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ひらめきの月曜日
 
のぞき絵で風景を立体にする
制作前に描いた設計図もどき。不安になるざっくり感。


先日、しかけ絵本の展覧会を見に行った際、「のぞき絵」というものがありました。

風景を重ねたものを、穴からのぞくと立体に見える…というもので、平面の絵が立体的になるのが面白く、これは自分でも作ってみたい!

私が見たのぞき絵のモチーフは「ヴェルサイユ庭園」でしたが、そんなすごい場所ではなく、もっと身近な風景を立体にすることにしました。

なお、実際ののぞき絵は「絵」でできていますが、今回は写真を加工して作ります。

(text by 加藤 和美



■どこを立体にしようかな

身近な風景をのぞき絵にするにあたり、必要なのは「奥行き」。

それから、立体を感じるためには、人や木が立っていないといけない。

その条件を満たす場所ということで、当初は地下街で写真を撮ろうと思っていたが、もっと最適な場所があることに気がついた。

それは大通公園。
テレビ塔から長くまっすぐ伸びる大通公園は、ヴェルサイユ宮殿に勝るとも劣らないモチーフなのではないだろうか。
いや、言い過ぎた。

 

ともかく、噴水や像などの立体物はあるし、人は多いしで、のぞき絵にするには適しているように思う。

図工が苦手なので、あまり工作センスには自信がないのだが…少し不安を抱きながらも、とりあえずカメラを持って大通公園に向かった。


大通公園はあちこち花盛り。

 

噴水をぼんやりと眺める人々。

再生中の芝生は人間立ち入り禁止なので、ハトの居場所になっていた。

■いろんな人をモチーフにゲット!

この日の大通公園は、文句なしの晴天。
芝生立ち入りOKなので、天気の良い日であれば大勢の人が芝生の上で思い思いにくつろいでいる。
本州に比べて、虫と湿気が少ないので、とても快適。


私が大通公園て面白いと思うのは、集まっている人が各自、同じ場所でてんでに好きなことをやっていること。

ヒップホップダンスの練習をする若者のすぐ横で、赤ちゃんを連れた家族連れが遊んでいるかと思えば、テレビ塔をバックに記念撮影を撮る観光客の横で、地元民がゴロゴロ転がっている。

大きな公園にはありがちな光景ながら、各自の距離が近い。特に住み分けもせず、ゴチャマゼな人々を眺めつつ、自分もボンヤリするのが楽しいのである。

 

のぞき絵のモチーフにする写真を撮るため、大通公園の中を歩き回る。

この日は前日が雨だったのと、風が強かったため、いつもより人が少ないのが残念。
それでも、日差しが強かったので色彩がクッキリして、キレイな写真が撮れそうだ。


では、いろいろな人やモノを写真に収めて、立体にするべく作業開始!


記念写真を撮る外国からの観光客(右)と、無造作に寝転がる地元民。
ジャグリング練習中。このほかにも、楽器、スケボー、MTBなどいろいろな人がいろいろな練習をしていた。

 

■では手順を追ってどうぞ

撮影してきた大通公園の風景を元に、のぞき絵の作成にとりかかった。

私が展覧会で見たのぞき絵は、その名の通り「絵」だったし、見本や作り方の資料があるわけではなかったので、試行錯誤しながら進めていった。

さて、ちゃんと立体的に見える「のぞき絵」ができるかどうか、工程に沿って紹介していこう…。

 

■使う人やモノを選ぶ

撮ってきた写真の中から、のぞき絵に使いたい人や木を選んで、印刷の準備をする。
さいわい、大通公園ではいろいろな人がいたので、面白そうな写真が撮れた。
その中から、使えそうな写真を選ぶ。

遠近感を出すために、奥に配置するものは小さめに、手前に配置するものは大きめにサイズを調整。
このサイズ調整によって、遠近感が出たり出なかったりすると思うので、やや大げさに、サイズに差をつける。

■印刷してみる

サイズ調整した写真を印刷する。

絵よりリアルな雰囲気が出るだろうと思い、光沢紙を使ってみたところ、発色が良く、当日の天気の良さが再現できた。

人や木以外にも、地面(ここでは芝生)、空、街路樹なども印刷する。

紙いっぱいにキレイな景色を印刷しただけで、楽しくなってきた。

■とにかく切る!

印刷した紙を、人やモノの形に切る!

写真を選ぶ時は「たくさん人を置きたいな〜」と鼻歌まじりで気楽に用意したものの、いざ切るとなると大変だった…。

街路樹は、ハサミで切りながら適当に形を作って、木らしいシルエットにする。
街路樹は、自由に切りすぎたかもしれない。
大丈夫だろうか。

■見えてきた…か?

人の写真を切り終わる。
うっかり一部を切ってしまった人は、裏面からテープで補修。すいません。

足元1センチくらい残して、のりしろにした。
カッターで軽く線を入れて折り、立たせてみると、ちゃんと自立した。

おお、なんか、それっぽい!?

ここでちょっと完成形が見えてきた気がする。
テーブルに立たせると、フィギュアみたいで楽しい。

■配置するぞー!

地面と、奥の風景をくっつけ、さらに人や木を配置していく。

私が見たのぞき絵は、蛇腹状に折りたためるのだが、光沢紙は折りたたみに向いていないということに途中で気づいた。
折りたたむのはあきらめて、自由に人を配置し始める。

このへんからかなりオリジナル色の強いのぞき絵になってきた。もういいんだ、マイのぞき絵で!

サイズを考慮して、小さめの人は奥に、大きめの人は手前に配置。全体のバランスも考えて…これが意外と悩む。が、面白い。

■さらに独自路線へ

のぞき絵には本来、天井(上面)にも紙が貼られているが、空にしようと用意した紙が重く、支えきれないと判断。天井をつけるのもあきらめた。

たぶん、天井をつけなくても、のぞき絵になると思うんだ。
そう自分を納得させながら、作業を続ける。

天井をつけないと左右の街路樹が立たないので、家にあった竹串を使って、自立するように補強する。

だいぶ、元ののぞき絵と変わってきちゃったな…。

■ちょっと違うけど、できた!

奥の風景も竹串で立てる。
手前の風景に5センチくらいの穴を開け、これもまた立てる。

折りたためないけど…天井がないけど…。
そもそも「絵」じゃないけど…。

とりあえず、のぞき絵完成ー!

 

手前の穴からのぞきます。

■じゃあ、のぞいちゃうよ

完成したのぞき絵、せっかくならもっと臨場感を感じたいということで近くの公園の芝生まで持って移動。

この日も天気がよく、かっこうののぞき絵びより?と思ったら、風が強くて、のぞき絵が吹き飛ばされそうな…。
外に持ってくるんじゃなかった。

では、風で壊される前にのぞいてみよう!


のぞき穴からのぞいたところ。一応、大通公園の雰囲気は再現されてる…と思う!

 

■モバイル公園

遠くに見えるテレビ塔、もろこし屋台、花壇、芝生の上でめいめいにくつろぐ人、行き交う人。

おお、これってまさに大通公園の縮図!?
私だけの公園だー!

ちなみに最初はもっとたくさん人がいたのだが、人が多すぎるとなんだか落ち着かなかったので、減らしてこのくらいにしてみた。

それからハトを作る時に、サイズを間違えて異様に大きなハトを作ってしまい、そこでフト思った。
写真や絵さえを用意すれば、「巨大怪獣あらわる!」等の、ナンチャッテのぞき絵を作るのも可能だ。
ジオラマやフィギュアは好きだけど、面倒だー、という人!
のぞき絵を作るのはいかがだろうか。


手前にいる人々。ミュージシャン、座る人、犬の散歩、肩車、自転車、掃除のおじさん。
さりげなく、自分を混ぜておいた。
奥にいる人々。ブラスバンド、もろこし屋台、小学生、スケボー少年、ダンサー。
サイズを間違えたが、捨てるのが惜しくて隅っこに置かれたハト。

 

■臨場感はあると思う

想像以上にジオラマ的な楽しさがあった、のぞき絵。
(のぞき絵と言い切るにしては、細部が違いますが…)

なんとなく「自分が今そこにいる感じ」というか、「のぞいている感じ」は出ているのではないでしょうか。
今回は大通公園を再現してみましたが、同じ要領で、サイズが小さめだったら、絵葉書的なちょっとしたおみやげものになるのでは?小樽運河とか…。

奥行きのある観光地のみなさん、新しいアイテムにのぞき絵なんていかがでしょう。

風にあおられつつ、のぞき中。

 
 
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