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フェティッシュの火曜日
 
パチンコ屋は毎日が祭り
見上げればバリバリ派手な装飾。


ライブでも読書でも何でもいいけど、他人には全く分かり合えなくても自分だけワーッ!!と盛り上がる瞬間が人にはある。興味ない人には「ナニその躁状態?」と思われそうな。冷めた人には呆れられそうだが、人間そういう状態がたまにでもあることはいいことだと思う。ストレスも発散できるし。

街の中で、興味ない人間からすると「何でそう毎日躁状態なの?」と言いたくなる建物がある。パチンコ屋だ。過剰な装飾、自動ドアが開くたびに聞こえる爆音。毎日が祭りと言いたくなるようなアッパー感に充ち満ちている。というか、イベントのネーミングが祭なのだ。

大坪ケムタ



イベントネーミング担当の苦労がしのばれる

先に記しておけば、自分はこれまで1回か2回しかパチンコを打ったことがない。だからこそ、毎日パチンコ屋の前を通るたびに「なんでまたここまで賑わってんのかな?」と思わされる。そして「なぜここまで盛り上げなきゃいけないのか?」と。

同じギャンブルでも競馬や競輪と違い、ひとつの街にライバル店がいくらもある。それだけに競争が激しいというのは分かる。とはいえ、こんな日替わりでイベントやる業種は他にないのでは。


一週間、毎日がスペシャル。
一ヶ月だってスペシャル尽くし。

たとえば喫茶店の激戦区で「究極エスプレッソの日」「ザ・プレミアムブレンドデイ−あなたの舌は感動にのたうつ−」とか、毎日そういうサブタイトルをうって営業してる店は見たことがない。この過剰な装飾・イベントによる競争はパチンコ屋独特の文化。コンクリート打ちっ放しのデザイナーズ・パチンコ屋とか見たことないし。オシャレ系でも派手さは変わらなかったりする。

そしてその文句も基本的には、熱い。「冷静に打つが吉」なんて冷めた文句を投げかける店なんてありゃしない。たとえば毎日のイベント名の定番はこんな感じ。


「史上最大」。おそらく当店比の最大。
「激闘の日」。勝ち負け問わず激闘なンです。
「空前絶後」毎月やっちゃ意味が‥。
「暴走」なんかいい意味に聞こえる。

こう見てみるとアッパーな単語は並んでるけれど、勝つ方向に行くとは限らない意味のものばかりなのだな。「暴走」なんか、普通悪い意味だし。以前、広告代理店に勤めている時、具体的な調査もしてないのに「一番売れてます!」とか書いちゃダメー、という教えを受けたけれど、これらの看板はそうした規制を微妙に回避した文句が並んでいる。そもそも「史上最大」にしろ「空前絶後」にしろ主語が書かれてないし。

しかし、この辺の気分をとりあえず高揚させるタイトルとはちょっと違う方向のタイトルもある。たとえばこんなの。


「パイレーツ・オブ・ザ・マリビアン」
「奇跡シリーズ・夏」

片や、TSUTAYAの某人気海賊作品コーナーの脇に置かれてる「関連作品」にありそうなタイトル。お目当てが全て貸し出し中で娘に頼まれてたけどこれでいいか、とお父さんがウッカリ借りて泣かれそうな似せ具合。

もうひとつは、6月までに連敗を重ねてきた弱小野球チームが、転任してきた女監督によって蘇り、優勝するまでを描くストーリー。もしくは90年代初頭のビーイング系ヒット曲。

なんてことはなく、両方とも人気機種のタイトルにひっかけてあるのはパチンコ好きの人はなんとなく分かるだろう。人気映画直球の借用タイトル「パイレーツ・オブ・ザ・マリビアン」は人気機種『海物語シリーズ』のキャラクター・マリンちゃんにかけたもの(おそらく)。一方、「奇跡シリーズ・夏」は写真上にあるとおり、『新世紀エヴァンゲリオン〜奇跡の価値は〜』にかけたもの。

まぁ、この辺はそうした機種を全面に押し出した日、というのは分かる。では、この辺はどうだ。



「宇宙の炎」?「主役は‥?」?
「ロックフェスティバル」?

「宇宙の炎」は最近のキャラクターものが多いパチンコの中でも、スペーシーな機種だけ盛り上がる日なのだろうか。「パチスロ・スタートレック」とか「CR宇宙からのメッセージ」とか(そんな機種はありません)。「主役は‥?」となると、聞かれてもどう答えればいいのやら。イベント当日まで謎すぎる。

しかし、もっと謎なのが「ロックフェスティバル」。パチンコ屋のBGMというとトランス系、という印象だけど、この日はオアシスとかくるりとかが流れるのだろうか。それとも店内にステージ組んでライブか。超邪魔だよな。

 

最近の方向性か?店による店長押し

タイトルのインパクト勝負も分かる。やっぱり目をひいたもん勝ちだし。ただ、今回パチンコ屋を回っていて、予想以上に多く、非パチンカーから見ても魅力を感じるキーワードが「店長押し」。


コピーは男らしいが、具体的には謎。
お客さんも祝おう、新店長。
カリスマ店長完全プロデュース!
店長自らゲリラ活動!

上4枚は同じグループ店なので、同じ広報方針ということなんだろうが、それにしても押しすぎるくらいの店長押し。どこもかしこもド派手な宣伝、ならば店長というキャラを押し出して情に訴えかけるというのも、ひとつの方策としてはわからないでもない。

その店長キャラクター路線をさらに押し進めるとこうなる。


副店長の嶋本さんが101匹!

写真は101人もいないが、インパクトは101倍級。

あの「101」もこう使われるとは思うまい。

ここのお店、店長の単独バージョンの写真を使ったポスターは何度も見ていたが、いつの間にか101匹バージョンに変わっていた。店長じゃなくて副店長が出ているところに、彼の意気込みが見えるというか、上下関係的なものが見えるような気がするが、親しみやすさはかなり伝わってくる、ように思える。


別店の看板ですが、ホントそう言いたくなる。

以前、海外の有名俳優がパチンコのキャラクターになった時、「パチンコって何なんだ?」と聞かれて関係者は「ラスベガスみたいなものです」と答えたと聞いたことがある。パチンコ一台でギャンブル&ゴージャス、まぁ言えないこともない。

「お台場カジノ構想」なんて話が以前あったが、簡単にはできそうにない。「暗いと不平を言うよりも、進んで明かりをつけましょう」ではないが、ご近所のラスベガスの過剰というか空元気なまでの活気とテンションは見習いたいものです。いっそスケジュール帳に毎日イベント名を書き込む勢いで!!


玉の形、それは地球の形、てスケールデカ過ぎ。

また店長?と思ったらA猪木だった。

きらきらひかる、パチンコの光

今回は全て東京のお店ですが、地方だともっと過剰にゴージャスなお店もありますよね。それこそ、砂漠の中のラスベガスみたいな。「地方対抗・パチンコ屋装飾対抗戦」とかあったらスゴいのが集まりそうだなー。というか業界紙とかでやってたりする?もしかして。


 
 
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