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はっけんの水曜日
 
石を叩いて火をおこそう

まずは火をおこせるようになりたい

しかし火の出る石を探す前に、まずはノーマルに火がおこせるようになる必要があるだろう。標準形を体験すべく、博物館のショップで火打ち石と火打ち金のセットを購入した。石は水戸黄門も愛用したという「水戸火打」というメノウの原石。火打ち金は火打ち金界のトップブランド「吉井」の焼き入れされた火打ち金だ。ショップの方も「これさえあれば!」と言っていたから間違いないだろう。

火をおこしてもいいバーベキュー場にやってきた。

 

購入した火打ち石。 ロウソクに灯れば成功だ。
今回は火花を飛ばすだけでなく、火種として着火するところまでやる。説明書きによると、左の写真のように打つ場所のすこし内側に火口となるものを一緒に持ち、この火口で飛んだ火の粉をキャッチするらしい。火口は燃えやすいコットンを選んだ。ぼわって一気に燃えて指が焦げないか不安だ。
こうしてまとめて持ちます。  

周りがバーベキューをして騒いでいる中、一人黙々と石を打つ。火打ち金が火打ち石の角にうまくヒットすると「バシッ」と盛大な火花が散り、「ジジジ・・」と小さな火の粉が燃える音がする。さすが純正セットだ。この様子だと火口に火種が灯るのも間近だろう。燃え上がって眉毛とか焦がさないようにしたい。

顔がひけている。  
わかっているのだが火が出るとちょとあせる。

めげずにカチカチと石を擦る

何度も火花を発生させて得たコツは火打ち石の角を擦るように火打ち金を振り下ろすこと。この際、あまり力を入れすぎない方がいいみたいだ。イメージとしては石の角で鉄を削ぐような感じか。うまく決まるとその度に「バシバシッ」といい火花がでる。

石はもろいので火が出る代わりに角が欠けていく。  

火花は出るがなかなか思うように火口に火種が灯らない。確実に火花はコットンの上に落ちているように見えるのだが、どうも着火しないのだ。最初は燃え上がるんじゃないかと思っておそるおそる叩いていたのだが、30分くらいやってまったくその気配がないとわかると、徐々に叩き方が豪快になっていった。

途中、バーベキューの方から酔っぱらった男女がやってきたのだが、三脚で自分撮りしながら火をおこす男には話しかけてこなかった。

徐々に暗くなり始めている。  
小さな火種が一つ落ちてコットンがぽつんと焦げた。 日が落ちると火花がきれいに見える。

1時間ほど叩いた成果はコットンに一カ所焦げ目を付けただけだった。飛んだ火花はコットンに着地するのだが、何度やってもそのまま消えてしまうのだ。

こうなったら平成という時代を見せてやる。コットンにライターのオイルをしみこませるのだ。最初からライターのオイルを用意しているあたり、心の弱さというか大人の打算みたいなものが見て取れるが、もしかしたら江戸の人たちだってひまわりの油とかをしみこませていたんじゃないか。だってあまりに着かないから。

現代人なめんな。  


ちょっと待ってください

オイルをしみさせたり裏技的なことをしても火口に火種はまだ灯らない。打ち手の修行が足りないということだろうか。でも絵的にも買ってきたスルメを灯した火で焼きたいのでもうちょっとがんばってみることにします。

その間、町で探した打つと火が出る石たちをご覧ください。



 

 


 
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