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ひらめきの月曜日
 
勇者気分で胎内めぐり

■出ても心は休まらず

胎内めぐりから出られたー!」と喜ぶのはまだ早い。

出ていきなり、目の前にはトーテムポール風の何か。
すぐ左には布袋様らしき方。
そして奥にはインド風舞踊の方がいらっしゃる。
ジャンルのバラバラさに、戸惑いを隠せない。

ここは一応石手寺の境内ではなく、駐車場らしき空き地なのだが、それでもこのラインナップである。


そして左手に庭園らしき場所があったので、そちらにも足を伸ばすことにする。
というか庭園にもぽつりぽつりとありがたい像が置かれており、まだ冒険は続くのである。


庭園の入口には、閻魔(えんま)様らしき方が、門の上で鎮座して、こちらをジロリとにらんでいらっしゃる。
その閻魔様の看板には、「Welcome」。
しかもオシャレな字体で。
重厚なのかポップなのか、歓迎しているのかしていないのか、判断に苦しむ閻魔様である。


閻魔様の門をくぐると、数メートルおきに銅像が立っている。
しかも明らかに敵(銅像)のランクが上がってきており、ラストダンジョンが近いのを感じる。

ダンジョンを出ても油断ならない…。
看板の「Welcome」を、中ボス風に訳すと
「よくきたな ゆうしゃよ」
庭園内には、まだまだいろんな敵が登場。
拾った棒で対抗する勇者。
すぐ近くに幼稚園があった。これまた壁画がすごい。


■いよいよラスボス登場の予感

以前来た時には数匹の猫と、数羽のニワトリがいたのだが、この日は姿が見えなかった。

庭園の坂道を登ると、奥に赤い柱の回廊のようなものと、金色の巨大な円形の建物が見えた。

どちらも気になるが、とりあえず回廊のつきあたりを覗き込む。
つきあたりから、ただならぬ気配を感じるからだ。

この先に、ラスボスがいるに違いない…。
RPGだったら忘れずにセーブしておきたいところだ。


はたして、回廊の先にいたのは…。

来るのは2回目にも関わらず、いや何があるか知っているからこそ、腰がひけている勇者。


出た、ラスボス!といっては非常に失礼だが、それくらいのインパクトのある仏陀像が登場。
胸に浮いたアバラ骨と血管のすさまじさに反し、表情は極めて穏やかなのがまた怖い。


回廊の奥で待っていたのは、苦行をおこなう仏陀の像であった。
とてもありがたい像である。

がしかし、この大きさ、リアルさ、迫力。 「ああRPGの勇者がラスボスの元にたどりついて、フッと見たら自分よりずっと大きくて見た目も怖かった時ってこんな気持ちなんだろうなあー」 それにも関わらず立ち向かって行くんだから、さすが勇の者と書いて勇者。

RPGの勇者のすごさを体感した。
私ならそのまま帰ってしまうと思う。

「ごめんなさい」
「ゆうしゃは あやまった!」


■まだあったよ入口が

というわけでラスボス(失礼)にも出会ったし、私の冒険も終わりかと思いきや。

ひとつ忘れていた。
金色の球体の建物があったことを。
入口はぽっかりと黒い口を開けており、左右を獅子が守っている。 いわゆる、「クリア後ダンジョン」というやつだろうか。
ラスボスを倒して(私は倒していないけど)、クリアしたと思っても、ボーナス的にまだ敵やダンジョンがあるゲームもあるのだ。 なんとなく入れておかないと作り手がケチなような気がして、ついつい作ってしまうクリア後ダンジョンだが、いったい何%の人がクリア後ダンジョンまでプレイしてくれるのだろうか。 とりあえず今の私は、さっきのラスボス(失礼)で満足した。
でも、やっぱりここも入っとかないとだめだろうな、勇者だし…。
こわごわ覗いてみると、中は薄暗く、すぐ正面に階段がある。
階段の上はさらに暗い。 中に入るとすぐ大きな仏画らしきものがあり、その絵がまた怖い。
さきほどのダンジョン、もとい胎内めぐりも怖かったが、ここも1人で入るのは無理なほどの雰囲気である。


勇気を出し、階段を登っていく。
ああ、もう何か見えてるー。

外観からして、一種独特なたたずまい。入口を覗き込み、入るか入らないかためらう勇者。
「へんじはない」
ザッザッザッ。 薄暗い室内にびっしりと仏像が並んでいた。
全方位から、みんなこちらを見ています。
その迫力を動画でぜひ。


■どこをとっても油断ならない

クリア後ダンジョンを出ると、石碑に「恐なく生きる道を…」と書いてあったが、境内に入ってから、恐れにおののきっぱなしである。
ちなみにベンチに座って焼餅を食べていたら、冒頭に登場した犬に吠えられて、驚いてマンガのように飛び上がったりもした。


やっと全部見たよ…と、庭園を出て、境内に戻る道路を歩いて行くと、何と山の上に、巨大な像がチラッと…!


大きい、大きすぎる。
山の上にあるのに、ありありとわかる大きさ。
ドラクエ4のデスピサロ(最終形態)より大きい(私の記憶比で)。

「恐なく生きる道を…」と書いてあるが、恐れおののきっぱなしだった。
さー帰ろーと思ったら、山の上に何か…。 「ゆうしゃは にげだした!」

■しかし まわりこまれてしまった!

このように、境内に入る前から、そして境内を出ても何かしらのエンカウントが発生する石手寺。

胎内めぐりで自分の度胸を試すも良し、ありがたく、そしてインパクトのある銅像や仏画群を見てまわるも良し、とにかく見どころ満載、参拝客へのサービス精神旺盛なお寺さんです。

銅像や仏画が2年前に比べて、風雨にさらされて劣化していたり、また古くなったものは撤去されているようで、数が減っていました。
満喫したいという方は早めに足を運んだ方が良いかもしれません。 

目に入るもの、すべてに(怖い方面で)細工が。
路傍の石でさえ油断ならない。

 
 
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