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ひらめきの月曜日
 
エレベーターのランプを作る製作所に

次に板金の加工を見せてもらいました

先ほどのアクリルも、支える板金がなければ意味がない。ここはランタンの縁の下の力持ちといえる板金を製造する現場だ


板状の板金を専用の機械で設計図通りに切り取っていく 飛び散る火の粉
あまった板金はこうやってストックされる こうやって板金部分もできあがる。これはランタンのケースですね

 

次にお邪魔するのが組立グループです

工場内で最も多くの人々が働く組立グループ。板金部の力強さとは対照的に、繊細さや几帳面さが求められる現場です


けっこう広いフロア こうやってランタンが完成していく

 

おびただしいコードの数々ですが…



――いやー、すごい面白いですね。いつも見ているエレベーターの装飾がこういうふうにできているかと思うと

今村 そういっていただけると嬉しいです。ちなみに、こうれはコードです。

――コードっていつも乗っているエレベーターからは見えませんよね?

今村 うまいこと隠すわけです。が、梅田さんもご存じのとおり最近のビルはシースルーとかガラス張りとかが多いでしょう。だから隠すのがすごく難しいんです。どうやって隠すかは設計図を書いているときもすごく悩みます。

===

なるほど、そうだったのか。

僕はエレベーター鑑賞は人よりしてきたつもりだが、こうやって工場にお邪魔すると、分からないことだらけだ。

でも、鑑賞する側から見受けられることと、工場見学で得られる知識がぴったりつじつまが合っていたりするとすごくうれしい。点と点が線になるようだ。


どこかで見たことののある「上ボタン」がずらり
それぞれの引き出しには、ボタンのパネルがずらりと保管されている。

エレベーターの雰囲気を決定づけるボタンも勢ぞろい

――わ! ちょっと待ってください、これ! 普段僕が見ているボタンのいろんなデザインじゃないですか

今村 見憶えあるボタンが並んでいますよね

――ちなみにこういったボタンにも、コード番号があるんですね。33386889−3みたいな。

今村 そうなんです。こうやって番号をつけて管理するんです。

===

数年ぶりの旧友に再会したような嬉しさがあった。いつも乗っているエレベーターは、確実にこの会社の作業から生まれた場所なのだ。

エレベーター鑑賞において、エレベーター本体の雰囲気や、建物全体の雰囲気も重要であるが、こういったボタン類の記号やデザインが、全体の雰囲気を作り出すうえですごく重要なのだ。

そんな大事なエッセンスを島田電機は作っているのだ。

 

最後にお邪魔したのは工場内で最も原始的なやり方を続けている部署です

現在はコンピューターを使って行う設計も、昔は当然そんなものはなかったので、型紙を使って行っていた。現在でも時折こういった型紙を使って行う作業があるようだ。見学させてもらった。


昔はPCもなく、機械もなかったので、こういった型紙で手作業でインジケーターを作っていた。これはエレベーターの車体でよく使われるヘルベチカという書体 この型紙こそが財産。これがなくなれば、2度と同じような書体の作品はできなくなってしまう。持っているのがこの道数十年の大ベテラン
先ほどの型紙をマシンにセットし、縮尺を考えていねいに掘ると… 「2」という文字が打ち込まれているのが見えますか?

島田電機

東京都世田谷区北烏山8丁目25番1号
03-3300-1341

京王線千歳烏山駅下車、駅北口のバス停から「吉祥寺駅行き」のバスに乗り約7分、岩崎学生寮前で下車。そこから徒歩2分ほど。


お土産にホールボタンストラップと、ランタンの試作品をいただきました。うれしー

そんな感じで興奮のレポートをさせていただいた僕は、お土産にストラップまでもらって最高潮に嬉しかった。

エレベーター好きじゃなくても、このストラップはうらやましいんじゃないか。


ホールランタンやインジケーター(階数表示板)、ホールボタンはエレベーターの特性を決定づける重要な要素である。人間にたとえれば、体型や顔つきまでとはいかないが、髪型とかファッションにあたるものだと思う。

そんなエレベーターにとって重要なランプを、どういう会社が作っているのかを知った僕は大変うれしかった。この興奮が何人に伝わるのか分からないけど、僕はすごく満足だ。

今回体験したことはいつか「エレベスト2〜世界編〜」を発売するときにきっと重要な経験となるだろう。

それにしても、エレベーターのランタンを作っている会社が50人以上の社員を抱えていると思うと、すごいと思う。どんなことでも継続していれば大きくなる、という見本ではないか。経営者としてもいろいろとヒントになりそうなことがいろいろあった。これを読んでいる島田電機の皆さん、本当にありがとうございました。


 
 
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