スタート!
スタートの合図と同時に、20m先にある雪入りの箱に突進。先に掘るのは僕と平本さんだ。
箱に乗った瞬間、感じるのは雪の硬さ。踏み込んだとたんズボッとはまるかと思いきや、ふつうに上に乗れてしまう。そしてスコップを差し込み、持ち上げ…重い!みんなあんなに高々と跳ね上げていた雪だが、僕は持ち上げてスライドさせて箱の外に落とす、それで精一杯だ。
無心で掘る。スコップ3振りくらいですでに腕が痛いわけだが、なかったことにして掘る。この競技、腕力じゃない。気合いだ。(とその時は思ったのだが、今考えたら気合いじゃなくて腕力だ。)
掘り進めるにつれて、平本さん側の雪面と僕側の雪面で明らかに高低差ができてくる。平本さんはやっぱり慣れてる。そのときは「慣れてるな」と考える余裕はなかったのだが、「平本さんのほう、ひくくなった!」とは思った。ちょうどその頃には僕の腕にも限界がきて、箱から転げ落ちそうになりながら降りて、大北君にバトンタッチ。待機スペースに戻ってもしばらく息ができない。アップアップと浅く空気を吸い込むばかりだ。 |