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フェティッシュの火曜日
 
勝山は恐竜だらけのまちだった

森に潜む銀色球の正体

市の中心部から車を走らせること10分。見えてきた遠くの森の中に、何やら異様に大きい銀色の球が。

それが福井県立恐竜博物館だ。全国から出土する恐竜化石の、実に8割がここ勝山から出たものであり、その勝山に国内最大級の恐竜博物館が建てられているというわけだ。ちなみにこの森、「かつやま恐竜の森」という。恐竜の森・・・。


相当でかい。
恐竜オブジェが雪囲いを施されて。
敷地内の、長い滑り台。その降りた先には恐竜の口が・・・。
「たすけてー」笑いながら食べられゆく人。

博物館は非常に立派で、綺麗な建物だった。でかい吹き抜けのあるエントランスを抜けると、広大な展示室が広がる。ああ、あの銀色のドーム球の中は、こうなっていたのだ。


30体以上の恐竜骨格、千数百点もの標本が、懇切丁寧に展示されていました。

久々にこういった博物館に来た私達は、ひとつひとつの展示に見入ってしまって、うっかり充実した時間を過ごしてしまった。撮影枚数も自然と多くなり、後から見たら「なぜこれを撮ったのか」と思うようなものもあり。


その名のとおり、ヨロイ竜の一種。骨からしてこうなのかい、というぐっとくるフォルム。
マイアサウラの成長過程。カモノハシみたいでかわいいな、と。
いろいろたいへんそうな、ゾウの一種。プラティベロドン。
超かっこいい鳥竜のイラスト。

いつ出るか・・・いつ出るか・・・と思いつつ館内をしばらく回っていたところ、やっと出た!

「フクイサウルス」「フクイラプトル」の皆さんです。どうぞ。


「やあ皆さん。私はフクイサウルスです」と言っているような、左前足だ。

「ぼくはフクイラプトルだよ。肉を食べるんだ」

フクイさんらとの対面に感きわまる乙幡。

それぞれ、正式な学名を「フクイサウルス・テトリエンシス」「フクイラプトル・キタダニエンシス」という。「テトリエンシス」のテトリは発掘された地層「手取層群」を、「キタダニエンシス」は勝山市北谷という地名を表している。1989年から始まった勝山市での発掘調査の結果、頭骨や体の各部位の骨が多数発見されたのだ。

フクイサウルスはイグアノドン類の草食恐竜。フクイラプトルはカルノサウルス類と考えられる肉食恐竜。特にフクイラプトルは、日本で初めて全身骨格が復元された肉食恐竜だ。そして両者とも新種としての位置づけがなされている、重要な恐竜化石なのだ。


実際に発掘されたのはこれらの骨(フクイサウルスの場合)のみ。近い種の骨格を参考にして、上の写真のような全身骨格が復元されるのである。
展示室入り口に立っていたフクイサウルスの模型も、手(前足)を差し出している。定番ポーズか?

正直、フクイサウルス、フクイラプトルと聞いて、「フクイフクイ」言ってるのが面白いと思って、福井までやってきた。「恐竜」と「フクイ」のマッチングがおかしい、というそれだけで。

でも実際いろいろ調べてみると、たいへんな発見だということがわかってくる。私の小さいころは、日本には恐竜はいなかったのだと教わっていたのだから。福井にちゃんと住んでいたのだ、彼らは。福井は肉食恐竜もやってくるほど、フォーブスも推薦するほどいい街なのだ。うまい魚とかその頃にも食べることができただろうか。

まさか自分らがかなり後の世になってから「フクイ○○」と呼ばれるようになるとは、サウルスらも思っていなかっただろう。私ら人間も、何万年もあとの生物に発掘されて、ひとまとめに「フクイニンゲン」とか呼ばれたりするのかなーなどとつらつら考えながら、お土産コーナーと、お楽しみのお食事である。まだ恐竜尽くしが続きますよ。


 

 
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