沖縄で観光といえば青い海、白い砂、あと思い浮かぶのは水族館とか市場とかだろうか。しかし最近、その真逆ともいえるスポットが熱いという。毎夜繰り広げられる肉弾戦、マスクマンたちの死闘、そうプロレスだ。
沖縄でプロレス?と思うだろう。僕もまったく知らなかったのだが、実際に見に行ってみるとこれはもうはまるしかない感じなのでした。
(安藤昌教)
夜の町にマスクマン
沖縄の夜は長い。もちろん本州にくらべて日没が遅いのもその理由なのだが、なにしろ島の人は夜型だ。ぎんぎんに降り注ぐ太陽が沈む頃になると、町のテンションが徐々に上がり始める。
そんな夜遊びの中心地那覇、国際通りを歩いていると、マスクをかぶった人たちがビラ配りをしているのに遭遇する。そう、彼らこそが沖縄プロレスのマスクマンなのだ。
とても気さくなマスクマンたち。
マスクマンに誘われるがままにエレベーターへ乗せられる。プロレス会場はビルの5階にあるのだが、階下はふつうの店舗なのでエレベーターを降りたとたんに広がる光景に目を疑う。なにしろいきなりリングがあるのだから。テレビのセットみたいな違和感だが、本当にここが沖縄プロレスの会場なのだ。
チケット売り場には手書きの対戦カードが貼られていた。今日のカードは休憩を挟んで3試合。
1試合目 アグーvs ゴールデンパイン 2試合目 スペル・デルフィンvsキジムナーvsカンムリワシ用高 3試合目 怪人・ハブ男/シーサー王/めんそーれ親父vsゴーヤーマスク/キャプテン美ら海パイレーツザック/ミル・マングース
ちなみに1試合目のアグーというのは沖縄県産ブタのブランド名。2試合目のキジムナーというのは沖縄に古くから伝わる木の精霊だ。あとはなんとなく名前から想像してほしい。
リングサイドにはレスラーたちの肖像が掲げられていた。シーサー、ハブあたりは強そうだが、マングースとかになってくるともうよくわからない。ゴーヤーになるとちょっと違う意味で怖い。
20時試合開始のはずだったのだが、直前に「うちなー時間により8分後にスタートいたします」とのアナウンスがなされた。沖縄の人たちは概して時間に厳しくない。そういう気質を表現したのがこの「うちなー時間」なのだが、これがプロレスにも適用される。
まずは沖縄の伝統芸能から
試合開始のゴングが近づくと、あきらかにレスラーっぽくない人が出てきて三線を引き始めた。沖縄プロレスでは試合の前にまず沖縄伝統芸能が披露されるのだ。このサービスに会場は全員で手拍子。やはりここは沖縄、楽しいことに順序はないのだ。
いい感じに会場が温まったところでいよいよレスラーたちが登場します。すごいんだから、ほんとに。