竹ん芸とは、長崎は伊良林にある若宮稲荷神社で、 毎年10月14日・15日に行われてるお祭り。
これが一見地味ながらもかなり面白いので紹介したい。
(text by T・斎藤)
雰囲気のいい石段
竹ん芸は毎年10月14・15日に行われる。 平日・休日に関係なく日付で固定。祭りの日程にはそういう決め方のところがけっこう多い。
竹ん芸が行われる神社の境内へは、赤い鳥居が幾つも連なる、雰囲気のいい石段を登って向う。
この若宮稲荷神社には、かつて幕末の志士たちがよくお参りに来ていたとのこと。で、またの名を勤王稲荷という。すぐ近くには坂本龍馬が長崎での活動拠点とした亀山社中がある。
竹ん芸のステージ
そしてこちらがその神社と、竹ん芸の舞台。
いい竹だ。 こんないい竹は探してもなかなか手に入らないであろうことは、かつて素麺流し台を作った時の経験からよくわかる。
竹ん芸に使われる竹は、太くまっすぐで、上の方まで強度が保たれているものという条件を満たしてなければならない。毎年かなり苦労して調達して来るのだそうだ。
この竹に登ってさまざまな芸を見せるのが竹ん芸の概要である。
なぜ竹選びが重要かは、この後を読めばよくわかると思います。
主役のキツネ登場
最初は子供らによる子狐の演技から入る。 それらもほのぼのとして楽しいのだが、そこはちょっと省略して、大人狐による本気モードの演技から紹介したい。
面をつけていると視界が悪いようで、うつむき加減によろよろと登場。早くもただならぬ雰囲気を漂わせている。
そして、先ほどの竹に登る。 が、登り方が初っ端から尋常じゃない。
手が滑ったらどうする? 足が滑ったらどうする? 竹がポキッといったらどうする?
…と、思わせるような、やばいポーズをあえてとり、観衆をハラハラさせながら登っていく。
しかも、やばさがどんどんエスカレートしていく。
しかも高いだけではなく、しなるのだ。 それも、すごい勢いで、グラグラしなる。
折れるんじゃないか!?と思うしなりっぷり。 しかもこれは山から取ってきた自然の竹なので、絶対折れないと保障されてるものではない。そのあたりがまたスリルに拍車をかける。
そしてさらに、しなりを強調するような、 おっとっと!なリアクションがこれに加わる。 観衆からどよめきが沸き起こる。
上空からいろんなものをバラ撒く
さらに、手拭いや餅などを懐に隠し持っていて、それらを上空からばら撒く。
ニワトリも、捕まえた人がそのまま持って帰っていい。
ニワトリを抱えた男の子は、すごく嬉しそうにじっと見つめていた。素敵な光景だ。
この後、家に帰って 「お父さん、ニワトリを捕まえてきたよ!」 「はぁ?!」 みたいな会話をするのだろうか。
クライマックス
そして最後の極めつけ、竹から降りるシーン。
降りる、…というか、落ちるのだ。 一瞬で。
それも頭から。
別アングルで見ると、 もはや現実とは思えないくらいの動きだ。
CGのような非現実っぽさ。
竹ん芸すごい
家に帰って写真をまじまじと見ても、やっぱりすごい。 何度見てもすごい。手に汗握らされる。
祭りってやっぱり洗練されたエンターテイメントなんだなぁ。