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フェティッシュの火曜日
 
もし熊と戦わば

1.その場から離れる

熊を発見したら、様子を見つつ、静かに後ずさりしてその場から離れること。

走って逃げると必ず襲ってくるらしいのでこれも注意だ。熊の走る速度は100mで12、3秒といったところらしい。山道であることも考えて、まず追いつかれるだろう。そして背後から突進で倒され、頭をかじられることだろう。

そうなったら僕は死ぬ。かじられるのがおしりでも死ぬ自信があるくらいだ。


ヒグマの様子を見ながら後ずさりする
背を向けて走って逃げたら死ぬ

 

2.「おまえ何してんの?」話しかけつつ離れる

意外だったのは距離をとりつつ、「どうしたお前?」「おまえ何してんの?」と熊に話しかけるのがよいらしいのだ。帰省中に会う地元の友人のようだ。

なんでそんなことをするかというと、話しかければ「その間にヒグマも人も冷静になれる」からだそうだ。なるほど、それは思いつかなかった。声かけ運動というのは熊においても有効なのだ。

普通に、もしくは少し甲高い声で、ということなので甲高い声を選んだ。


極度の緊張を緩和するための声かけ

 

3.「ホッ!ホッ!ホッ!」声で威嚇する

なおも熊が接近してきたらホッ!やハッ!と大声で威嚇する。ホッやハッだと腹から声が出るのでいいのだろう。なかなかこんな声を出す生物もいない。

人間も熊におとらず大きなほ乳類だということを思い知らしめるのだ。


横隔膜から声を出すようにホッ!ホッ!ホッ!

 

4.物を投げつけ威嚇する

なおも熊が接近してきたら、石でも棒でもその辺にあるものを投げつけ威嚇する。ちり紙でもよい、と書かれているのだが、本当にそんなもので良いんだろうか。ゴミ箱じゃないんだから。熊なんだから。

ただしこの段階までくればたいがいの熊は回避できるという。熊も十分に人間の恐ろしさを知っているのだ。


ティッシュを丸めてゴミ箱感覚でシュッ。

 

5.ひるまずに戦う

威嚇が通じず、それでも熊が接近してきたならば、それはもう戦うときだ。多分、人間はけっこう強い。熊の口に手を突っ込んで撃退したおばあさんもいるそうだ。

鉈(なた)を持っていると生存率が高いそうだ。刃物での一撃に熊は驚いて逃げていくという。

鉈がなければその辺の棒でも石でもいいらしい。何か武器を持つことで安心感を保ちなさい、ということが書いてあった。


棒で何とかなるのだろうか

しかし熊である

こんなのが襲い掛かってくるのだ

これだ。これが熊だ。
多分、僕は棒で多少落ち着いていたとしても、死んでただろう。

なんてったってあの顔。あの皮ジャンである。死ぬに決まっている。

 

ここで大山メソッドを

ここまでがヒグマの生態を記した本から得た知識だ。さすがにこう戦えとまでは記されていない。いざ戦うということになったら、と考えるのは当サイトの読者の方もよくご存知の大山メソッドだ。

言わずとしれた空手の大山倍達は、著作『地上最強への道』で「もし熊と戦わば」という項を記している。

戦う、戦わない、の前に、常日頃からどうやって戦うかをイメージトレーニングしておくこと。そこが肝なのではないだろうか。

 

技がありすぎて逆に混乱してしまうほどだ

戦うために本を替えた

しかしどうやって戦えばいいのか。大山先生には空手があるけれど、僕には身に覚えがない。

「やっぱ踊りたいように踊ればいいんだよ」と三軒茶屋にあるレコード屋の看板にあるが、それだ。戦いたいように戦えばいいのだ。

書店の格闘技コーナーで五獣拳という拳法を扱った本がかっこよかったのでそれにならった。こんなふうに戦いたいのだ。

 

6.龍をモチーフにして戦う

五獣拳とは龍・蛇・虎・鶴・豹の五獣をモチーフにした拳法であり、「熊より強いのはどれか」の観点から龍拳を選んだ。

これなら熊でも倒せるだろう。何てったって龍なのだ。小学生に聞いても「たぶん、龍のほうがつよいよ」と言ってくれるだろう。

本から学んだ技はこうだ。

熊が左のパンチを放ってくる、それを右手で受ける、すると今度は右のパンチを出してくるだろうからそれも左手で受け…

そのまま両手で熊の頭をつかみ、上下を返すように熊を倒すのだ

 

7.足の関節をキメる

ここからは五獣拳も関係ない。僕が考えた熊対策だ。倒れた熊の足をとって、一気に関節をキメる。倒された熊もすぐに立ち上がることだろう。急がなければならない。


熊の足をつかんで関節をキメるのだ

 

8.馬乗りになって殴りつける

いわゆるマウントというやつだ。熊の自由を奪い、下からのパンチを無効化する。こうなればこちらの勝ち、勝負アリだ。


勝負あり、熊相手に完勝なのだ

 

まとめた動画

項目もさすがに多くなってしまったので、一連の動作を動画で確認しておこう。



つい我にかえって「ふざけるな」と恫喝してしまったが、これが僕の考えた熊撃退法である。

全体的に悲しいムードが漂っているのは、先に書いた理由があってのことだろう。

私たちはどうして戦わなければならなかったのか。

道東の思い出

北海道東部には見るべき自然が多くて、大変有意義だった。

そして熊。その後の旅でも幾度となく熊を見かけたが、対処法を学んだおかげできちんと対応できた。今となってはいい思い出である。

家に帰って原稿を書いてて今気づいたが、写真に出てくるヒグマは本物ではない。

アメリカクロクマなのである。しかしどうしてアメリカクロクマになったのか。

そうだ、旅行前に慌てお面を作ったものだから、クマの種類を間違えて印刷したのだ。

お面か…。

あ、この熊、石川くんか。


 
 
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