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フェティッシュの火曜日
 
大砲カンタービレ

主役アーティストは超・規律正しかった

さて、開演予定時刻をちょっと過ぎたあたりで自衛隊の音楽隊のみなさんが登場。クラシックといっても大きく分ければ文化系なんでしょうが、こちらのクラシックは体育会系らしくビシッと整列して登場。一糸乱れず各自の椅子へ。


整列して行進、
指揮者もビオラもチューバもビシッ!

そして大砲担当のみなさんも到着。今日は兵士じゃなくてアーティストだぜ!と気張ってらっしゃるのかもしれない。

大砲の調整というと、いまだにやすし・きよしの「大砲コント」を思い出すんですが、アレとは違ってさすが本物だけに丁寧に扱ってます。今回は空砲(音だけ)とはいえ。


こちらも行進で登場、
各受け持ちの大砲へ。
空砲とはいえ弾はでかい。
スタンバイできたら後ろに腕組んで待機。

さて、メインイベントの前に演奏されたのがベートーベン作曲の『ウエリントンの勝利』。こちらは大砲ではなくライフル銃を撃つパートがあるというこれまた珍しい曲。

そのライフル銃パートを担当するのは、少年工科学校の生徒たち。演奏の銃もですが、その前に見せた「ドリル」と呼ばれる銃を使った演技というか、自衛隊版チアリーディングというか‥そういうと怒られそうだけども。ともかく、銃をくるくる回して見せる様が格好よいのです。距離があったので動画が撮れなかったのが残念。


スタンバイできたら後ろに腕組んで待機。

で、肝心の曲の方は動画で。わかるかな?

合間合間に入る軽い「パァン」って音が銃の音なんですが、ちと分かりにくいかな‥。距離もあって、演奏も銃の音も拾えなさ気味。しかし続く大砲は目の前だからしっかり撮れるはず!

しかし「楽譜に合わせて大砲を撃つ」ってどんな感じなんだろう?先の写真にあるように、大砲一門につき複数人いるわけで「はい今ドン!」って感じで指揮するのか?と思っていたのだけど、会場を見てみたらオーケストラと大砲の間にこんな人たちが。


左手に楽譜、右手に色旗を持つ人たち。

それと各砲の合間にもうひとりずつ手をあげる人が。どうやら彼らが旗や手を振るタイミングで「ドン!」らしい、ということを拡声器で隊員が教えてくれてます。「これから大きな音が鳴ります!」とかも言ってくれるし、気づかいバッチリだなぁ。花火大会とかで「これから六尺玉来ますよ!」とか言ってくれるようなもんだ。


そろそろ鳴りますよー。期待沸かすぜ。

さて、たっぷり期待させたところで『大序曲1812年』の演奏開始。ゆるやかに始まり、ナポレオンの行軍を示すというラ・マルセイエーズが合間に挟まる。それからロシア軍の反撃を表す旋律が‥すいません、もっと曲について書きたいところなんですが、そちらの素養がないもんで。ともかくクライマックスに向けて盛り上がっていく!さー大砲の出番だ。楽譜担当の手が上がり、そして‥。


手を上げてるのに注目。打てーッ!
どーん!というか、どぱーん!って感じ。

どーん!というより、どぱーん!という感じの砲声が鳴り響く。そしてカラランという薬莢の落ちる音。正直、大砲のなる音とタイミングが気になりすぎて、音楽と合ってるかどうか分からないのだが。でも強烈!

とか説明するより音を聞いてもらいましょう。まずは一発バージョン。

「どーん」とか「どかーん」というと、なんか爆発音の中にのんびりした雰囲気がありますが、実際は音を聞けば分かるとおり、いかにも「一気に破裂させて弾を遠くに飛ばす音」って感じです。そのままですが。こりゃ飛ぶわ!っていう。

そしてクライマックスからエンディングの一番格好いいところ。ぜひ最後まで聞いてね。最後が一番格好いいので。


各砲の右手にいる指示役が下ろす手との息もバッチリ。オーケストラの音楽が動画だとちょっと「運動会のBGM」みたいになってますが、実際はもっと音に重さがあって格好いいんですよ、これが。

で、肝心の曲と大砲が合ってるかというと‥正直、大砲の前に陣取ったのもあって「今から鳴るぞー鳴るぞー」ってのばかりが頭にあって、曲と合ってるかどうかまで気が回らなかったのが正直なところ。しかし、あらためて動画を見直すと、「ロシア軍の勝利」を表すという意気上がるメロディと豪放な大砲の音がマッチしてる感はある。このスケールのデカさはクラシックならでは、っていう。

ただ、驚いたのが最後の一斉発射のあと、砲の先を見たら


え、着弾?なんか火みたいなのも見えるし!

と、思ったら花火でした。(上の方)

最後は実弾で?ってそんなわきゃない。花火で締めるところもサービス満点ですなぁ。

演奏が終了後、観客が帰りはじめても客席に背を向けたままの規律正しき「アーティスト」のみなさま。


演奏終わっても緩みナシ。おつかれさまでしたー。

このコンサートに行ってきたことを友達に話したら、「まさに『全ての武器を楽器に』(音楽家・喜納昌吉の名言)だね」と言われた。うまい事言う。

まぁ確かに戦争に使われるよりは全然いいわけで。自衛隊としては3年ぶりの演奏だったらしいですが、ぜひ全国でやってほしいものです。むしろ新曲を使って「全ての武器で楽器を」くらいのチャレンジを!

 

帰りもいろいろ見学して帰りました。

迷彩服試着コーナーも。かわええ。

兵器カッコイイー!だけじゃない

帰りは展示されてた装備品をいろいろ鑑賞。武器や兵器よりも、野営用の巨大なお風呂「野外入浴セット2型」、ご飯もおかずも作れる「野外炊具1号(改)」とかの方に目がいきましたが。やっぱり実用品の方が気になるところがオトナになっちゃったかなぁ。


 
 
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