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ひらめきの月曜日
 
ベランダ冷蔵庫のススメ

■積極的にベランダを使ってみよう

これまでは食材の保存を目的に実験してみたが、今度は冷蔵庫を使った料理をしてみようと思う。

やはり、マメに様子を見て…という面倒なことはしないで済むような料理でやってみたい。


料理の工程で冷やすレシピといえば、デザート系が多い。
今回はレアチーズケーキ作りに挑戦することにした。混ぜて冷やすだけの超簡単レシピのはず。
実は私、今までに1回もお菓子を作ったことがない。
ベランダ実験はさておいても、人生初のお菓子作りにちょっとドキドキだ。


まず、クリームチーズ200gと砂糖50gを入れて混ぜる。
あとで鍋にかけるので、ボウルではなくいきなり鍋で。
クリームチーズが固い状態で始めてしまったのでぜんぜん混ざらないうえ、クリームチーズがぜんぶ泡だて器にくっついてしまった。どうしよう。

クリームチーズをゆるくするため、鍋を火にかけたら砂糖が焦げて鍋底が黒くなった。簡単レシピでも、お菓子作りに不慣れな人間には難しいのだろうか…。

ヘコみながらも、焦げた味がつかないよう別の鍋に移し、今度は慎重に弱火にかけてチーズを溶かす。

 

クリームチーズと砂糖を混ぜる。クリームチーズは室温で温めてからでないと混ぜにくい(悪い例)。 火はごく弱火で。
うっかりすると、こんな風に鍋が焦げる(悪い例)。

さらに豆腐200g、牛乳200cc、メイプルシロップお好み、片栗粉30gを入れて混ぜる。
左下の写真を見ていただければわかるとおり、なぜだかとても見た目が汚い。
ダマもぜんぜんつぶれない。片栗粉はふるった方が良かったのだろうか。それともほとんど目分量だったのが悪かったのだろうか。

不安に襲われながらも弱火にかけると、なめらかになってきた。
とりあえず混ぜ終え、カップに入れる。我が家にお菓子用のカップなどないので、来客用湯のみを利用。

湯のみに5杯ほど、レアチーズケーキの材料が収まった。


全部混ぜたら弱火で1分ほど。見た目が妙に汚いな…。 ダマが残ってるけど、もう入れちゃえ。容器に入れて1時間冷やす。

おかきが入っていたブリキ箱の中に湯のみを並べ、ラップをしてベランダに設置。
レシピによると1時間ほど冷やしたら完成とのこと。

ケーキ=固形というイメージがあったので、固まるものだと思い様子を見ても、ぜんぜん固まらない。
おそらく自分が何かを間違えたのだろうと思い込み、このまま6時間も放置してしまった。
でもやっぱり固まらない。


仕方ないのでそのまま食べたら、あらおいしい。
混ぜただけなのにちゃんとレアチーズケーキの味がする!
少しダマが残っているのはご愛嬌。

食べ終わってから気づいたのだが、私が作ったのは「ムースタイプのレアチーズケーキ」だった。
別に固まらなくても良かったのか…。


とにかく初のお菓子作りは一応成功!
やったー。


ベランダだったら、同時に何個でも作れるぞ。 ダマがあるけど味はばっちり。お好みでジャム、メイプルシロップなどをかけてどうぞ。
休日の昼下がり、優雅にケーキ作りにいそしむ。
はんてん姿で。

 

■さらにチャレンジ

レアチーズケーキとは別に、もう1品作ってみることにする。
あずきのアイスに挑戦だ。
こちらも混ぜるだけのレシピだが、この時はまだ前ページの実験結果がわかっておらず、「ベランダは気温氷点下だから凍るかも」という安易な考えでアイスの材料をそろえてしまった。

アイスの材料といってもかなりお手軽。
ゆでたあずき200g、生クリーム200mlをタッパなどに入れて混ぜ、しっかりフタをしたら3〜5分振る!


ゆであずきと生クリームを混ぜて…。 上下に振る!
せっかくなのでWiiFitで運動しながら振る。 アイス、固まるかなー。

タッパの中身が混ざったらベランダへ。
こちらは冷凍庫で2〜3時間冷やしたら完成なのだけど、これがぜんぜん凍らない。
このアイスのタネも12時間ほど放置したのだが、やはりピクリとも凍らない。
このままではタネが悪くなってしまうので、いたしかたなく冷蔵庫で凍らせて完成。

後で製氷皿の実験をして、ベランダでは凍らないということがわかり、「ああ、あっちの実験を先にやっておけばよかった…」と後悔。

しかしできあがったアイスは絶品!
混ぜて凍らせただけでこんなにうまいのかーと目からウロコ。
なめらかで甘すぎず、シンプルな味がちょうど良い感じ。
ベランダうんぬんは置いといたとしても、自分で甘味を作る喜びを初めて知ったのだった。


結局冷凍庫のお世話に。冷凍庫に霜がついていてお恥ずかしい。 完成したあずきアイス。あずきを残しておいて乗せると、よりうまい。

 

■ここで立ち上がった人物が

このように数日間、ヒマさえあればベランダに出て、置かれている物を観察してキャッキャッと喜んでいたところ、それを見ていた夫も、なぜかベランダの隅で独自の実験をし始めた。

まず「俺はチューペットが食べたい」と言い出し、買ってきたチューペットを持ってベランダへ。

※チューペット…ジュースが入っていて、凍らせてチューチュー吸いながら食べるアレ。ちなみに私は「チューチューアイス」と言います。

植木鉢にチューペットを立たせて凍らせるつもりらしい。
私が植物を枯らした後ベランダに放置しておいた植木鉢を使うとは、「いいかげん片付けろ」という、私への無言のメッセージだろうか。


それはさておき、このチューペットもぜんぜん凍らない。
途中から右下の写真のように積もった雪につっこんだが、それでもやっぱり凍らない。
ベランダでチューペットを凍らすのは無理のようだ。


やはりベランダで凍らせるのは無理かー。 雪につっこんだチューペット。かわいらしい。

 

■ベランダの良さを求めて

チューペットを凍らせることはあきらめた夫、今度は「プリンが食いたい」と言い出した。
しかもオシャレなプリンではなく、プリンの素を牛乳で溶いて、冷蔵庫で冷やして作るなつかしのプリン。
夫にとって、お母さんがよく作ってくれた子供時代の思い出の味だそうだが、うちの母はプリンを作らなかったので、正直、私にはそういった思い入れがない。


プリンの素を牛乳で溶かして鍋にかけたところで、プリンにちょうどいいカップがないことに気づく。
使えそうな湯のみも、私がレアチーズケーキ作りで使用中だ。

夫はプリン(4人前)をボウルに入れ、そのままベランダに設置。
夫いわく「粗熱を取らなくてもいいのが、ベランダの魅力!」だそうだ。

確かに、冷蔵庫に入れるのであれば、冷蔵庫の中の温度が上がらないように、ある程度冷めるのを待ってから中に入れる。
しかしベランダであれば、熱々であろうが、ボウルのままであろうが、そのまま置いて冷やすことができる。

おお、そう言われると確かに便利だ、ベランダ。


プリンの材料を牛乳で溶かし、鍋にかける。 ボールをまるごとベランダへ。まだ熱々だけど、冷蔵庫と違ってまわりの温度が上がっちゃう心配は無用。

ベランダで1時間ほど冷やし、プリン完成。

すくって食べるのかと思いきや、夫はボウルを湯せんした後そのままひっくり返し、大きなプリンにしてしまった。

たぶん子供のころ、こうやってプリンを食べてみたかったんだろうな…。
大人の夢がつまったプリンの完成だ。


湯せんでプリンをゆるめてから、ボウルをひっくり返す。 オムライスっぽいけどプリン(4人前)。カラメルがデミグラスソースみたい。

 

■べランダの魅力は

このようにめいめい、思いついた実験やら調理やらを繰り返し、最終的に思い至ったのは「ベランダのふところの深さ」である。

通常の冷蔵庫であれば、少し買いすぎればいっぱいになり、そのうえ大きい容器なんて受け入れてくれない。
しかしベランダであれば、どんなサイズでもたいがいOKだ。
粗熱なんて怖くない。
2人がそれぞれ、思いついた実験を片っ端から始めても、それでもなおベランダは許容してくれる。

札幌で暮らしてもうすぐ丸12年。
やっと冬のベランダの魅力に気がついた。

遅すぎだ。

2人がてんでに実験を繰り返し、物が散乱し始めた我が家のベランダ。

 

■べランダ冷蔵庫のメリット・デメリット

地元の人は冬のベランダをどう利用しているのかというと、北海道出身の友人8人に聞いてみたところ、

  • 当然のようにベランダや外に食べ物を置いている。 外には出さないが、玄関や物置になら置く。
  • 外に出るのが寒いので外には置かない。

この3パターンのいずれかだった。
地元の人でも、寒い外に出たくない人は、あまり外に物を置かないようだ。

ベランダを冷蔵庫として使ってみて、気がついた点をまとめてみよう。


メリット
  • とにかく広い。大型冷蔵庫なんて目じゃない広さが自分のものに。
  • 冷蔵庫より寒いので、ドリンク類がキンキンに冷えてうまい。また意外と凍らないので放っておける。
  • 冷やす前に粗熱を取らなくてもよい(調理の都合で粗熱を取る必要がある場合は除く)。

デメリット
  • 食べ物を放置したまま忘れやすい。
  • 物を取りに外に出るのが寒い、面倒くさい。フロ上がりにビールを1杯なんて時は外に出るのをためらう。
  • お客さんに見られると恥ずかしい。この実験をしている時にストーブの修理の人が来てしまい、乱雑なベランダをばっちり見られた。
  • カラスに気づかれたらまずい。1階のお宅は動物に注意。
  • ストーブのススが飛んでくる(我が家の場合)。

あれ、なんだかデメリットの方が多くなってしまった…。

なお私に言われるまでもないとは思うが、地方によっては気温や状況が異なるので、各自のお宅にあったベランダの使い方をお願いしたい。
特に野生動物が来るような場所では要注意。


ベランダにいろいろ置いておいたら、ストーブ修理の人にチラ見された。 外に出るのが寒いよ〜。お酒を取るだけでもコート装備。パジャマに裸足では気軽に出られない…。

 

■おまけ実験

夜、仕事から帰り、ベランダでキンキンに冷えたビールを飲むのは最高だ。もう冷蔵庫のビールじゃ満足できない。

北国以外に住んでいる人にもこの喜びを!と思い、朝、冷凍庫にビールを入れて仕事に向かう。
夜には飲みごろになってやしないかと淡い期待を抱きつつ、帰宅して冷凍庫を開けると、ビールは凍って缶がパンパンになっていた。

やっぱり冷凍庫じゃ無理か…。

そこでふと興味にかられて、凍ったビール缶を開けてみた。
プルトップを開けた瞬間、いきおいよく飛び出す泡。15分くらい止まらない。しかもこの泡、すすってみたらものすごくまずい!

だめでした。

凍った缶ビールから、ものすごい勢いで泡が吹き出した。

■春の訪れを感じました

この実験を終えた日から、急に冬の寒さがゆるんできました。
わずかだけれど、札幌に春の気配を感じます。

せっかくベランダの有効利用法に気づいたのに、春が来てしまったら使えません。
寒い冬は嫌いだけれど、なんとなく冬が終わってしまうのが寂しいような気がします。

そう思うと、冬を有効利用しようとすることで、今まで嫌いだった冬を少しずつ好きになっているのかもしれません。

二重窓のあいだを活用しているお宅を発見。

 
 
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