夕方、家に帰る子どもたちが「ばいばーい」と叫ぶ声は、なんて遠くまで届くんだろうと思う。たがいに遠ざかりながら、姿は見えなくなっても、お互いの「ばいばーい」だけがまだ聞こえている。
人が道具を使わずにもっとも遠くまで飛ばせるのは、じつは声なんじゃないだろうか。
ハンマー投げの選手がハンマーを放す瞬間に叫ぶ声も、きっとハンマーより遠くまで飛んでいるに違いない。
(text by 三土たつお)
読者の方に協力をいただきました
人の声はどれだけ遠くまで聞こえるんだろう。
そんな企画をやりたいとサイトを通じて読者の方々に呼びかけたところ、たくさんの方からご協力をいただくことができました。本当にありがとうございます。
さっそく舞台となる東京の豊洲公園にお集まりいただき、挨拶もそこそこに準備を始めていく。
まずはアタリをつける
海沿いのテラスのような場所に、10m間隔で120m向こうまで審判役の方に並んでいただいた。まずはこれぐらいでアタリをつけてみよう。
声だし役は、「ファミレス等ではまず店員さんに気づいてもらえません」という女性読者の多田さん(ウェブサイト)。ぼくもレストラン等でははがゆく感じているので、その気持ちはよく分かる。今日はきっとみんな気づいてくれると思いますよ。
「今から多田さんが声を出しまーす!聞こえたら旗を揚げてくださーい!」
では多田さんどうぞ。
「あああああー!」
多田さんが声を出すと、「バババッ」と手前から旗が揚がっていく。声が届いたという合図なのだが、さながらその上を声が飛んでいっているように見える。
良かったですね。ファミレスなら注文、届いてますよ!
「チョコパフェ入りましたー!」
旗の色は、手前から50mごとに白、黄、赤となっている。上の写真、遠くに赤色の旗が揚がっているのが見えるだろうか。ということは少なくとも100mまでは簡単に届いているということだ。
もうちょっと後ろまで下がってもらって、どこまで届くかもう一回見てみよう。