そういえばコドモの頃は、しそ、山椒、みょうがなど、ハーブ系は一切駄目だった。大人になったら、全部好きになった。
理由は分からない、ヒトの味覚って不思議でいいかげんだ。

しそや山椒は入手簡単だし、気軽に食べられる。
でもパクチーだけは、そうはいかない。もりもり食べたいけれど、そういう機会がない。
食べたいなあ、なんとかならないかなあ、なんて思っていたところ、先日情報誌で『世界初のパクチー専門店がオープン！』という紹介記事を見つけた。

こ、こ、ここ行きたいんです！　と騒いでいたら、当サイトで「ランダ菜園でパクチー（香菜）を育てた」という記事を書いたライター玉置氏から、「そのお店のかた、知ってますよ、記事を見たとメール頂きました」「2月9日に、通常営業と違うイベントがあるらしいですよ」という情報をゲット。
ナイスタイミング！
さっそく遊びに伺うことにしました。

ああ、パクチーが私を呼んでいた。

経堂にある「パクチーハウス東京」は、明るくてきれいで、お洒落カフェのような雰囲気だった。

代表の佐谷恭さんに、お話を伺う。

ーーこのパクチーハウス開店のキッカケは何だったんですか？
「もともとは2005年に『パクチー狂会』ってサイトを作ったんですよ。最初は仲間内の5、6人で、タイ料理屋なんかで、パクチーを食べようという集いだったんですけどね。
でもね、パクチー頼むと、追加料金を取られるじゃないですか」
ーーそうですね、トッピング扱いで。
「それがイヤだなーと思って。だって、パクチーなんて、基本、雑草みたいなものですよ。シソみたいに、まいたら、そこらへんに生えてきますよ」
ーーそう…なんですか？
「で、自分たちで場所だけ借りて、パクチーを使った料理を作って、食べる会にしたんですよ。それが発展して、お店になった形ですね。
あと、エスニック料理だと、パクチーって薬味扱いなので、パクチーが主役の料理を作りたかったんですよね」
ーーしかし、何でパクチーなんですか？　
「パクチーってキーワードでひっかかってくる人は、絶対に面白いから（キッパリ）」
ーーそ…そうなんですか？
「そうですよ、面白いよー！」

実は、取材前に、公式サイトと、他媒体に載ったインタビューを拝見していて、店長さんはカタイ感じの方なのかも、と勝手に想像をしていた…。
佐谷さんは平和学を学ばれていて「旅と平和」という会社の代表でもある。「パクチーは世界150カ国以上で使われているハーブで、異文化と触れ合う時に出てくる食べ物であり、パクチーという言葉の中に“pax ”（ラテン語で平和という意味）を込めているのだ」と、サイトに書かれている。お店をNPOのミーティング会場として提供したり、壁をギャラリーとして貸し出したりもしている。
……にしては、飄々とした方だ。

ーー11月にオープンしたばっかりだというのに、いっぱい媒体に出てらっしゃいますね。実は私も資料として、雑誌記事を読んできたので、取材っていうよりも確認になってしまってアレなんですけど……。ええと、メニューは25種類なんですか？
「うーん、だいたいそのくらいかな！」
ーーえ、だいたい？
「思いつきで作るメニューもあるんですよ」
ーーなるほど…。あと女性誌のインタビューで答えてらっしゃいましたけど、パクチーがデトックスに効果あるって、本当ですか？
「え？　身体にはいいよ、悪くはないよ、ハーブだもん」
ーー…ですよね。取材されてる記事、それぞれで、このお店の捉え方が、違うのが面白いですね。
「そうだねー、こっちは何て書かれても、全然かまわないんだけどねー」

……イカス。

「今度、記事全部を比較して、レビューしてみよっかなあ（笑）」

……それはコワイ。