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ひらめきの月曜日
 
大田原市が、とうがらしで熱かった

想像してた50倍はおいしい

さっきの吉岡迷博士も言っていた。「とうがらしは体が温まる」と。じゃあジェラートを食べたら、人間の体はどうなってしまうのか。そもそもこれは商品として成立しているのか。

ナゾが多すぎて、手がかりさえありゃしない。


左は人気No.2の岩塩。右は人気No.1のブルーベリーマーブル。岩塩に比べれば若干ピンクがかっている。
いやあ、ここまで来ても味の予測がつきません。
ひと舐め。とりあえずちゃんとしたアイスだ。……おや?
…あれ? …あれ?

どうしよう。おいしい。

普通のバニラアイスの味はしっかりしつつ、やっぱり舌のどこかに残るのだ。例の風味の良い辛さが。バラバラなはずの組み合わせのせいか、食べていて飽きない。

撮影していた工藤さんもようやく食べ始めた。「ああ、これはうまいですね!」と言う。うん。うんうん。

汗こそかかなかったものの、食べ進めるうちに胃の辺りがモワーンと温かくなったような気がする。なるほど、「冷たいけど温かい」は両立するんだなぁ。

「うわー、不思議だー」と言いながら食べ終えた。

 

ここを離れよう

さて、他に何かないかとレストラン館へ行ってみたのだが、特筆すべき何かはなかった。ほぼ皆無であった。


地元の人は、かえって食べないものなんでしょうか。

もうここに食べる物はない。見るべき物は見た。聞くべき話も聞いた。体験できることは全部した。

…十分だろう。フォーラム会場を出て、大田原市の中心部へ向かおうじゃないか。そしてトドメを刺そう。


向かったのは「応竜」という中国料理屋さん。そうです、とうがらしラーメンを食べに来ました。
店の外には、のぼりが。

他にもとうがらし料理を出す店はあったのだが、今回はこの店を選んでみた。

私はラーメンを、工藤さんはチャーハンを頼む。もちろん両方とも頭に「とうがらし」という文字が付くことは言うまでもない。


先に来たのはラーメン。なんだか普通においしそうです。
スープを飲んで思わず「うまい!」と声が出た。
中からは例の赤い麺が。おおー。
そして工藤さんのチャーハンも来た。…ん?

ニコニコと嬉しそうに石鍋をかき混ぜている工藤さんに「それ、混ぜる前に写真撮りました?」と聞くと「あっ」と小さく叫んだ。

「よくあるんですよねー」と言っていたが、実は私もある。よくある。


食欲が優先してしまうことって、ままありますよね。
本当はこんな感じに卵が乗ってたようです。

チャーハンを食べさせてもらったが、こちらもうまい。これはラーメンにも言えることなのだが、突出した辛さではなく、あくまで辛みはマイルドなのだ。普通に「おいしい料理」として成立している。

餃子にも同じことが言えた。


見た目は「あれまぁ!」でも、ちゃんとおいしい餃子。

しかし、ここで我々はトドメを刺されてしまった。

この日食べたものはどれも辛さが優しいものばかりだったはずだが、朝から少しずつ少しずつ蓄積されたそれらが一気にドカーンと噴出したかのように、2人とも猛烈に熱くなってしまったのだ。


「熱い!」(ラーメンではなく自分が)と言いながら、
汗、だくだくと止まらず。
たまらず半袖に。
熱い!(餃子ではなく自分が)けどウマイ!

さすがに腹がいっぱいだ。そしてホッカホカだ。ビールがいつも以上においしく感じられる。

食べている途中、いかにも近所に住んでます、といった風情の若い男性が一人フラリと入ってきて、いつも頼んでるんです、といった調子で「とうがらしラーメンひとつ」と注文し、店の漫画を読み耽っていた。

観光客相手の珍奇な食べ物ではなく、本当に地元の人に愛されている料理なんだなぁ…と思うと、なんだか妙に嬉しくなった。

 

一人で続行

店を出て、そのまま東京へ帰ってきた。帰りの新幹線で食べようと思っていたのだが、2人とも眠りこけてしまい食べられなかったパンがいま、部屋にある。

よし。私の中でフォーラムはまだ続いている。一人になっても食べてやろうじゃないか。


チョリソー入りのと、普通のと。
ああ、しみじみとおいしい。これはいい。

チョリソー入りのパンをひとくち食べて「あ、こりゃビールだな」と冷蔵庫に取りに行った。

何も入ってない方も、やっぱり普通に、真っ当に、おいしいパンの味がした。

おいしいとうがらしでした。

大田原に行く前は「どんなすごい辛さの料理が食べられるんだろう」と、多少ワクワクした気持ちがあったことをここに告白する。

でも、どうやら私は間違っていた。とうがらしを市の特産品として復活させることと、異常なまでに辛いチャレンジメニューを作ることは、まるっきり次元の違う話だった。単に辛ければいいってもんじゃない。そこには、ちゃんとしたおいしさが必要だったのだ。

実はフォーラムの途中から、そのことには気付いていた。「そうだったのか」と反省し「ああ、なんだか恥ずかしいな」と思った。これは、私のような観光客が勝手にキャッキャと喜んで「あー楽しかった」で済ませていいような、そんなレベルの話ではないように感じたからだろう。

それでいて農産物直売館でハバネロを買って帰ってしまうあたり、本当に反省してるのかどうなのか、我ながら疑わしい。

どんな危険物か、と思う注意書きだもの。

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