●いつだっておんな盛り

　 いや、ここは冷静になるべきだ。恩納村は自然に恵まれたリゾート地としても有名である。雄大な景色に抱かれて、目を覚ますべきではないだろうか。

　そういうわけで、村内にある絶景スポットの一つ、万座毛を訪れた。おお、本当に素晴らしい景色だ。

　独特の形をした崖、果てしなく広がる海。目の前に横たわる自然の神秘に包まれていると、おんな村おんな村とはしゃいでいた自分なんて、どうでもよくなりそうだ。

　自然に包まれて雑念が消えかかったところで、村内を移動していると目に入ってくるのはこうした看板。ゆいゆいおんな、オンナ建材。そしてクリーニングオンナ。

　景勝地で浄化された気持ちが再び妄想に呼び戻される。おんな村なんだから仕方ないと頭でわかっても、オンナ建材と言われるとまたしても不毛な想像力が先走る。

　もうわかんない。貝の店の写真撮って興奮してる自分がいる。

　「貝の店」とぐいぐい押してくる店があるということがまず想定外。一度入った思春期のスイッチは、これまで葛藤した分だけちょっとした刺激にも敏感に反応しがちなのだ。

　十代のあの頃をトレースするように、興奮の対象は無軌道になっていく。左の写真は村内で見かけたガチャガチャ。「なにがでるかな」と、ただでさえギャンブル性の高いガチャガチャの特徴を一層先鋭化したものだ。

　書いてある文句がすごい。「すげぇすげぇ」、「スペシャル!!」。「大当たり」の下はちょっと見づらいが、「豪華メンバー大集合！」だ。そして、右上には謎の「パッケージ入り」。

　意味がわからない。村内のコンビニで売ってるおにぎりがでかくなるのも無理はない。

　興奮の対象が、ガチャガチャとおにぎり。「おんな村」という枠を超えておかしくなっている自分を、原点に戻すような看板が目に入った。

　「おんなの駅」である。演歌のタイトルのようでもあり、「おんなまつり」や「おんな売店」とは違った情緒が感じられるフレーズだ。

　言葉の響きにそぐわないタコのイラストも気になる。これは行くしかないだろう。