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はっけんの水曜日
 
山登りってゲームっぽい

■僕の考えた登山ゲームのシステムをざっくり紹介

 ゲームの主人公は30歳の男性。名前はエイジ。カメラを趣味にしている。普段は秋葉原の路上でメイドさんやインディーズアイドルを撮っている。

しかしある時、先輩と高尾山に出かけて以来山に傾倒していく。ゲームの流れは以下の通りとなる。

1.山、ルート選択
2.装備選択
3.アタック(3Dバックビュー)
4.撮ってきた写真によって報酬を得る
5.お金とレベルを増やしつつ、次々チャレンジしていく

 

■まずはルート、装備の決定

 レベルや持っている装備に合わせて目的の山を決める。無茶な山を選ぶと遭難してしまうので気をつけよう。遭難したらゲームオーバー。所持金が半分になる。

目的の山、ルートを選択。ルートは山ごとにあらかじめ決まっている。ルートを選ぶと標準的な登山計画書が作成されるのでプレイの目安にしよう。

山の難易度、季節、天気予報に合わせて装備を決定する。装備は自分で買って揃えていく。体力に応じて持てる荷物の重さが決まってくる。

まったく笑えない山ジョークその5

クライミングバカの二人が事に及んでいた。

「お、このスローパーはパーミングだな。あれ、ボルトの頭が出てるぞ。」

「ボルトじゃないわよ、マイクロホールドよ。ほら、ピンチグリップして!」

「おやおや、アンダーポケットはぬめってる。」

「そこに確保支点を作るのよ!」

「わかった!それ、カムナッツ!」

「え、本当にカムナッツ使ってる?全然効いてないわよ。ちゃんとしたのに替えて!」(下ネタ多くてすみません)

 

■山登り開始


バックビューでキャラクターを操作してルートを進んでいく。

 

山、ルート、装備が決まったらゲームが開始される。目的は写真撮影とルートの踏破。体力に気をつけてルートを進んでいこう。ルートは実際の物を忠実に再現。リアルタイムで歩いていく。セーブはチェックポイントごとに出来るので1回のゲームは1時間ほどで終えられる。

画面の表示ついて説明しよう。

 

■操作画面概説


1.現在時刻を表示する。冬は16時で暗くなってしまう。
2.ステータスを表示する。熱中症、体力低下、低体温など体の状態が判る。
3.体力がゼロになってしまったら遭難である。
4.累計標高、歩行距離を表示する。ペース配分に役立てよう。
5.天気と気温である。気温が体調に与える影響を考慮して装備を変えよう。
6.ゲームの主人公。十字キーとボタンで操作する。遭難させないように気をつけよう。
7.一番左のSTARTから右のGOALまでマーカー人形が移動するとクリアである。

 画面上部に時間と体力、天気や気温が表示される。青いバーが体力ゲージだ。これが0になると行動不能、遭難となりゲームオーバーになる。体力は歩くごとに減っていくが、休憩や食事、水分補給で回復する。

遭難すると持ち金が半分になってしまう。時には早期の撤退を選ぼう。遭難してからでは遅いのだ。

 ルート中には写真を撮ると後で写真を売った時にお金になるポイントがある。景色や高山植物、動物など。写真を撮って売り、お金を稼ぐことで装備を充実させていこう。

風景写真や動物、植物の写真を撮って売ってお金を稼ぐ。稼いだら装備を買うのだ。

 忘れてはいけないのが挨拶だ。歩いてくる人には挨拶を忘れないようにする。挨拶を無視すると「徳」が下がり、写真を売る時の値段が下がってしまうので気をつけよう。

挨拶ボタンを押して挨拶をしよう。徳が上がると写真の値段が上がる。

 また、休憩ポイントにいる人の前に立ってボタンを押すと会話が出来て情報を貰えるぞ。ルート情報や天気予報などを教えてくれる。山行の役に立てよう。


ちっとも笑えない山ジョークその6

男女のグループが山を歩いていた。

「あたし、ちょっと花摘みに行ってくる。」

「え、花摘み?高山植物を摘んだらマズイだろう?摘むんじゃなくて見に行こうよ。俺も見たい!」

「この変態!着いてくるな!」

(女性が野トイレする事を隠語で花摘みと言います)

 

■色んな山に登り、ルートを制覇していこう

 山は、日本各地、季節も色々。同じ山でも夏山なら低レベルで登れるが、冬山だと高レベルで難しかったりする。夏の富士山は誰でも登れるが、冬の富士山に素人が行くのは危険だ(冬山エキスパートの世界だそうです)。


雪山をスノーシューを履いて歩く。寒さ対策や装備の質が勝負の分かれ目だ。

霧で視界が悪い中を進む。ルートファインディング能力が求められる。

暑い山、寒い山、マスクなどの補助アイテムが生きる山など様々である。その場に応じて最適な行動、アイテム選択を行おう。

登頂成功したら、次は下り。下り道も気を抜けない。

 

■帰ってきたら写真を売って装備を買おう

 無事下山出来ると撮影した写真によってお金が貰える。写真は自分のアルバムにも貼れるのであとで見ることも可能だ。

 お金が貯まったら「かさいやスポーツ」に行って装備を買おう。店員の石崎さんに目的の山と予算を告げると必要な道具を見立ててくれるので、よく判らない場合は聞いてみよう。


アルバムモードで今まで撮った写真を見ることが出来る。

山に捨てたくなるほど面白くない山ジョークその7

SMクライミングジムでの会話

「これからお前を肩絡みかつブーリン結びで天井から吊ってやるよ?トップロープだよぉ!!」

「そ、それはやめて下さい!!せめて八の字結びで!」

「だったら『ご主人様、エイトノットでお願いします。』とお言い!!」

「ご主人様!エイトノットでお願いします!!」

「よーし、良い子だね。じゃあエイトノットで縛ってやるよ。でもロープは9mmロープをシングルで使うよ!」

「ご主人様!11mmロープを使って下さい!」

「しょうがない犬だねぇ。でも支点のカラビナは安全環無しだよ!安全環無しだよ!しかも100均のだよ!」

「ひ、ひぃー!!」

「よーし、じゃあ吊ってやろうか。まったくお前は重い犬だねぇ。そら!グリグリを緩めてやろうか!」

「や、やめて下さいご主人様!!」

「暴れるんじゃないよぉ!そんなに暴れるとグラウンドフォールさせるよ!!ビレイやめるよ!」

「た、助けてぇ!!もう無理です!下ろして下さい!!」

「ダメだよ!ガンバだよぉ!!」

「下ろして下さい!!」

「下ろして欲しかったら『ご主人様、お願いですから下ろして下さい』とお言い!!お言いよ!!」

「ご主人様!お願いですから下ろして下さい!!」

「よーし、偉いわポチ。じゃあ下ろしまーす。」

「はーい!!」

 

■ゲームはチュートリアルから始まる

 大体どんなゲームか判って頂けただろうか。では実際にゲームを始めてみよう。最初から難しい山に挑んでゲームオーバーになると続ける気が無くなってしまう。そこで、まずは先輩をガイドに高尾山を登ってゲームのやり方について学ぶ事になる。

・・・・・

 ある日、主人公のエイジは職場の先輩に山に誘われた。先輩はいつも黒く日焼けしていて、白い歯が輝くナイスガイだ。ニカッと笑った顔はちょっと平山ユージに似ている。チクチクしそうな短髪はいつも綺麗に刈られている。


平山ユージ似の先輩。仕事もプライベートも爽やかだ。

「エイジ!お前もちょっとは外に出ろ!よし、今度山に行こう!」

「え、山ですか?でも俺、山の道具なんて全然持ってないですよ。」

「ザックは貸してやる。靴のサイズはいくつだ?」

「27cmです。」

「なんだ、俺と同じじゃないか。じゃあ前に履いてた軽登山靴を貸してやる。もし山が気に入ったら自分で買え。」

「ありがとうございます・・・。っていうかまだ行くって言ってないですよ!」

「はははっ!じゃあ来週の日曜日に高尾山な。高尾山ならお前でも大丈夫だ。」

そうして高尾山に出かけるエイジと先輩。ゲームのチュートリアルも兼ねる高尾山で先輩は色んな事を教えてくれる。

 

■先輩がゲームのコツを教えてくれるのだ

「エイジ、少し息が上がっているな。こんな時は立ち止まって休むんだ。よし、水も飲め。」

「ここで行動食を食べると体力が回復するぞ!」

「山小屋も開いているなら利用しろ。荷物の量を減らせるからな。」

「登山道の標識は良く見るんだ。道に迷うとやっかいだぞ。」

「ほら、あそこで赤く光ってるのが撮影マーカーだ。撮影マーカーの近くでカメラを使うと良い写真が撮れるぞ。」


高尾山山頂。高尾山でお昼休憩をするならここだぜ。

山(とかゲームシステム)について色々教えてくれる先輩。山頂で一休みの時に「実はな」、と切り出してきた。

「エイジ、俺な、この秋に結婚するんだ。」

「本当ですか!おめでとうございます!」

「あはは、そんな大きな声で言われると照れるな。なにせ子供が出来ちまってな。今度はカミさんと3人で山に行こうな。カミさんは俺より登るぞー。楽しみだな!」

「はい、是非!山って辛いだけかと思ったら楽しいですね!」

「やっと判ってきたか!よし、じゃあそろそろ下ろうか。嫌な雲も出てきたしな。急いで降りたいから1号路(※)を使おう。」

※・・・高尾山の登山道は色々あるが、その中でもほとんどの道が舗装されていて山道とはもはや言えないのが一号路。山頂まで車で行けちゃうぜ。割と山道っぽいのが6号路で、一番面白いのが稲荷山コースだ。


泣けるほど笑えない山ジョークその8

「山で酔っぱらいに絡まれてる女性を助けたんだ。」

「後日、お礼って小包が届いたんだ。」

「ミレット?のマグカップだったんだ!」

「バカ、それはミレットじゃなくてミレーだ!」

「やま どこか たのむ」

「あqwせdrftgyふじさn」

そしてミレーと結婚。

 

■山の怖さを身をもって教えてくれた先輩

 休憩を終え下山を開始する二人。しかし下山開始5分で大雨になってしまった。そんな時も冷静な判断の先輩。

「エイジ!メニューを出して雨具を装備しろ!」

 素早く操作して雨具を装備する。エイジの雨具はコンビニで売っている300円の雨合羽。先輩の雨合羽とは大違い。ズボンは濡れるし、蒸し暑い。

 しかし先輩に借りた登山靴はゴアテックスが入ってるから浸水はしてこない。ああ、山の道具ってすごいな、そんな事を考えていた。すると突然、前を歩いていた先輩が雨に濡れた階段で転んでしまった!!階段で滑落である。


せ、先輩!!現場は薬王院の下の階段だ。

「わー!!」

「先輩!!」

エイジが駆け付けると先輩は15mもある階段の下まで落ちていた。ぐったりとして動かない先輩。

「先輩!!大丈夫ですか!!」


ガーン!!先輩の生死やいかに。

「・・いてて、いや、失敗した・・・。雨で滑りやすくなってるのに急いで下るなんて、山屋失格だな・・。高尾山で遭難なんて・・・いや、油断した俺が悪いんだ。高尾山だって山は山。山を舐めた者はそれ相応の報いがあるって事だ・・・。

エイジ、俺はもうダメだ・・。おい、そんな顔するな。お前が悪いんじゃない。いいかエイジ、今度はお前が俺の代わりに山に登ってくれ。靴とザックはお前にやる。その靴で山を歩き、お前の目を通して、俺に山を見せてくれ・・・。頼んだぞ・・・。」

「先輩!先輩!!そんな事言わないで、また一緒に山に行きましょうよ!さっき3人で行くって約束したばかりじゃないですか!奥さんはどうするんですか!お子さんだって産まれるのに!」


撮影の都合で平山ユージと全然似てない僕が先輩役を。

「・・・エイジ、そんなに責めるな。カミさんにはお前から上手く言っておいてくれ。すまん、と。」

「先輩!先輩!せんぱーい!!」

 先輩は山の恐ろしさを、油断の怖さをエイジに教え、靴とザックを託して死んでいった。こうして先輩の遺志を継いだエイジは、その想いをモチベーションとして山に登るようになったのだ。そしてゲームは本格的に始まる。まずは初期の所持金5万円を持ってかさいやスポーツで買い物だ!

 

■以後、先輩はオビワンの様に出てくる

 先輩は千の風になってしまった。が、エイジが山で間違ったことをしようとするとボーッと現れて教えてくれる。さながらスターウォーズのオビワン・ケノービの様に、だ。

「エイジ、その道は違うぞ。その先は谷だ。」

「エイジ、体温が低下している。このままでマズイぞ。」

「エイジ、なぜヘッドランプを持ってこなかった。これはもうビバークするしかないぞ。」

「エイジ、おお、ヘッドランプも着けずに歩き回るとは何事だ。滑落して死ぬぞ。」

「エイジ、ダメだそんなペースじゃ。ばてるぞ!」


黄色いのが先輩。エイジを心配してピンチになると教えてくれる。

アイテム画面を出して水を飲もう。体力回復と熱中症ステータス解消に効果がある。

雨が降ってても雨具の装備を忘れていると教えてくれる。

死してなおエイジの山行を見守ってくれる先輩。なんという有り難い存在だろう。

 ちなみに、かさいやスポーツで売っている聖水を使うと先輩は出てこなくなる。ゲームをサクサク進めたい場合は聖水を使うと良い。


アドバイスが邪魔になったら聖水を使おう。

 

■日本各地の山を制覇していこう

 先輩の死を乗り越え人間として一回り成長したエイジは奥多摩、秩父、丹沢、群馬、南アルプスなどを次々と制覇していく。最終的には日本100名山を登りつくし、海外へと遠征。ここでジャンプで言う第一部完となってエンディングを迎える。

 感動的な音楽に合わせて、これまでに撮った写真がスライドショー的に表示される。山で死んだ仲間の笑顔、山で出会った人たち、そして雄大な景色が次々に表示される。もはや涙が止まらないだろう。

どうでしょう?!このゲーム。名前はそう、えーと、「みんなの山登り」。もしくは「登山にGO!」

 「蒼天の白き神々の座」っていう登山ゲームもあるけど、PS1だしゲームとしてはかなり難しい。判りやすくて、しかも冬の6000m級登山とかじゃなくて、もっと身近な山を登るゲームがやりたいなーと思いました。

 架空の山じゃなくて実際にある山の、実際のルートを体験してみたい!というニーズもきっとあるはず。とてもやりたいので、どこか、リアルなCGが得意なメーカーさん、よろしくお願いいたします。発売されたら本体とセットで予約して買います。


イラッとくるほど笑えない山ジョークその9

初心者の上を登っている人が叫んだ。

「ラーク!!」

「あら凄いわね。あの人、こんな険しい山なのに楽ですって。」


■書きたいことは書いた。あとはオマケ

 山登りのゲーム性と、僕がプレイしてみたい山登りゲームについて思う存分書いてきた。スッキリした。満足だ。満足だが、興が乗ってしまったのでもうちょっと山登りについて書くことにする。今年の夏に行った山についてツラツラ書いていこう。

いやー、どの山も楽しかったな。

テントで1泊。ギンリョウソウという花が咲いていた。
八ヶ岳にある、岩場が楽しい二つの山。
日帰りで行ける愉快な縦走路。
東京から一番近くて楽しい山。
富士は日本一の山。人混みもきっと日本一。


まとめ

 山登りはゲームっぽくて楽しい。山登りにハマる人ってオタっぽい人が多いような気がするが(僕もその一人だ)、それって山登りがゲーム的だからなんじゃないだろうか。

 しかし、登山道を進む時のワクワク感や下山した時の達成感はゲームよりも桁違いに大きいし、爽快だし、最高だ。実際の山は僕の記事や写真の何倍も何百倍も、「良い」。

 今回の記事を読んで山登りに興味を持ったら、東京の人なら神保町の「さかいやスポーツ」に行くと良いと思う。「石崎さん」に似た名前の店員さんが親切に色々教えてくれるよ!

これからも楽しい山登り(山歩き)を続けていきたい。どうかこれからも遭難しませんように。


 
 
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