いつだったか、群馬に帰省したときだったろうか。車窓の外に、変な文字列を見たのだ。なんだあれ。
いや、実は変でもなんでもないのだ、というのはそれは駅名の表示板なのだった。 でも、まずひらがながこう飛び込んできたのが妙に思った。 「お む ら い」 と。おむらい?
漢字では「小村井」と書く。全然変じゃない。 しかしそのときから、ずっと気になっていたことがある。
(乙幡 啓子)
ろくに下調べもせず
というかそんな間を持たせずとも、タイトルでバレバレなのだが、「小村井でオムライスをぜひ、食べてみたい!」と決意したのだ。まあ、単なるダジャレです、すいません。
こんな駅名である。そしてみんな大好き、ダジャレ。 こうなると、町おこし(駅おこし?)のネタは、もう「オムライス」しかあるまい。オムライスの約束の地だ。 オムライスのオリンポス山。オムンポス・・・。
と、オムン・・・じゃなくて小村井に想いをよせつつも、なんやかんやとそれから1年ほどたち、ようやく彼の地に降り立つことができた。
降りたのはいいが、さて。事前にちょろっと小村井について調べたのだが、「小村井はオムライス云々・・・」といった記述は見つからず、なんだか雰囲気がおかしい。現地に来ても、オムライスについてひとことも言ってないじゃないか。
とりあえず駅を降り、街を歩く。オムライスの面影を探して。
このあたりはそれほど商店が並んでいるわけでもなく、広い道路を挟んで下町がえんえんと続くといった風情。
飲食店、弁当屋がぽつぽつあったが、どこにもオムライスはなし。コンビニにさえ置いてない。
さあ、企画倒れか。
同志発見
ほとんどあきらめかけたころ、横道を入ってすぐのところに、一軒の洋食屋さんを見つけた。もしや・・・と思い近づいてみると・・・。
なんと、あった。
すみません、私本人、あると思ってませんでした。でもなんと見つかってしまいました。
なかったら、コンビニでオムライス買って駅でひとり記念撮影、もしくはスーパーで「酢」を買って、表示板に重ねて「おむらい・酢〜」と無理に盛り上げやはり記念写真、そうするしかあるまい、と思いつめていた矢先の出来事だった。
さっそく中に入り、オムライス、いや「小村井飯」を注文。
「最後にソースをパンですくってください」との心遣いだ。ではいただこう。
ハヤシソースは甘くなくてびっくり。私はつねづねこのソースを甘くてくどいと感じていたが、ここのは甘くなくて具合がいい。卵も溶け具合が程よくて、おいしいオムライス、いや小村井飯でした。
「小村井でオムライスを食べる」ミッションは、なんとか達成された。 注文と同時にそんなミッションを告白されつつ取材に応じていただいたKAMEYAの皆さん、ありがとうございました。
Kitchen KAMEYA 洋食館
東武亀戸線小村井駅・東あずま駅徒歩5分 131-0043 東京都墨田区立花2-1-11 TEL 03-3619-0547 営業時間 11:00〜14:00 17:00〜22:00 (日・祭日 12:00〜22:00) 定休日 水曜