『最先端』という言葉を、久しぶりに思い出した
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この場所素敵やん。 |
僕の高校時代は90年代中盤だった。クラスメイトのおしゃれな男子は皆メンズノンノを読みながら『やっぱりモード系っしょ』なんて言いあっていた。めちゃくちゃ頑張って働いたバイト代でコムデギャルソンとか20471120とかビューティービーストの服なんかを着たりした(僕もその1人である)。今思うと恥ずかしい時代である。
その時代の雑誌のキャッチには、『最先端の○○』だとか、『流行の最前線』とかいう文字が躍っていた。それを読みながら高校生の僕は『最前線だ!最先端だ!』って言葉に踊らされていた。今考えると、最前線だとか最先端だとか言う言葉ほど、意味のない都合のいい言葉はない。
しかし、このビルを眺めていて、『これは時代の最先端だ!』と久しぶりに思った。1970年に大阪万博に行った人の頭の中には『時代の最先端の技術やデザインが』と思ったと想像するが、それに近い衝撃がスウォッチビルにはあると思う。2007年より未来のビルがそこにあった。
この取材には、僕(26歳)と、知人の編集者(33歳)、カメラマン(27歳)の3人で行ったのだが、誰もが子どもみたいに「すげー」、「すごいっすね」、と言い合ってはしゃいでいた。もうみんないい大人なのに、それを眺める驚きはどこかあのときの「最先端」を眺める高校生のようだった。
なお今回の記事の撮影はカメラマンの原田景子さんと吉崎貴幸君にご協力いただきました。ありがとうございます |