雪が上下左右から舞っている。降ってるのか、地面に積もった雪が舞い上がっているのか分からない。寒さで顔が痛い。バナナを凍らせた北見よりも寒い(→参考「バナナで釘は打てるのか」)。風があるぶん寒さが遠慮ない。
しまった、予想以上に辛い。酔いざましとか言ってすいませんでした。
ごはんを食べた店にもどって「やっぱりタクシー呼んでください!」と言えばいいのだが、それも恥ずかしい気がしたのでやっぱり歩くことにした。
大事故ドキュメンタリーだと「彼はここで二つめのミスを犯します」というナレーションが入るところである。
善行しても寒いものは寒い
寒さに耐えつつ歩いていると歩道に財布が落ちていた。中を見るとお金と身分証明書が入っていた。歩道の前のスーパーに財布を届けた。
いいことをしたらこの辛い状況が変わったりして、なんて思ったが関係なく吹雪は寒かった。
やがて目の前に吉野家があらわれた。店に入ってタクシーの番号を聞くがわからないとのこと。みんな最初っから車で来るのだ。歩いて来て帰れなくなるやつなんていない(東京にもいない)。しかし外がどんな気候でも吉野家は吉野家のにおいがした。
偶然、空車のタクシーが通りかかり、ほうほうのていでホテルに帰った。歩いたのはわずか10分程度だが、ことしいちばん知恵を使った気がする。生き延びるための知恵だ。
今回のツアーにいちど木曜日のライター住さんをやんわり誘ったのだが、あまり乗り気じゃなさそうだったのでそれ以上誘わなかった。
住さん、正解、と思った。 |