やっぱりこういう料理は河原だ
こうしてできあがったホンオフェ料理だが、こんなに危険なものは家で食べるわけにはいかないので、人の少ない河原に持って行くことにした。
一週間発酵させたアカエイ、やっぱり臭い。ここまで車で運んだのだが、密閉空間だとかなりくる。
これほどの珍味、一人で食べるのはもったいない。そこで「バーベキューでもしましょう」と、真実はオブラートに包んで友人知人を招くことにした。
そして当日、一応約束どおりバーベキューを一通りしたところで、メインディッシュの登場だ。
やっぱり臭い
すでに匂いがもれているホンオフェだが、ガムテープをはがして封印を解くと、ビニール袋の上から異臭が広がっていく。
この匂い、寂れた漁港の路地裏にある汲み取り式トイレの匂いというか、ぬか漬け樽に子供がイタズラで腐った貝とタマネギを入れたような香りというか。今までに嗅いだことのある臭いものの要素を複数掛け合わせたような匂いである。
どことなくメイプルシロップのような甘ったるい香りも遠くの方でするようなしないような。いや、しないな。
この日同時に撮影が行われた大塚さんの記事の手伝いで来ていた当サイト元ライターの佐倉さんはその匂いを嗅いで、「純粋なアンモニアの匂い!」と、化学的見地からの叫び声を上げていた。
一枚、二枚とビニール袋をほどいていくたびに匂いは確実にパワーアップ。全部開けたら全然違うものが入っていたらどうしよう。
しかしびっくりしたのがファブリーズ。直接エイに触れないよう、エイをビニール袋に包んだ上に置いたのだが、それでも見たことがないような色に染まっていた。なんだこれはコーヒーゼリーか。
ホンオフェ、恐るべしである。
ホンオフェを取り出す
ビニール袋の上から臭い臭いと騒いでいても仕方がないので、勇気を出して最後のビニール袋をほどく。
遠巻きに見物していた人達にも届くこの暴力的な匂い。
鼻ではなく口で息をしながら、水分が抜けて一回り小さくなったアカエイを取り出す。これが世界で二番目に臭いホンオフェか。
ホンオフェが姿を見せたその途端、周りの空気に黄色い色がついたように見えた。
ゴーグルとマスクで私の表情が見えなくて申し訳ないのだが、眉間の皺で感じてもらえれば幸いだ。
なるほど臭い。
臭いが腐敗臭とはちょっと違う匂いなので安心した。エイ本体も一週間常温保存された魚とは思えない状態だ。
でもやっぱり臭い。