機械の穴をのぞいてみる
■携帯電話は銃みたい
部屋に戻ってきた。携帯電話の充電するところの穴をのぞいてみる。
こんなやつが電気を受け取っていたのか。むしろ銃口のように見える。電気をビビビと発射しそうで怖い。
ロッカーの鍵穴をのぞく。もしかしたら開け方が分かるかもしれない。
と思ったら奥にのぞいていたのはもこもこした黒い石だった。髪を真ん中分けにした人にもみえる。鍵を差し込まれるとおずおずと鍵をあける番の人。たまに失敗したりするのかもしれない。
・のぞいたもの:鍵穴 ・見えたもの:鍵の中の気弱な人
食べ物をのぞく
■食べ物は悪い夢のようになる
夕飯のピーマンに穴を開けてのぞいてみた(マウスオーバーで表示)。
闇にうかぶ巨大な白い種。まるで宇宙の中の星のようだ。こんなのがあらたな命となるのを待っていると思うと、むやみとおごそかな気持ちになる。
(ピーマンはこのあと野菜炒めになりました)。
カレーパンの中はカレーで埋め尽くされていた(マウスオーバーで表示)。
拡大して攻めてくるカレー。中をのぞくためのアダプターに入り込んでくる。「勝手にのぞくな」といっているようだ。
食べものは拡大しないほうがいい。おいしそうという印象は消え、悪い夢のようになる。
・のぞいたもの:ピーマンとカレーパン ・見えたもの:宇宙と悪い夢
何の穴でしょう
穴の中はやたらと拡大されてみえる。知らない世界のようだ。
そこで逆にありふれたものをのぞいてみた。さいしょはカバンの中にはいっていたあるものの穴。何だか分かるだろうか。
答えは財布。(←クリックで表示)
穴とか関係なく、拡大されすぎてわからないだけかもしれない。
次は商店街にあったある機械。なにかの彫刻のようだ。
答えは電話の受話器。(←クリックで表示)
ポツポツあいている穴の向こうを見たかったのだが、見えたのはふかい闇のみ。コミュニケーションにひそむ闇を暗示しているのかと思ったが、とくにそうではないようだ。
グロテスクな穴の日常
ふだん見られない穴の中をたんじゅんに見てみたい。そんな浮ついた気持ちには関係なく、穴の日常はたんたんとグロテスクだった。
こちらは勝手にのぞいて気持ち悪がっているだけだ。なんだかばかみたいだが、でも穴とつきあうにはそれくらいの距離感がちょうどいいのかもしれない。