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ロマンの木曜日
 
ボーナスでウニを食う
ウニが食べたい

 ボーナスが出た。
ささやかではあるがうれしい。
皆さんはいかがだろうか?
きっと支給されたボーナスで薄型テレビを買ったり、パソコンを新調したり、海外へ旅行に出かけたりされるのだろう。
大切なボーナスにはそれぞれの使い道がある。
僕はボーナスで、ウニを食おうとおもうのだ。

工藤 考浩



なぜウニか

ボーナスでなぜウニなのか。
それはウニが食べたいからだ。
僕はウニが好きなのだ。
ただそれだけだ。
一度でいいから山盛りのウニがのったウニ丼を食べたい。
その夢を叶えたい。


ウニはどこで売っている

すいませーん、ウニくださいー

 

ウニを求めてアメ横へ

ウニが食べたい。
どこへ行けばウニが手に入るのか。
築地だろうか、それともデパ地下だろうか。
産地直送の通販という手もある。
けれども今回は、上野アメ横へと向かった。
「アメ横でウニを買う」という行為をしてみたかったからだ。
年末の買い物というにはまだすこし早いけれど、何となく風情がありそうなのでアメ横へ向かった。
明確な根拠は見いだせないがアメ横なのだ。
ウニを買うことに冷静な判断ができなくなっている。
僕にとってウニを買うというのはそれくらい特別なことなのだ。


盗んだバイクでウニを買うー

 

バイクに乗ってウニを買う

ウニが食べたい。
アメ横へ向かう足はバイクにした。
電車の方が便利なのだが、車内は暖房が効いていてウニの鮮度に影響があるといけないので、バイクで向かった。
それくらい本気なのである。
ウニが食べたいのだ。
アメ横のはじっこにある鮮魚専門店でウニを買い求め、家路をいそいだ。


寒い

 

今朝の気温は3℃

ウニが食べたい。
早く食べたい。
この日の東京の朝の気温は3℃台だった。
日が昇って気温もいくらかは上がっただろうが、それでも午前中のバイクは寒い。
しかし、ウニを食べるためにはこのくらいのことじゃへこたれない。
ハンドルにぶら下げたウニの折りを時々確かめながら、アメ横から自宅までおよそ40分の道のりを急いだ。


ご飯を炊こう

 

ほかほかのご飯にウニ

ウニが食べたい。
ほかほかの炊きたてご飯にたっぷりウニをのせてほおばりたい。
そう思い、出かける前にお米を水にひたしておいた。
お米はもちろん新米だ。
ご飯がおししく炊けるという、近所のスーパーの催事コーナーで買った土鍋を使ってご飯を炊いた。


炊けた、炊けた、炊けた

 

いったん落ち着きを取り戻して

ウニが食べたい。
だれにも邪魔されず、ひとりでたべたい。
そのために、いろいろと対策をたてた。
いただきますと箸をとったときに来客があったりしては興ざめだ。
せっかくボーナスでウニを食うのだから、じっくり味わいたい。
それに、誰か来客に食べられたりしたらたまらない。


ピンポンの

電池を
外した

携帯電話の電源も切った
施錠も完璧

 

いよいよウニだ

ああ、待ちに待ったウニだ。
あこがれのウニ丼だ。
買ってきたウニを取り出して、じっくり眺めた。
色といい、艶といい、まさにウニだ。
ウニだウニだ。
このウニは、僕のウニだ。
ボーナスで買った、僕専用のウニだ。


値段をいうと無粋だが、ひとつ1980円

 

特選品だ

ボーナスで買ったウニのパッケージには、特選品と書いてあった。
特選品とは、特別に選ばれた品ということだ。
であるならば、特別に選ばれたウニを食べる僕は、特別に選ばれた人間ということになる。
感慨無量だ。
ことし一年、がんばって働いた甲斐がある。
ところでこのウニは誰によって特別に選ばれたウニなのだろう。
たぶん北海道の水産加工場のパートのおばちゃんだ。
なので僕は、水産加工場のおばちゃんに選ばれし人間だ。
それはそれでうれしい。


しかも美味って書いてあるので絶対おいしいはずだ

 

開梱

いつまでも眺めていては、鮮度が悪くなってしまうおそれもあるので、ボーナスで買ったウニをパッケージから出そう。
外装のラップが一枚、その下に透明なプラスチックの蓋があり、さらにその下に身が崩れるのを防ぐようなケースがあり、木箱の上にウニがのっている。
厳重な包装だ。
これをひとつずつはがしてゆくだけでも、ウニを食べるのが特別なことだと感じる。


厳重に包装されている

 

 
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