。行ってやるぞオリャー!
しかし気合いの割に釣果は多くなかった。このCDも、昔持ってたんだけど、貸してなくなっちゃったので、買い直した、という後ろ向きな購入動機。250円だからいいんだが。ブルーハーツのライブ音源とか入っててかっこいいCDですよ。

また次の店舗で、寒さの中、前向きじゃない購入続く。ビデオは私の好きなアーティストが、105円で売っていたので、あまりにも可哀想で「一緒におうち帰ろうね!」てな気持ちで購入してしまった。伊丹十三の本も、読んだような気がするけど…読み返そうかなあ、と購入。
ブックオフを「読み返す本を買う所」として使ってる人って多いと思うのだが、どうでしょう?

また次のブックオフ。だんだんくたびれてきて、1枚しか買わなくなる私。買ったのは90年代の女性ボーカルバンド。「いいとも青年隊」(初代じゃない、91年くらいの方々)と「CHA-CHA」(勝俣州和のいたアイドルグループ)のベスト盤があったので買いそうになったけれど、冷静に考えると「聴かないな…」と思ったので買わず。こういう「欲しくても入手出来ない盤」を買うのが中古の醍醐味ではあるのだけど。
時間は23時近くになっていた。身体はくたくた。

最後に閉店まぎわの店に入って、欲しいCDが無かったので文庫本一冊買ってフィニッシュ。
結果、群馬にまで抜けることはなく、埼玉県内までしか北上出来なかったのであった。時間は24時をまわっていた。馬鹿だ…。


■ブックオフに詳しくなった…。

普通、古本屋さんに行くなら、その店の特徴を知るところから始まるわけだけれど、ブックオフは違う。どこも同じだ。決まったルールの中、「どうやって、自分好みのものを安く見つけるか」というゲームになる。
これがなんというか、ウキウキしない。自分でやっておいて何だけれども、修行みたいであった。どこまでも続く同じ棚。同じBGM。
決してブックオフが嫌いなわけじゃない。大好きではあるんだけれど…。

ブック・オフ攻略法

  • 見るジャンルを、頭の中で決めておく(探してる作品は心の中でリストアップ)
  • 自分の払ってもいい金額の上限を決めておく
  • 105〜250円の商品は「失敗してもいいモノ」として、バクチで買うことにするとか、自分ルールを決めておく

ああ、全国均一価格で、キレイで、入りやすいブックオフもいいけれども、
次はCDシングル20〜30円当たり前のような中古屋に、本当の地方「遠征」に行きたい…!! ていうか行く…!!


 
 
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