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はっけんの水曜日
 
電子辞書で検索されがちな言葉調べ


電子辞書には手に負えないほど膨大なことばが詰まっている。何か単語の意味を知りたくなったら、その手段として電子辞書をひく。しかし、例えば家電量販店で電子辞書を買おうとするときは、知りたい単語というよりは、「適当な単語」を入力して辞書の使い心地を試してみるものだ。

人間は「知らない単語の意味を調べる」という目的から解放されて自由に辞書を使うとき、一体どんな単語を調べがちなのだろうか。実際にお店に行き、電子辞書の「履歴」ボタンを押して調査してました。

(text by 藤原 浩一

「履歴」ボタンをおしまくる

高校生のとき、授業が退屈になると電子辞書を開いて、思いつくままに単語を調べていた。ぼくの持っていた電子辞書には百科事典が内蔵されていたので、退屈な時間をやりすごすには重宝した。

そして授業が終わるときに「履歴」のボタンを押すと、それまでに調べた単語がぱっと現れて「なにやってんだ、おれ」と感慨にふけるのである。


確かこんな感じでした

それはまあいいとして、家電量販店に置かれた電子辞書の展示品にも当然のことながら「履歴」ボタンがついている。

「履歴」ボタンを押せば、過去にそこへ来店した客がどの辞書を買うべきか比較するために、試しに検索してみた単語の一覧が表示されるのだ。

知りたい単語というよりは適当な単語を入力するという点では、高校時代の僕と家電量販店のお客は同じだ。と、なれば混沌とした単語ワールドがそこには広がっているはずなのである。

というわけで、調査に乗りだした。今回調査に行った場所は、渋谷、新宿、秋葉原、大宮(埼玉県)の4箇所である。


渋谷は雨だった

新宿は曇ってた

秋葉原に日が差して

大宮は快晴


はじめは、検索画面に現れた単語を全てメモに書き写そうと思ったのだが、お店でそんなことをやっていては間違いなく店員に声をかけられる。

どうしようかと思っているたときに、僕の持っていたMP3プレーヤに簡易なICレコーダがついていることを思い出した。イヤホンで耳をふさぎながら、これに小声でぼそぼそと音声メモをとればいいのだ。

電子辞書を前にしてぼそぼそしゃべるなんて完全におかしな人だが、とりあえず邪魔されずに出来ればいいか、と思った。


普通のICレコーダより自然に録音できるか?

傾向だけわかれば良いと思ったので、各地30分を目安に出来るだけデータを集めた。というか長い時間電子手帳売り場でぼそぼそつぶやいているのは迷惑である。もちろん短い時間でも迷惑である。ごめんなさい。

調査対象は、国語辞典に絞った。英和・和英などその他の辞書にも興味はあったが、時間が限られているので今回は見送った。

それで苦労して集めたデータが、以下。

  • 渋谷 9機種 380単語
  • 新宿 10機種 340単語
  • 秋葉原 11機種 380単語
  • 大宮 6機種 320単語

    計 26機種 1420単語

がんばりました。


すごく沢山種類がありました

 

電子辞書で検索されたワードはこれだ

それでは早速、電子辞書検索人気ベスト5を発表したいと思う。

 

第1位 22回
第2位 地所 9回
第3位 8回
第4位 森鴎外 7回
第5位 6回

 

それぞれ出てきた回数である。各辞書につき履歴は1回しか残らないから、本当はもっと沢山の人に検索された言葉かもしれないのだけど、確認できるのはここまでだ。

どうも興味深い結果である。何故こうなったのか? ちょっと考えてみよう。

 

結果の考察

まずは第5位の「麻」。みんな繊維に興味があるのかといえば、そうではない。これは単純に、キーの配置に由来するのではないだろうか。「麻」と入力するときの「A・S・A」のAとSのキーは互いに隣り合っている。

同じく「A・S・A」と入力する「朝」も5回出てきているから、あわせると11回となる。初めて触るなじみの無い電子辞書のキーでも、入力しやすい単語として有力な単語である。


AとSはすぐみつかります

次に、第4位「森鴎外」。

この名前は実は全7回のうち新宿で6回出てきている。おそらく同じ人がいろいろな機種で検索したのだと思われる。何故そんなことをしたのかと考えるに、おそらく森鴎外の「鴎」の字が「區+鳥」として表示されるか試したのだろう。

ちなみに人名で検索される場合はそれほど多くないが、森鴎外の他には織田信長や豊臣秀吉など、日本史の中で親しみのある人がちらほらみられた。


続いて第3位「愛」。

これについては裏に理由があるというよりは、適当な単語を入力しようとしたら最初に思い浮かべがちな単語なのだろう。こうやって使われるのを見ると、ちょっと陳腐な言葉な気がしてくる。

8回出てきたうち、4回は渋谷だった。渋谷の人は「愛」について考えがちのようだ。


渋谷・上から見たハチ公

そして第2位「地所」。

突然なんだかわからない単語が出てきたようだが、これの読み方は「じしょ」。つまり入力するとき手にしているものと同じ発音だ。おそらく「じしょ」で調べると一番上に出てくるのだろう。

「辞書」も5回出てきている上、丁寧に「電子辞書」を調べた人も1人いて、全てあわせると15回だ。


そして栄えある第1位は「あ」。

出てきた回数は22回。実際に調べてみると、「母音の一」とか書いてあって、別に面白くもなんともないのだが、とりあえず押してしまうのが「あ」だ。

そのほかのひらがな1文字はちらほら出てくる程度にも関わらず、「あ」の出現率は他者の追随を許さない圧倒的な数字だった。「あ」の項目のところに広告を出したら電子辞書は2割くらい安くなるかもしれない。


 

その他雑感

そのほかには、目の前にある文字や耳に入った音をダイレクトに入力するパターンとして、「特価」「英和」「本日」なども見られた。「じしょ」で調べるのと同じように、できるだけ何も考えずに入力した結果だ。

それとは対照的に、専門用語を入力する場合もある。ジャンルとしては経営経済系が、30回くらい出てきており1番多かった。

意外とエロワードを調べる人は少なく、すべてあわせても5回程度しか出てこなかった。期待を裏切られる結果、非常に残念である。

まとめ

今回集めた1000語を越すデータの大部分が、「何でこんなのを調べたんだろうな」と思ってしまうような、自由で、その人だけが特別に思いつくに違いない単語ばかりだった。

にも関わらず、その中から、よく調べられがちな単語をピックアップしてみると、「適当な単語を考えるのがめんどくさい」という、人々のこだわりの無さが反映されていることがわかった。

人間っていうのは気を抜いて面倒くさがってしまうと似たような行動をしてしまうんですね。あまりそうならないように気をつけなければいけないかもです。

動物で一番多かったのは猫ではなくてキリンでした。何故?

 
 
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