なぜ市民権を得たのか
では、地域限定料理が、なぜその地域で市民権を得たのか。
それは、「好きだから」だろう。
要するに地域の人がその料理が好きだからに違いないと思うのだ。
例えば、僕の郷里である北海道の室蘭市というところでは「やきとり」といえば豚肉を竹串に刺したもののことをいう。
鶏肉のやきとりは、「すいません鳥精(鶏の精肉の意)ください」と言わなければ食べる事ができない。
ではなぜ豚のやきとりなのか。
たぶんそれは、好きだから。
発生の起源には諸説あるが、広く市民権を得たのは、要するに「好きだから」だと思うのだ。
室蘭は鉄鋼業の街で、大きな製鉄所があり、そこに勤める人も大勢いた。
肉体労働の後は、油がうまい。
同じ食べるなら、鶏肉よりも豚肉の方が油が多くカロリーも高い。
だからきっと、労働者の間で豚肉のやきとりが愛されたのではないだろうか。 |