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フェティッシュの火曜日
 
ライフル射撃がいかにストイックかを知れ

誰も知らないところで

ここまでのことだけでも頭クラクラだったわけだが、この上さらに、火薬を使ったスモールボア(小口径)ライフル銃の実射も見せてもらえるという。生まれて初めてだ。というかエアライフルの実射を間近でみたのも初めてだった。

地下の専用練習場に場所を移しての実射なのだが、これがまた異空間なのだ。


標的に何か畏怖のようなものを感じる。

地下は・・・標的まで50m!そして声がすごく反響する。これもエアライフル同様、銃自体の発射音はたいしたことないそうだが、地下なので標的に当たったときの音がかなり響くという。

吸殻入れかと思ったら薬莢入れだったので驚愕!のショット。
「弾の缶詰」!でも銀5枚・金1枚では交換できない。一番安いもので1発あたり約20円くらい。

そして・・・エアライフルでない、いわゆるあの一般的に想像するところの「ライフル」です。実感がわきません。

撃ち方だが、ライフル競技の種目は多岐に渡っていて、立って撃つ・伏せて撃つ・立て膝で撃つほか、それらを組み合わせたり、弾数も40発だったり60発だったりと、ここでは紹介しきれない。

今回は、伏射(伏せて撃つ)の実射をお見せしたい。一気に「狩猟」の雰囲気が漂う。


据え置きのスコープで着弾の確認。
繰り返すが、絶対無理。

手を銃に縛り付けて撃つという厳しさ。


28秒くらいにバーン!と音がします。心して見よ。

発射時、どうしても「バーーーーン!・・・」という音に驚いて、いちいちカメラがぶれる。相当な音がするのでさぞ体への衝撃も・・・と思いきや、「小口径なんて、衝撃はないに等しい」んだそうだ。ただし
「大口径は、怪我するくらい反動が起こる」という。私なら、即座にムチウチ必至だ。1発で体中の筋繊維が切れる。インナー、アウター両方のマッスルを鍛えなきゃ。

 

2008年標的への旅

「標的を見に行きますか」と、迫さん。え、いいんですか!

フューチャリスティックな空間を、「○に射」の字の入ったスリッパでぺたぺたと進む。

 
旅立ち。

なんと!フューチャリスティック空間に、土!

標的手前には盛り土、それをまたぐと、これもまたなんというか・・・映画のセットのような光景。

 
ここが標的だと思うと、撮影中も狙われているようで落ち着かない。

標的が、強力なハロゲンランプに照らされている。そういえば上階のエアライフル場も、標的はチラチラ光が揺れる蛍光灯じゃなく、白熱灯の類で照らされていたんだった。

標的の下には金網が敷かれ、その下には空間が。「下には”監的壕(かんてきごう)”というのがあって、標的が自動で降りていって回収できるようになってるんです」

なるほど。この標的はジャバラになってて、1発撃つと新しい的に自動で交換できるようになっている。で、全部撃ち終わったあとは、危険のないように監的壕から的を回収するわけだ。


これがスモールボアライフルの標的。30cm四方の紙の中心に、1cmほどの10点域。これを競う。50m先から・・・。
上の火薬弾が標的に着弾すると・・・ペラッペラ。

的から、もと来た道を見返す・・・照明ですごく暑い!

さてひととおり実射を終えたら、道具のお掃除だ。銃身の中の火薬と鉛を、こまめに落とさないといけない。道具のスポーツという言葉をまたここで思い出す。

「道具のスポーツになっちゃってるので、ものすごくいろんな規定がありますね。大会のたびに、スーツの硬さ・厚さを専用の計測器で測ったり(!)、例の目隠し板の幅も規定されてたり(!)」

まるで、そう、ここでF1レースを想像した。道具=ピットクルー、みたいな。

 
棒を突っ込んで、お磨き。

「ただ、あまりにも道具で固めたり規定されたりすると、もっと人間の力自体で競おうじゃないかという議論も出ますね。本来のスポーツのあり方と違うんじゃないかと・・・なのでオリンピックのたびに、ちょうどF1で排気量落とす、みたいな改正がなされたり」

人間の力の限界に挑戦しようとすればするほど陥るジレンマ。最近では競泳の水着問題など、どんなスポーツでも難しいところだろう。

聞けば、エアライフルなどもすでに満点の600点が記録されたりしているという。あれを、あの小さな点を撃って、満点出せるのか!どれだけの固めよう&集中力なんだろう。


 

 
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