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はっけんの水曜日
 
イベントやろうぜ〜初体験記!

(text by 大塚 幸代




ここ数年、ネットのコミュニティをきっかけに、イベントをやっている方、多いですよね。
私もふと「コレやりたいー!」という企画を思い立ち、昨年秋にイロイロ決めて、今年1月末に、新宿でイベントを決行したんです。
音楽系のDJ+ライブアクトのイベント。当サイト「デイリーポータルZ」とはあまり内容的に関連が無かったので、こちらでは告知しなかったのですが、有り難いことに大盛況で終了。
そんなわけで、初心者ながらに、思ったことほか、メイキングを書いていきたいと思います。
これから「やりてー!」と思う方の、何か参考になれば、幸いでございますですよ!

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実はわたくし、人のイベントに出たことは何度かあったんですが、はじめから終わりまで自分が主催で、ちゃんとやったのは初めてなんです。

最初にやったのは90年代。今は亡き、吉祥寺のハッスルというハコ(会場)でした。
著名人が遊びに来るというガセネタが流れ、会場満員(あちゃあー!)。なぜか当時の入場者記録更新して、店員の黒人のお兄さんに「アリガットネエー」と言われた記憶があります。ガセネタに感謝しつつ、胸を痛めたりもして。黒字が出たんですが、オリジナルTシャツを作って配ったら、全額無くなりましたっけ。

そのあと00年代、高円寺阿波踊りの日に、高円寺のバーで「t.A.T.u」ナイトを開催したことがあります。音響設備もラフで、ネット告知のみだったんですが、マジ本気のt.A.T.uファンさんが多数来襲! もちろんドレスコードはチェックスカート。 
阿波踊りの日は、街自体がお祭りテンションで無茶苦茶で……勝手にワイン持ち込む奴はいるわ、人生相談して泣きそうになってる人はいるわで意味不明に。盛り上がりすぎて、店の常連さんが、店の隣にあった公園から、民家にロケット花火を打ち込むという事件も勃発(通報されました! がー!)。お祭りだったせいか許してもらえたんですが…時効とはいえ申し訳ない話……。
その翌日あたり、イベントに来てくれてた女装男子が、t.A.T.uに気に入られ、東京ドーム公演のステージに上げられていて……テレビニュースに出ていて、「あいつだー!」と、一同ビックリしたという後日談も(今頃、彼は元気かしら)。

そんな、ワケわからんイベント歴だったんですが…。いろいろな人に助けられて開催していたので、今回は全部自分でやってみようと思ったのです。

 

その1 会場さがし

音楽系のイベントで、オールナイトがやりたかったので、会社員のかたも来れるように、休前日夜中スタートを設定しました。探し始めたのは10月(普通は大きめのイベントなら、予約は3ケ月前くらいから。年末年始はたてこむので、もっと早い予約が必要らしいです。もちろん、ハコの人とツーカーの仲だったら、話は別)。で、自分の行ったことのある会場に、ネットや電話で……料金体系を、聞いて調べたんです。
交通アクセスを考えて、新宿、渋谷からの徒歩圏内を探したんですが……貸し切り料金、思ったより高いんですよう! 休前日なので、平日よりもさらにお高い。結婚式の2次会会場かよ、というようなお値段。 
ええと、いわゆるクラブ的設備が整ってて、100人くらい入れる場所で、新宿渋谷徒歩圏内だと、ノルマ(さばかなければ赤字になるぶんの、チケットの量)は、ひと晩で、普通の20代後半くらいの人の、月収くらいです……(もちろん、ハコの人とツーカーの仲だったら、話は別……なんでしょうけども)。
立地のいい所なら家賃高いし、人件費もあるし、音響もお金かけようと思えばいくらでもかけられるから、料金が高いのは、仕方がないとは思いますが……。

もちろん大人が、仲間内でやるイベントで、気持ちよければ赤字でも可! みんなで分割して払っちゃえ! というのなら、かまわないと思うのですが。「知らない人も気楽にリーズナブルに来て欲しい、かつ、赤字回避」という野望があったので、イロイロ探しました。

新宿、渋谷など、価格帯が高い場所を探したのには、アクセスの良さ以外にも、理由がありました。
自分が夜遊びするとき、もう30代で体力ないので、混んでたら、諦めて飲みに行っちゃうことも、あるんです。
踊ってても途中でぬけて、バーに移動しちゃうことも。だから、24時間営業の、盛り場を離れたくなかったんです。ダンスフロア以外に逃げ道があるような街。
キー駅からちょこっとでも離れると、会場も安くなるんですけどもねえ……。

で、実は、ものすごく良い場所に「新しいイベントでも、企画によっては、ノルマなし(素晴らしい!)」「大塚さんのネタならいけるんじゃない?」というトコがあって、喜んで、企画を持って行ったんです。
……でもね、もう。けんもほろろでした。ほろりほろほろ、ほろほろ鶏。私のメールの出し方が悪かったのか、企画書がいけなかったのか、直談判すべきだったのか…ひとり反省会をしましたよ。
思えば、今そのお店は、企画の持ち込みが飽和してて、著名さ、過去の動員、コネクション、財力……で、スケジュールがじゅうぶんに埋まってる感じだったのです。商売なんだから、それで良くて当たり前なんですが、でも、大変悲しかったです。自分の無力さを、逆恨み。
心の中で「そのうち新規企画来なくなって、潰れるわよ、こんな店!」と、プチ呪いをかけた……ということは、秘密です。

いろいろ考えて結局、会場の大きさ、雰囲気、良心的なお値段、基本はカフェとバーなんですがDJブースもありミニライブも出来るというステキスペース、8bitcafeというお店を借りました(昨年の企画、『メガネ男子スペシャル付録壁紙』の撮影協力もして頂いたお店です)。8ビットさん、感謝! ちなみに新宿駅から楽々徒歩圏内。

 

その2 内容を大まかに決定

フライヤー作りなど、告知のために、出演者を確定していきます。ライブアクトとも打ち合わせして、だいたいこんなことがやりたいですね、と意思確認。ここ肝心です。でも私の場合は人選で既に「おまかせしたいヒト」を選んでるフシがあったので、「好きにやっちゃってくだサーイ!!」というオーダーをしました。

その3 フライヤー作り

普通は集客目標100人以上とか、大きめのクラブイベントなら、フライヤー(告知チラシ)を作るらしいんです。が、「作ってみたかったんだもーん」という、シンプルな欲望で、フライヤー制作決定(自腹)。
デザインは自分でやりました、と言っても、紙に印刷するものを、フォトショップで作るのは初めて…。
当サイトのライター&本業デザイナーのタカセ嬢に助言をもらいつつ作業。
彼女のアドバイス。

  • RGBで作業してんなら、CMYKになおしなさい。印刷に対応出来ないから。
  • スキャンした画像の解像度は300以上にしなさい。印刷に対応出来ないから。
  • 文字は、余白3ミリに入れなさい。はみでちゃうかもしれないから。
  • あとはテキトーに。たぶん印刷屋さんが調整してくれるよ。

……意味はさっぱり分からなかったけど、言われた通りにやりました(入稿用データを作るためのガイドサイトも多々あるので、参考にしました)。作ってみて、タカセ嬢に最終チェックをしてもらい、テキトーな印刷屋を検索で見つけて、ぽいっとデータ入稿してカード決済。出来上がりは4日後くらいに、自宅アパートに送られてきました(重!)。
フライヤーって、500枚作ろうが、1000枚作ろうが、値段あんまり変わらないんですね。いちばん安いのは、BでなくてA規格。そのなかでもハガキサイズが格安でした。
ちなみに私の作ったとこは2000枚(両面印刷、片方カラー)で8000円。半分ちょっとしか配れませんでたが…(集客100人以上の規模のところは、もちろん、もっとたくさん作って配るらしいです)。

 

その4 フライヤー配布

フライヤーは…効果あるのか、さっぱり不明でしたが、とりあえずイベント1ケ月前から、配布しました。飲食店やCD店……新宿バープラスティックモデル、8ビットカフェ、無銘喫茶、中野メカノ、タコシェ、2ちゃんねるショップ、渋谷テクニーク、アップルクランブルレコード、下北沢ハイラインレコード、モナレコード、ヴィレッジヴァンガード、ほかライブハウスやクラブなどなど。
とくに下北沢はフライヤー激戦区らしく、「10枚までなら置いてもいいですよ(場所があんまり無いから)」という、すごい指定も。ふーむ。

基本、気に入ってるお店にしか行かず、チラシを置いてもらうために、かなり低い腰でアタックしていたのですが、「ああ、あ〜ん? ウチは知り合いしか置かないんだよね〜(冷たい目)」と、悲しい態度で接されたこともありました。すべての営業職の皆さんは、こんなの、日常茶飯事なんだろな、と想像しました……。
客商売って、ほんとに大変なお仕事だと思います。いつも機嫌がいいわけじゃないし、家の人と喧嘩した日も、おなか痛い日もあるし。客でもない人に笑顔、ってのは面倒くさいでしょう。でもさー。普通に「決まりで置けないんですよ〜ゴメンネー」って言ってくれたらいいじゃない! とか、やっぱり思いましたよ!

で、私も、人のふりみて、わがふりなおそうと決意。ササクレた心の中で「そのうち潰れるわよ、こんな店!!」と、プチ呪いをかけたことは……秘密です。

ソーシャルネットワーキングサイト、『mixi』でも、興味を持ってくださりそうなコミュニティに、イベントとして告知もしました(ミクシイ以外に、通常ネットで見れるページも作りました)。
今は、フライヤーを作らず、『mixi』のみで告知してるイベントも多いんじゃないかな、と思います。

 

その5 当日

24〜12時間まえに『mixi』にて、開催を再告知。
機材のことは情けないことに一切分からないので、出てくれるアクトに、おまかせすることにしていました(配線出来る男子はカッコイイですよね、車をバックする仕草くらいナイス、は、配線萌え…)。
あ、「完備してある機材リスト」は、たいていハコ(会場)の人に言えば、もらえますので、CDJの型番など、出演者に伝えておくといいです。
ちなみにどこの会場でも、消耗品であるレコードはのハリは持ち込んでください、というのがルールです(でも添え付けてあったりする場合多し)。ヘッドフォン(音をモニタするためのもの)も持ち込みしてくださいとの指示が多いです(でも、たいていの店は添え付けて置いてある場合多し)(ヒップホップ系とか、がっちゃがちゃにスクラッチして機材を消耗させるDJばかり出るところは、自前で準備が基本なのかも??)。
で、当日の私は何にも役立たず、出演者に「次は貴方の番ですよー」とか「10分押してるので何時スタートに変更しますー」とか言うくらいでした。今回はDJもしなかったので(後ろに流すための動画編集のみしました、無理矢理言えばDVD-R-J……)ぼーっと突っ立ってるだけでした。こういった幹事(オーガナイザー)って、当日はやることないんですね。いや、楽しかったんですけども。
で、「知らない人ばっかだなー」とか、戸惑っていました。知らない人に告知するって、そういうことなんだけどさ。目にするまでピンとこないものですね。



>当日のレポートはこちら

女性ボーカルのかわいい音楽をかけて、制服を着て踊る(スクールディスコというジャンルの)イベントだったんですが、想像以上にかわいいセーラー服女子がいっぱい来たぜ! しかしDJ……わたくし過去、「たぶん誰でもできるCDJ入門!」という企画でCDJを習ったんですが…あがり症なのでパスしました。いつか人前で出来るようになるといいなあ。

その6 後日談

第1回目ということを考えると、大成功でした。これも出演者の皆さんのおかげ!!
そんでもって、く、黒字が出ました! キャー!!
バンド等が出るイベントだと、入場時に「どのアーティスト目当てで来ましたか?」というアンケートをとって、割合でギャラを配分することもあるらしいんですが、今回は皆さんご好意で出演いただいたので、平等分配。
といっても巨額ではなかったので、考えて、某大手書店のギフトメールを、皆さんのメアドに送ったのでした(ちょっとナイスアイデアじゃない? とか自分でも思ったんですが、どうでしょう)。

やってみないと分からない

今回、ちゃんと仕切れたのかどうか、ものっすごい不安なんですが、だいたいの流れは分かりました。ああ、やってみないと分からないことが多すぎるねえ!

イベントって、やりたいのになかなか……という方、多いと思うんです。
でも、心の中で「コレいける!」という妄想が固まったら、ゴーサインだと思います。
どうにかなるよ! ユー、やっちゃいなよ!


 
 
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