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ひらめきの月曜日
 
トマトのドロドロを応援したい


トマト箱買い。特価で398円でした。

トマトを嫌いな友人がいる。わりと多くいる。

彼らが一様に口にするのは「あの青臭さがダメ。特に中のドロドロが許せない」というものだ。初めてそれを聞いた時は、ちょっとショックだった。

そしてトマトを料理に使用する際、レシピには「タネを取り除くように」と書いてあることが多い。しかしドロドロ好きの私はそれを守らず、タネもろとも調理している。だって取り出したタネ及びドロドロはどうするのだ。捨てろと言うのか。

果たしてトマトのドロドロは、そんなに邪魔者なんだろうか。メロンのタネの部分と同じように、捨てられるべき存在なんだろうか。

はっきり「違う!」と言うべく、立ち上がりました。

高瀬 克子



まずは仕分けから

トマトを丸ごと食べるという行為をしなくなって久しい。子どもの頃は、腹が減ると台所に転がっているトマトをガブリと丸ごと食べたものだ。裏庭で作られたトマトは熟し切っており、何も付けずともおいしく食べられた。

かぶりついた途端ジュルッとしたたる中身をシュパパパーと口先で慌てて吸い込む、あの瞬間こそが「トマト丸ごと食い」の醍醐味であり、楽しみでもあった。

そう、私にとってトマトは「ドロドロあってこそ」であり、分かちがたいものなのだ。「特にドロドロがダメ」という発言にショックを受けたのも、このような経緯によるものであり、単に食に卑しいからではない(と信じたい)。

ドロドロの正当性を訴えるべく立ち上がった今回の企画、まずはその抽出作業から始めてみよう。


このまま食べたいのをグッと我慢し、
ドロドロを取り出します

箱買いしてきたトマト9個分をザクザクと切り、スプーンで中身を取り出していく。意外に手間のかかる作業だ。

ドンブリ一杯は取れると思っていたが、想像以上にドロドロの部分が少ない。「あれ、こんなもんなのか?」という量しか取れなかった。


おや、こんなもんですか。
今回ばかりは脇役に徹してもらいましょう

賢い方ならとっくにお気付きでしょうが、あれですね。中のドロドロを取り出すには、トマトを輪切りにした方が簡単で手っ取り早かったですね。

全ての作業を終えてから気が付きました。

 

強烈でした

当初は「スープにでもしよう」と思っていたのだが、量が少なかったこともあり、路線の変更を余儀なくされた。

まずは、素材の味をダイレクトに楽しもう。


寒天を煮溶かしたら、
ドロドロと合わせます。

名前を付けるとしたら「トマトのドロドロゼリー」といったところだろうか。今回は、あえて何も味付けせずに、そのまま冷やし固めてみた。

この部分だけを食べるのは初めてである。しかも、ドロドロが固まっているという本来ならばあり得ない状況に、期待とも不安ともつかない気持ちに襲われる。

「こういう色のゼリーって売ってるよね」と言いたくなるほど可愛らしく、タネもいいアクセントのように思われる出来上がりだが、果たして味はどうなんだろう。さっそくひとくち食べてみた。


見かけはイケてるぞ

ペッ!!!

…トマト嫌いな人の気持ちが分かった気がした。恐ろしいまでに青臭い。な、なんだこれは。思わず「イーッ!」と声が出た。

得体の知れない南国のフルーツの青い状態に、似てるといえば似ている。いや、よく分かりませんが。トマト好きの私がうろたえるほど、とにかく強烈だった。

「いやぁ、それにしてもキミ、単体だとこういう味だったのかね。うーん、こりゃ嫌われても文句は言えないねぇ」とサジを投げそうになったが、なにも生で食べるばかりがトマトではない。火を通すことにより、違った味わいに変化してくれるだろう。

いや、してくれないと困る


 

 
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