デイリーポータルZロゴ
このサイトについて


フェティッシュの火曜日
 
曲技飛行のラストフライトを見に行く

決勝1日目

 いよいよ競技が始まるかというころ、 「上を観てください」というアナウンスがされた。上空を見上げてみると、飛行機からパラグライダーで4人飛び降りてきた。オープニングのセレモニーらしい。



米粒みたいな高さから

ぎゅーんと着地



 フラッグをたなびかせたパラグライダーがものすごい勢いで滑空したので一瞬どっきりしたが、そのまますーっとなめらかに着地したので、思わず「おー」と歓声をあげてしまった。プロの技である。

 パラグライダー軍団が持ってきたフラッグを地上でおねーさんが受け取り、競技が開始された。


この距離でも分かる厚底ブーツ



 競技は各選手が1日目と2日目にそれぞれ1回ずつフライトし、点数の高い方を採用し順位がつけられる。点数は以下の4つに基づく。

 1:音楽に合わせた動きによる芸術点
 2:高度な操縦技を出すことによる技術点
 3:空域を広くバランスよく使うことによるポジショニング
 4:特別審査員によるスペシャルポイントの合計点

 トップバッターはオーストリアの選手、マーティン・アルブレヒトさん。しばらく上空を旋回した後に、機体を大きく3回揺らすことで開始の合図がされる。音楽がなり始めて、競技がスタート。

 音楽に合わせて、ぴくぴくっと生きもののように翼を揺らしたと思ったら、今度は回転しながら大きく上昇し、そして重力と勢いが釣り合ったところからひゅるひゅると降下…。とても飛行機の動きには見えない。


飛行機雲がタツノオトシゴのよう

そのあと急降下


 およそ5分の飛行はあっという間に終わってしまった。安定性よりも機動性を重視しているというアエロバティックス用の機体の動きはとても不思議だった。

 そして競技なので点数がつけられる。彼のポイントは10305。結果的に最も振るわなかった彼だったが、アエロバティックスを初めて見た僕はいきなり凄いものを見せてもらったような気がした。


スクリーンにはこの笑顔


 今大会では7名の選手が出場した。そのうちでもっとも解説の方々からの人気が高かったのはロシアのビクトル・チュマル選手だった。

 今大会で最年長の彼はもっとも熟練した技術を持っているとベタ褒めされていた。会場に強風が吹き荒れる中、「彼のところだけ風が吹いていないようでしたね」と言われるような安定した演技を見せていた。


風が無いかのような安定した演技

フライト後、近くを飛んでくれます

 

天才の演技

 この日、僕が一番気になったのはフランスのルノー・エカーレ選手だ。最年少の27歳で「彼は天才だ」と紹介されていた。

 演技を見ると確かに大胆な飛行は他の選手と比べて際立っていたように思える。直線的に飛ぶイメージがある飛行機にもこんな動きができるのか、と感心してしまった。


オレンジ色のカッコイイ期待

 

手ブレがひどくてすみません。注視すると酔います。


 得点は12125点。2位を400点ほど離してのダントツのトップだった。

 でも点数に関係なく、どの選手も素晴らしいテクニックを披露してくれたと思う。解説の方が「ポジショニングがよくなかった」とか「あそこは失敗したんですかねえ」とか言うので、僕は「なんでそんなこと言うんだ!」と思った。

 唯一納得できた解説は「風が強い」で、おそらく観客席に座っていた人全員そう思っていただろう。日陰になったことも重なって薄着ではいられなかった。


雲はなくて気持ちいいが

風が強くて寒い


 こうして2日目(決勝1日目)は終わり、翌日の競技に引き続いた。どうなるか楽しみだ。

 2日目の競技後はフライトガーデンウォークというイベントがあって、選手にサインをもらったり、飛行機を近くで観ることができた。



飛行機とツーショット

整備士だろうか


< もどる ▽この記事のトップへ つぎへ >
 

 
Ad by DailyPortalZ
 

▲トップに戻る バックナンバーいちらんへ
個人情報保護ポリシー
© DailyPortalZ Inc. All Rights Reserved.