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ロマンの木曜日
 
教科書の挿絵を比較する

フランス(1978年版)

フランスは、初級1年(日本の小学校1年生相当)と中級2年(同5年生相当)の国語教材から。


ママが美人 おじいちゃんが黒澤明みたい
ママが美人 おじいちゃんが黒澤明みたい

5年生はアンニュイな画風 「太陽がいっぱい」的な(5年生用より)
5年生はアンニュイな画風 「太陽がいっぱい」的な(5年生用より)

フランスは1年生と5年生でガラッと画風が変わる。たき火をしているイラストは、昔のドラマ「2年B組仙八先生」でシブがき隊の3人が教科書を焼いたシーンを彷彿させる。

続いてイタリア。



イタリア(1980年版、82年版)

「読書と発見」という国語教科書の1年生用(1982年版)と5年生用(1980年版)より。


滑り台で遊ぶイタリアの1年生 犯罪の匂い
滑り台で遊ぶイタリアの1年生 犯罪の匂い

5年生になって寒がりになってしまった 悪い誘いを断っている大人(5年生用より)
5年生になって寒がりになってしまった 悪い誘いを断っている大人(5年生用より)

最後のイラストは電気屋でのやりとりのようであるが、右の男性は店員さんなのだろうか?

イタリアの教材には次のようなものもあった。


踊るボクサーとレフリー
踊るボクサーとレフリー

クリンチ状態からダンスに発展したのかもしれない。
レフリーも楽しそうに踊っている。

次は旧西ドイツから。



旧西ドイツ(1977年版、80年版)

旧西ドイツの初等段階用テキスト、2年生用(1977年版)と4年生用(1980年版)より。


チャイムに届かない仲良し二人組(2年生用より) 中から怖いおばさんが出て来た(2年生用より
チャイムに届かない仲良し二人組(2年生用より) 中から怖いおばさんが出て来た(2年生用より)

ドイツ車は性能がいい(6年生用より) 良くない状況(6年生用より)
ドイツ車は性能がいい(6年生用より) 良くない状況(6年生用より)

ベルリンの壁、崩壊以前の西ドイツの教材である。2年生の頃は半ズボンを履いているが、6年生になるとみんな長ズボンだ。

次はイギリス。



イギリス(1978年版)

イギリスは7才から12才を対象とした「English1」と「English5」という教材から。


English1の登場人物たち 友だちの家でテレビを鑑賞(English1)
English1の登場人物たち 友だちの家でテレビを鑑賞(English1)

ヨガではない(English5) 消火(English5)
ヨガではない(English5) 消火(English5)

イギリスの挿絵はシンプルな線画である。ヨガのような姿勢で苦しんでいる少年の身に何が起こったのか? この後の展開が気にかかる1枚である。



ハンガリー(1974年版)

「abc」というハンガリーの国語教科書、1年生用から。


暖かい家族の風景 ハンガリーのかごめかごめ
暖かい家族の風景 ハンガリーのかごめかごめ

とても優しいタッチのイラストである。家族団らんの中で、一人だけテレビを直しているお父さん。早く直さないと家族からのブーイングが予想される。

かごめかごめであるが、日本の場合は真ん中の鬼が目を閉じて真ん中に座る。しかし、ハンガリーの場合は目を開いたままのようである。

次はスウェーデン。



スウェーデン(1983年版、84年版)

スウェーデンの国語読本、第1巻(83年)と第3巻(84年)より。


電話に驚くスウェーデンの少年 そして寝込んでしまった少年
電話に驚くスウェーデンの少年 そして寝込んでしまった少年

パパになぐさめられる少女 赤ちゃんをあやす二人
パパになぐさめられる少女 赤ちゃんをあやす二人

最後の赤ちゃんをあやしている3人の目が怖い。全員がこちらの様子を伺っているのが分かる。

そんな目つきとは関係ないが、スウェーデンの教科書には「子ども」という詩が載っている。ドロシー・ロー・ホルトという人が詠んだものだ。いい内容なので、下記に転載する。

 

「子ども」 byドロシー・ロー・ホルト

批判ばかりされた 子どもは
非難することを おぼえる
殴られて大きくなった 子どもは
力にたよることを おぼえる
笑いものにされた 子どもは
ものを言わずにいることを おぼえる
皮肉にさらされた 子どもは
鈍い心の もちぬしとなる
しかし、激励をうけた 子どもは
自信を おぼえる
寛容にであった子どもは
忍耐をおぼえる
賞賛を受けた子どもは
評価すること をおぼえる
フェアプレーを経験した 子どもは
公正を おぼえる
友情を知る 子どもは
親切をおぼえる
安心を経験した子どもは
信頼を おぼえる
可愛がられ 抱きしめられた 子どもは
世の中の愛情を 感じとることを おぼえる

 

続いてはスペインの挿絵を。



スペイン(1971年版、73年版)

スペインの国語読本、第1巻(71年)と第7巻(73年)より。


暖かい家族の風景 ハンガリーのかごめかごめ
教科書の主役二人(第1巻) 3人でボートを漕ぐ(第1巻)

7巻になって指名手配みたいになってしまった 何をしているのだろう?
7巻になって指名手配みたいになってしまった 何をしているのだろう?

第1巻ではポップであった登場人物が7巻になるとシリアスなタッチに。6年間で何があったのか、気になるところである。

最後に、ブラジルの挿絵を紹介しよう。



ブラジル(発行年不明)

ブラジルの「楽しみのためのお話第1巻」より。


ブラジルの教科書 ブラジルの教科書

ブラジルの教科書 ブラジルの教科書

ブラジルの教科書 ブラジルの教科書

何故か、子どもたち全員が出っ歯なのだ。
サングラスをかけている子どもまでいたりして、全体的にリベラルな雰囲気が漂う。。


踊るボクサーとレフリー

腹出てるし。


以上のように、15カ国の教科書を検証してきたが、皆さんも薄々お気づきの通り、外国の教科書が古いのだ。1970年代、80年代のものが多く、日本の現行教科書とは正確な比較にならない。

そこで、日本の教科書も大体同じくらいの時代、1976年の小学1年生の教科書を見てみた。以下がその挿絵である。


鉛筆を自慢する子ども(あたらしいこくご1年上) みんなの絵日記(あたらしいこくご1年上)
鉛筆を自慢する子ども(あたらしいこくご1年上) みんなの絵日記(あたらしいこくご1年上)

踏切にて(あたらしいこくご1年下) 急げ〜遅刻だ〜(あたらしいこくご1年下)
踏切にて(あたらしいこくご1年下) 急げ〜遅刻だ〜(あたらしいこくご1年下)

現行教科書との一番の違いは、男の子がかなり短い半ズボンを履いている点であろうか。今の小学生たちはあんなに短い半ズボンを履かないのだ。

ちなみに1976年の教科書を選んだのは、僕がちょうどその年に1年生だったからである。

そう考えてみると、今回紹介した教科書で学んだ世界の人たちは、僕と同世代という事で、それはそれで感慨深い。


こどもたち
図書館に向かう途中、子どもたちがランドセルじゃんけんをしていた。こどもたちの半ズボンは長くなったが、それは昔と変わらない風景であった

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