■立体地図の用途など
富士山の興奮も冷めやらぬまま見せていただいたのは、小さめの立体地図サンプルがふたつ。
山肌が見え道路や家もはっきりわかる、比較的アップのものと、市街地を上から見ろ下ろしたものだ。
立体地図に関してはまったくの素人なので、どういう手順で作るのかを聞いてみた。
まず測量会社さんが飛行機からレーザーで高低差を測量しながら、写真を撮り、その情報をもとにウェザーコックさんで立体化するとのこと。
できた地形に写真を貼り付け、仕上げると左図のようなリアルな立体模型ができあがる。
表面は複雑にデコボコしているが、ピッタリと寸分の狂いもなく写真が貼り付いている。
この技術がウェザーコックさんの腕の見せ所、というわけだ。
ところでこういった模型は、どんな用途で使われるのだろうか。
聞いてみると、山肌が見えている方の立体地図は、崖崩れを再現しているという。
崖崩れの状況を立体模型で再現し、学者や工事担当者が会議をするための資料として使うそうだ。
この模型があると、その場にいる全員が同じように状況を把握でき、写真だけではわからない緊迫感が伝わるとか。
図面や写真だけでは伝わらない情報が、この模型1個でありありと伝わるというわけだ。
また同様に、工事などの計画を想定した模型を作る場合もある。
この道路を作ると、どの家が道路の下になってしまうかなどが把握できるため、模型の制作は、工事の計画をたてるためにも重要な工程なのだ。
山本社長のお話によると、大きい規模の模型の場合、すべての建物を立体にできないので、間引いて作るのだが、地元の人が見て「おれの家がない!」なんて言われたりすることもあるようで、「地元の人が見てどう思うか」という点に、気を使っていらっしゃるそうだ。
そういえばさきほど、富士山周辺地図を見て開口一番、
「私のうちはこのへんです!」
と興奮気味に言い出してしまったが、誰しも地元には愛着があるので、どんなによくできていても、何か一言言いたくなってしまうのかもしれない。
それを考えると、ミスの許されない、大変な作業だ。 |