約束の地、船路橋へ
やってきたのは芝浦の船路橋というところ。田町駅に近い大きなボーリング場のそばだ。
今は工事中だけど、この先には以前まで橋がかかっていて、都電の整備工場へつづくレールが残っていたらしい。もはやレールはほとんど露出していないが、地面を見てみると、たしかに跡が浮き出ているのが分かる。
いまあらためて原稿を書きながら、こんな地味な写真ばかり並んでいて大丈夫なのかという気分になってきた。全体的になんだか灰色なページだ。
でも、でも、これがロマンというやつなのです。いいですよね、ロマン。
しばらく行ったところで、この2本のレール跡はかすれてしまっていた。その先がどうなっているか、探知機でたどることにしよう。
レールの跡が直接にはわかりづらいところでも、ピッピッと音がしてレールの場所を知ることができる(赤くしめした)。場所によってはその音がピピッピピッと4回鳴ることもあった。
この先、このレールはどこまで続くのだろう。
そう思った矢先、探知機の反応は突然とぎれてしまった。
ここからアスファルトの色が違う。おそらく改修工事でこの先のレールはぜんぶ掘り返されてしまったのだろう。
船路橋に残っていたレールは約50mほどだった。
消えゆくさだめです
道路工事のたびにレールは掘り返される。それは当たり前だ、残っていたところでじゃまに決まっているのだから。そのうちにレールは本当に一本もなくなるのだろう。
このまま長く残してほしい、と懐古趣味的なことをいうつもりはない。消えゆくものは当然に消えゆく。
でも中にはひっそりと残るものもあるだろう。もし今後それらを偶然に見つけることができたなら、少なくともぼくはちょっとうれしい。