青い鳥はここにいた

・それが必要であること
・お買い得であること
・生活感がないこと

試行錯誤の結果、しがらみだらけの大人が大人買いをするための条件はこの3つであることが分かった。

そうしてやってきた包装資材のお店。結果からいうと、私の青い鳥はここにいたのだった。

安いこと、生活感がないことの2点は完全にクリアされている。買うとなると引っかかってくるのはやはり「それが本当に必要かどうか」だ。

結局私はマチのついていない紙の小袋を買うことにした。

ここまで来ると かなり個人的な話になってしまうのだが、私の親戚はよく写真を交換しあう。法事やお祝い事で集まると、各自がとった写真を後で送りあうのだ。死んだ祖父がその手のことが好きなマメな人だったのが親族に伝染しているらしく、私も方々へよく写真を送る。写真を入れるのに小さな紙袋が重宝するのだ。

必要！　必要だ！

「ここにあるもの、全部下さい」と言うチャンス

200枚入りの袋を手にし、もう少し買ってもいいなと思ったときにさらに 目に入ったものがあった。

マチのついていない袋は柄の種類が少なかったのだが、この箱のなかに色々とかわいらしい柄の袋がたくさん眠っていた。小分けにしてあって、一つ一つは100円以下と安い。

……これ、もしかしてもしかすると全部買えちゃうんじゃないか。ここへきて自分にはありえないと思っていた本気最上級の大人買い「ここにあるものを全部下さい」というセリフをかます可能性が急浮上した。

や、やるか?!

ただ、この小部数売り、内容量が少ないので安いとはいえ200枚などのまとめ売りに比べてかなり割高な値段設定になっている。まとめ売りで1枚2円弱のものが1枚6円と強気。

そこで、お店の方に全部買うから安くしてもらえないか交渉してみることにした。あの、ここにあるもの全部買いますから、まとめ買いくらいの値段にしてもらえませんか？

「え？　はい、ええとどうだろう。ごめんなさいね、今店長がいなくて私たちじゃ判断できなくって」

よく言われることなのかあまり驚かれることはなかったのだが、後で電話して欲しい、ということになってしまった。

ピーッ！

笛が鳴った。

大人買いとはえ地道に

うっかり見失って全部買いをやろうとしてしまったが、ここでホイッスルだ。よくよく見ればダンボールいっぱいの紙袋を買うのはいくらなんでも多すぎる。買ってしまって後でアワアワしてもよかったのかもしれないが、店長がご不在で助かった。

結局200枚の束とダンボールから小部数売りを数点ピックアップして購入した。

しがらみだらけの大人買い、これぐらいで限界であります。