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はっけんの水曜日
 
味玉半熟しょう油味

このくらいになると中での作業なのだが。

穴が怖い

穴が徐々に大きくなっていくと中に入っての作業となってくるのだが。

これが怖いのだ。

外形を作る時点でかなりしっかりと踏み固めていないとここで崩れることになる。撮影係の妻には最初「もし崩れたら助ける前に写真撮ってくれよな」と強がっていたのだが実際中に入ってからは「やっぱりすぐに助けてください」と撤回した。しかも彼女がいないときには休憩と称してなるべく中には入らなかった。中は暗くて狭くて冷たくて、そのくらい怖いのだ。

中から見るとこんな感じ。とにかく怖い。

内部の掘削にはあまり力は要らない。さくさく掘れるのだが、しかしそれが逆に怖いのだ。こんなやわらかくて大丈夫なのだろうか、もしかしたら踏み固めが足りなかったのではないか、と少し前の自分が信じられなくなる。常に崩れた時の逃げ方を考えながら作業をするので基本逃げ腰だ。

夢中で穴を広げていると。

内部を拡張することに夢中になっていると、かきだした雪で入り口がふさがっていることがあるのも注意だ。これで入り口付近の雪がどさっと崩れたりしたら完全に冬眠クマさん状態になる。

いつの間にか入り口がふさがりかかっている。
やばいぞ、脱出だ。
この先はデリケートな作業が続く。

内部の雪をかきだしていく段階にはいると、先の丸い小さなスコップが役に立つ。一気にたくさん掘り出すのではなく、小さなストロークでコツコツと雪を削りながら内部を形成していくのが崩れないうまいやり方なのだ。と妻が外で言っていた。彼女こそが達人ではないのか。

自分の手じゃないみたいに無感覚。

このくらいまで掘って約4時間だ。体は熱いが手に感覚はない。ふと見るとマメがむけていたりするので注意だ。疲労と冷たさで痛いのかなんなのかわけがわかんなくなってきている。

中から見るとこんな感じ。

ようやく中腰で作業できるくらいの高さが確保されるようになった。最後の仕上げとして内部を平らなスコップでならしていく。このくらいになってくると天井部をはじめ雪壁はかなり薄くなっているので、あまり豪快にスコップを突き立てると貫通しかねない。慎重に。

スコップを寝かせて慎重に壁を削っていく。
内部はこのくらいまで広くなった。
日が沈んだ頃、ようやく完成。

完成

およそ5時間かけて石窟型かまくら一号が完成した。わかるだろうか、もうとっぷり日も暮れている。想像を超えた時間が経過してしまった。初めの頃使った筋肉がすでに筋肉痛になってきている。

正直ふらふらだが、せっかく作ったのだからと、うわさでは暖かいという内部で甘酒を飲んでみた。

感想は「うまい」だ。暖かいかどうかは僕の表情から判断してもらいたい。写真には写っていないが息まで白い。

 

中で温かいものが飲みたかったのだ。
それにしても寒いぞ。

かなりの重労働です

かまくら作りは想像を超えた重労働だった。そして正直かまくらの中はあまり暖かくない。しかし作っている最中は文句なしに暖かいし、完成したときの達成感は胸を熱くするものがある。だけど部屋に帰るとやっぱり単純に暖かいほうがいいな、とも思う。

雪国で暮らすには大変なことが多いが、その中にも楽しみを見つけることが長い冬を乗り越えるコツなのだろう。新参者の僕だが、これからも楽しみながら春の到来を待ちたいと思っている。

部屋、さいこう。 


 
 
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